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全日本九州、野崎が6年ぶり勝利
2014年5月11日、山口県下関市フィールド幸楽トライアルパークで、全日本選手権第3戦九州大会が開催された。
12セクション2ラップとSSの2セクションでの戦いは、小川友幸(ガッチ)、野崎史高、小川毅士の3人でのトップ争いとなったが、野崎史高が勝負どころのふたつのポイントを攻略して、6年ぶり4回目の全日本選手権勝利を得た。ガッチが2位、毅士が3位。黒山健一は4位だった。
九州大会なのに山口県での開催とはこれいかに。下関は九州から目と鼻の先であること、これまでも九州選手権と中国選手権の合同大会がフィールド幸楽で開催されていることを考えると、今回の全日本九州大会の開催も、それほど不思議なことではない。でも、一部には九州大会なら九州まで行きたいという声もあり、また宿は門司にとったというライダーもいた。
最初のハプニングは、第2セクションで起こった。IASのみに設定された斜めの岩はむずかしくはあったが、トップライダーにとっては充分にクリーンできるセクションだった。ここで野崎、毅士が1点をとったあたりまではまだ想像の範囲だったが、黒山がこれを登れなかったのはびっくりだった。本人もびっくりしたと、黒山自身があとで語っている。
続く第3セクションはふかふかの急斜面で、スタート地点がむずかしい。真っ先にトライした加賀国光はクリーンだったが、その後は5点続き。ガッチも黒山も5点となった。難所でひとりだけ走破して逆転、ライバルを突き放す黒山の必勝パターンは、序盤にして影を潜めているのが明らかになった。
ここを野崎、毅士がクリーン。二人が一気に試合のリーダーとなった。4セクション以降は、優勝戦線にとってはクリーンセクションが続く。中では第6セクションがやっかいだった。土のヒルクライムが3本。最後の1本には、途中でひねりが入っていて、クリーンしようと思うとむずかしく、そして時間が足りない。毅士はここで、あと1秒というところでタイムアウトの5点になった。今回はトップの4人が、僅差で争いを続けている。黒山が4番手で苦戦をするというのが、いつもとちがう展開だ。
全員が登れなかった第8セクションのあと、最終12セクションは助走のないところからの斜めの岩を登っていく。ここも難所だった。ここを走破したのはガッチだけだった。ガッチのここでの1点で、1ラップ目のトップはガッチということになった。ガッチ1点、野崎が14点、毅士19点、黒山が21点。黒山の背後には田中善弘22点、柴田暁24点と続く。
2ラップ目、黒山も第2セクションをクリーンして、再び第3セクションに。今度は、トップ4はそろってここをクリーンした。田中が1点、柴田は3点だった。1ラップ目は細かい減点があった野崎だったが、2ラップ目は減点をよく抑えて走っている。しかしさらに好減点をマークしているのが、毅士だった。
難関第8セクション。1ラップ目は全員が5点となったが、それぞれに攻略法は研究したようだ。2ラップ目、トップの中では黒山健一が最初にトライして5点、続いて毅士が1点で登りきった。華麗な1点だった。続いて野崎も同じように1点でここを抜けた。
このとき、ゲートマーカーに足が触れたが、ゲートマーカーは動かず、減点は問われなかった。これまで野崎は、うまく走りながらゲートマーカーに触れたり飛ばしたりして5点となるケースが多かった。ルールでは、マシンはゲートマーカーの間を通過する必要があるので、タイヤがこれに触れると5点となる。ただしタイヤ以外がゲートマーカーに触れても直接は5点にはならない。それとは別に、ゲートマーカーを飛ばす(修正の必要がある)と、テープの切断などと同じく5点となる。野崎はいつもとちがって、今日はゲートマーカー関連の失敗がない。
最後の第8をトライするのはガッチ。ここを走破できれば、3連勝が大きく現実的になってくる。同じように岩に挑戦するガッチ。しかしわずかにタイヤが滑り、これを1点で切り抜けようとしたガッチのリヤタイヤは、ゲートマーカーに触れてしまった。5点。
最後の12セクション。1ラップ目の経験から、各ライダー攻略に腐心した。しかし残念。その努力はすべて水疱と化した。ほぼ全員が5点。1ラップ目にここを抜けていたガッチも、5点だった。ただひとり、毅士がここを3点で抜けている。毅士は1ラップ目には時間がなくて、このセクションをエスケープしている。ぶっつけ本番での3点走破だった。この日、最も乗れていたのは、毅士だったかもしれない。この3点で、毅士はガッチに並ぶ同点となった。
そしてSS。去年の中国大会の際と同じところに設営されたSSは、若干味付けが変えられている。ここまで、トップは野崎で2位に3点差。野崎にすれば、それぞれのセクションを1点2点で抜ければ勝利が決定する。
2位はガッチだが、同点で毅士。さらに毅士は、クリーンをして野崎にプレッシャーを与えることで、優勝のチャンスも出てくる(ガッチはトライ順が野崎のあとだから、こういうプレッシャーを与えることはできない)。
SSの第1、毅士が1点。ミスをしないトップライダーのこと、この時点で、毅士のさらなる上位進出はむずかしくなった。毅士以外のトップ6は全員クリーンだ。
そしてSS第2。最終セクションだ。毅士はここでも1点。黒山とは充分な点差があるので、表彰台は確定したものの、惜しい結末となってしまった。
トライ順は、前回の成績順。最後はガッチで、野崎がその前にトライする。最終セクション、野崎は3点で抜ければ優勝する。入口の大岩は、去年の中国大会で、ガッチと黒山の勝負が決着した大岩だ。行き過ぎを警戒するあまりに行き足らないという失敗だった。逆に、足をついてもいいのなら、少し行き過ぎたマシンを足をついてコントロールすれば、5点のリスクはぐっと減少する。
野崎はその通り、岩の上で1回の足をついて、1点でここを通過。野崎が6年ぶりの勝利を喜んでいる横では、ガッチが最後のセクションを美しくクリーンしていた。その差2点。ガッチは開幕3連勝の夢が破れ、野崎は6年前の中国大会(岡山県原瀧山)以来の勝利を得た。
ランキングでは、トップのガッチに対して野崎が5点差、ガッチと黒山のポイント差は、12点に広がった。

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