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成田匠、EMでの2度目の正直
世界初のフルサイズ電動トライアルマシンEM5.7が、全日本選手権に2度目の参戦をした。7月20日、全日本選手権第4戦北海道大会にてのことで、国際A級クラスに賞典外参戦。ライダーは、EM輸入元の成田匠だ。
初めての参戦は1年前の北海道大会てやはり賞典外だったが、その結果はブービー賞に近かった。さて今回はどんな結果となっただろうか。
賞典外のため、成田のスタート順はすべての国際A級ライダーの前となる。ラインがなにもできていない、不利な条件だ(ルーキーたちは、みなこの不利な条件を勝ち抜いてトップの座を獲得してこなければいけないのだが)。電動バイクが賞典をもらえる枠組みで参加できるかどうかは、現在のところまだ不透明。主にエンジンストップの判定問題がはっきりしていないからということだが、同じ土俵で勝負する姿を早く見たい気はする。もっともこのマシンは現在は公認車両にもなっていないから、賞典外にしてもこれで大会参加ができるのは国際B級以上のライダーに限定されることになる。
さて、成田が1年ぶりの北海道大会に参加したのは、いろいろ日程の都合があって北海道が参戦しやすいということだった。また北海道大会は、昨年のリベンジという意味もちょっとあると言う。
昨年、出場前に抱負を聞いたところでは、10位以内くらいに入れればということだったが、それでもずいぶん謙遜した目標に思えたものだったが、結果はポイント獲得もほど遠いものだった。
その一方で、フランス選手権では若いバスティアン・イエットが125ccクラスにやはり賞典外で参加して、そこそこのリザルトを残している。世界選手権のセクション作りを担当している成田は、これがどれくらいの成績なのかはよくわかる。電動マシンにはまだまだ伸び代がある証明でもあった。
その実、北海道大会は急坂が多く、電動マシンにはあまり向いている会場とは言い難い。高いギヤで坂を登っていって、あともうひとつパワーがほしいときなど、半クラッチでパワーをためて、ちょっとずつリヤタイヤを動かす、いわゆるためをつくるアクションなど、クラッチという概念がない電動マシンにはむずかしい。
モーターのパワーを断続する装置はついているものの、これはクラッチというよりスイッチで、クラッチだと思って操作するとかえって痛い目に遭うということで、去年はこれをはずし、左側をリヤブレーキとしてきた成田だったが、今年は左側の(クラッチレバーのように見える)パワー断続レバーをもう少し重たくして、クラッチ感覚で使えるように手を入れてきていた。
今回の結果は12位相当で、ポイント獲得圏までポジションを上げてきた。1年前の目標を、なんとかクリアしたかたちだ。
成田のように、エンジンを使ったトライアルを極めたライダーと、トライアルを始めた当初から電動マシンに乗っている者とでも乗りこなし術はちがってくるだろうし、いずれにしても、電動マシンはこれからの乗り物。
それにはまず、なんでもいいからレギュレーションを決めて、なるべく早く実戦参加ができるようにお願いしたいところです。