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YAMAHAチーム体制発表会での宣言と新ファクトリーマシン公開
ヤマハ発動機による2016年ファクトリーチーム体制発表が行われた。トライアル部門では黒山健一選手と監督の木村治男氏がチャンピオン奪還に向ける決意を表明し、新型ファクトリーマシンTYS250Fが公開された。
3月1日、都内にてヤマハ発動機による2016年国内外レース出場するヤマハ主要チームの体制発表が行われ、今年もヤマハ契約のロードレース、モトクロス、トライアルの各選手が一堂に会し、ヤマハ発動機代表取締役副社長、木村隆昭らと2016シーズンへの意気込みが語られた。昨年より大きくチーム体制が変わったヤマハのレース活動。ロード、モトクロス、トライアルともに「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」となっているが、その体制は今年も同様だ。
トライアル部門は、全日本選手権国際A級スーパークラスを走る黒山健一選手が「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」として参戦する。壇上では監督の木村治男氏(初代トライアル全日本チャンピオンであり、ヤマハ歴代トライアルマシンの設計開発担当)と黒山健一選手自身が新シーズンに向けての挨拶を行った。特に木村監督が語った2016年に向けるコメントはとても熱く、新しく投入した新型ファクトリーマシンの仕上がりも含めて、ヤマハトライアルチームのチャンピオン奪還の意欲を感じるものだった。
黒山健一選手はこう語っている。
「3年連続2位となり、悔しいシーズンを送ってます。昨年は開幕戦で勝ててもチャンピオンは獲れなかったのですが、今年は自分自身落ち着いたライディングをしようと思ってます。
年齢のせいか性格のせいなのか、最近ちょっと雑なトライアルになっている反省点があります。たとえば後輪を振る時に2回か3回で慎重に確実に振ればいいところを、一回で振ってしまえばいいやと雑な操作で失敗するなどです。ちょっとしたことで失敗して失点。負けにつながっている反省をふまえ、丁寧に走る練習を重ねてきました。
今シーズンに向けてバイクのレベルアップをしっかりとやってきました。今年はシーズン4勝以上が目標、もちろんチャンピオンを獲ることです。」
そして、木村治男監督が語ったコメントをお伝えしよう。
「今年は、私がヤマハでトライアルの仕事を始めて44年目になります。他のカテゴリーを担当させてもらいながら、同時にトライアルをやらせてもらう時期もたくさんありました。いろいろなことがありました。私自身めでたく還暦を迎えまして、ヤマハの定年も過ぎました。最近は衰える体力気力、こんな感じに(自身の姿を指して)なっちゃいましたけど。
私自身これまでやってきたことに満足してます。いつ身を引いてもいい気持ちはありますが、ただひとつ。思い残す事。心残りのことがあります。優秀なトライアルライダーである黒山健一選手。彼が3年間もトップに立てない、この事実です。普段から黒山選手は、言い訳なしで勝つ事。チャンピオンをとることが私の仕事ですと言ってます。その彼が仕事をできていないのは私の責任です。
今年も黒山選手が頂点に登れるように、彼が頑張れるようにマシン作りをいろいろ行っております。今年のバイクは、今まで以上にうまくできている手応えを感じています。彼がくれるコメントはけして優しいだけでなく、きびしいコメントがあります。しかし彼が今年のマシンをテストしている表情と姿を見ると、これは行けそうだなという印象を持ってます。
ここで私が一言。宣言させていただきます。「今年は勝ちます。必ず勝ちます。必ずチャンピオンをとります。」この私の言葉が有言実行になるか。もしくは単なるホラ吹きになるか。みなさん是非1年間ご注目ください。もしお時間許せば、現地にもおいでいただけると嬉しいです。お待ちしております。よろしくお願いいたします」
以上が木村監督の熱いコメントだ。
場内では各カテゴリーの2016年仕様のファクトリーマシンが展示された。ゼッケン2番をつける黒山健一選手用のファクトリーマシン「TYS250F」は全面的に仕様変更が行われている。吸気、排気系の全面的な見直しと改良、外見ではSCORPAと思われるサイレンサーが車両の右側に装着されていこと(昨年モデルは車両の左側にサイレンサーが配置されていた)、そしてスイングアームも異なり、リヤサスペンションに新設計のリンク機構を採用した点も大きな違いだ。つまりフレームも含めて全てが一新されている。「意地をはることなく、トライアル界のみなさんがやっている傾向、良いものを見習いながら、黒山選手と共に理想とする形へ持って行きました。」と木村監督はコメントしている。
全日本トライアル選手権は、3月13日(日)茨城県桜川市の真壁トライアルランドから開幕する。チャンピオン奪還を宣言する黒山健一体制と、ホンダの小川友幸との闘いは、間もなくだ。