© トライアル自然山通信 All rights reserved.

13歳氏川政哉、全日本デビューウィン
ここ数年、若いライダーの台頭が著しい国際B級クラスでは、ついに13歳の勝利者が誕生した。氏川政哉、2014年国際B級チャンピオン、氏川湧雅の弟にして、2004年世界チャンピオン藤波貴久の甥にあたる。
政哉は2014年にバイクトライアル世界チャンピオンとなり、2015年にオートバイデビューを果たした。その年、中部選手権のNBチャンピオンとなり、トライアルGC大会で勝利、国際B級への特別昇格切符を手にした。
そして2016年、3歳年上の兄に2年遅れての全日本選手権デビューとなった。下馬評では政哉の勝利はまちがいなし、となっていたが、しかしさて、勝負は開けてみなければわからないし、そして13歳の中学生ライダーは、けっこう緊張してもいた。
1ラップ目、国際B級1年生の氏川は、先輩たちの実力がわからない。一回足をつくたびに不安になる。150台近い参加者がいる中、持ち時間の配分も大きな不安だった。そしてやはり2ラップ目、IASやIAのセクション待ちに追いついてしまうと、持ち時間も足りなくなってきた。
1ラップ目の戦況が届いたのは、その頃だった。いくつか失敗があったものの、1ラップ目は堂々トップ。2位に6点差で、失ったのはたったの4点だから、まずは独走といっていい。これで氏川に自信がみなぎってきた。
しかし今度は時間がない。悩んだ末、申告5点をもらってオンタイムゴールを目指すことにした。といっても、1ラップ目をわずか4点で回ってきている氏川にとって、5点をもらって惜しくないセクションなどひとつもなかった。結果、5セクションで5点をもらい、さらに第8セクションでも申告5点をもらうことになった。2ラップ目の足つき減点は、10セクションでの1点のみ、申告5点が二つで、合計11点が2ラップ目のスコアとなった。
トータル15点。1ラップ目の結果を見る限り、他のライバルが氏川の上位に出るには、2ラップ目をオールクリーンする勢いで回ってこなければいけない。はたして、1ラップ目を15点以内で回ってきたライダーは6人いたが、いずれも2ラップ目に10点を切ることはできず、氏川の開幕戦勝利が決まった。
今回、第9セクションはIBからIASまで、レディースを除く全クラスが共通ラインを走るセクションだった。このセクションの結果は興味深い。氏川はこのセクションを2ラップともクリーンしているが(氏川だけではなく、多くのIBライダーがここをクリーンしている)、IAやIASの結果を見ると、必ずしも全員がクリーンをしているわけではなく、なんとびっくりするようなライダーがここで失点している。これもまた、トライアルのおもしろさだ。
2位はゼッケン1番沖勇也。昨年は惜しいところでIA昇格を逃したが(それがゼッケン1番のゆえん)、今シーズンはまずは幸先のいいスタートを切った。3位には、中部選手権NAチャンピオンの武田呼人が入った。1ラップ目は17点を失って8位だったが、自分のスコアがそれほど悪いものではないと知って楽しく走れるようになった結果の、3位表彰台獲得だった。
全体的にはベテランライダーが大勢を占めるこのクラスだが、上位3人を若手が独占、若い才能がどんどん芽を出してきたのはうれしい限り。さてベテラン勢の逆襲はあるのか!?