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小野貴史、自身3勝目の開幕戦勝利
3月13日、全日本開幕戦。真壁トライアルランドでの国際A級クラスは、ベテラン勢の強さと、久岡孝二の奮起が光った。上位4名がゼッケン二ケタのライダーで占められた。今シーズンのIAもまた、新しい風が吹きそうだ。
勝利をしたのは小野貴史。小野は本来なら、一桁ゼッケンをつけてしかるべきライダーだが、人体を痛めて戦列から離れていて、このようなゼッケンになっている。これまで、地元SUGO大会と北海道大会で1勝ずつをあげているが、北海道での勝利は2009年のことで、もうずいぶん長いこと勝利からは遠ざかっている。
今回は参加者が多く、渋滞に巻き込まれる心配があった。小野はそれを回避するため、最初からペースを上げてセクションを回ることにした。じっくり下見をするのをやめて、早いところ列に並んでトライをする。アシスタント役の竹屋健二(竹屋もまたIAライダーだ)もそれを助ける。いくつかセクションを回った頃には、まわりは自分よりも大きなゼッケンのライダーばかりになっていた。自分のペースもできてきた。
優勝を目指しているわけではなく、ひとつひとつのセクションをきちんと走りきっていくだけだ。まわりの調子も聞かないまま、小野は12セクション2ラップを走りきってしまった。実感としては悪くなかったのだが、もっと調子がいいライダーはいるかもしれない。
ゴールして、本多元治と話をした。点数を確認しあったら、どうやらわずかに小野の方がよいようだ。ならば、そんなに悪くない成績がおさめられるのではないか、と小野は思っていた。
ところが結果は、優勝だった。本多が2位。久々の勝利だが、この調子で勝ち続けるのかと問われると「緊張しやすいタイプだから、そういうことは考えないで次も走る」ときっぱり。表彰台では「長いことトライアルをやっていると、いいこともあります」と話した。小野のこのコメントを聞くのは、3度目だ。4度目は、いつ聞けるだろうか。
2位となったのはベテラン本多元治。去年は3戦に出場、2戦で表彰台を獲得してゼッケン11番を得た。近年はデモンストレーションなどの仕事が忙しく、全戦での参加がむずかしくなっているが、出るからには勝ちたい。5点がひとつもないスコアは見事だったが、勝利にはあと4点届かなかった。
1ラップ目のトップは久岡孝二。1年ぶりに参加の西元良太に3点差だった。国際A級1年目の昨年は、3戦でポイントを獲得したにとどまり、2年目の奮起が期待されているところだった。久岡はIASの柴田、氏川とともにヴェルティゴに乗ることになっていたが、マシンがまだ届かず、急きょ開幕戦はこれまで乗っていたガスガスでの参戦となった。
久岡は土の斜面の第2セクションで5点となったものの、その後はよく点数を抑え、2年目の初勝利に向けて試合をまとめようとしていたのだが、しかしそんなに簡単に勝利はやってきてはくれなかった。2ラップ目、減点を増やしながら、なんとか試合を終えようとしたところ、最終12セクションで転倒、肩を傷めてしまった。終わってみれば3位表彰台を獲得していたのは不幸中の幸い。しかし表彰台では、右肩が上がらない姿で登場することになってしまった。それでも、今年の久岡には期待が持てそうな、開幕戦の結果だった。
4位には、千葉県警の白バイ隊員として活躍中の西元良太が入った。年に1度だけの全日本出場だが、昨年の5位から4位へと、順位はひとつ上がった。
5位寺澤慎也、6位村田慎示、7位徳丸新伍と、ベテラン勢が入賞を果たし、8位に若手磯谷玲が入った。
昨年は氏川湧雅が昇格1年目でチャンピオン争いをして注目を浴びたが、今年はベテラン勢が強しの印象の開幕戦となった。そんな中、ルーキーの山崎頌太がIA緒戦にして15位入賞、1ポイントを獲得している。
滑りやすい土の斜面がライダーの行く手を阻む、新鮮な印象のセクションだった第2セクションは、IAとIASが同じ設定だった。IAにはむずかしい設定ともいえるが、高い岩が用意されるわけでなく、ストップアンドゴーのテクニックが通じないポイントのライディングは、地味ながらトライアルらしいものとなっていた。
11セクションはIBからIASまで全クラス共通。上位陣はさすがにクリーンが多いが、IASライダーが減点することもあって、トライアルのむずかしさを物語っているセクションでもあった。