© トライアル自然山通信 All rights reserved.

全日本第2戦名阪IA、IB、L、OPT
国際A級スーパーの他、国際A級、国際B級のいつもの男の子クラス(女の子が出てもかまわない)に、2016年から加わったレディースクラス、そして今回はオープントロフィークラスとして、かつて国際A級だったライダーが勝負となった。
国際A級
ベテラン村田慎示が優勝した。村田の勝利は1999年の菅生大会以来だそうだ。
村田はチームミタニのイメージリーダー。チームでは部長と呼ばれているが、監督でも社長でもコーチでもない、部長という呼び名が村田にはぴったりのような気がする。
今年のゼッケンは2番。去年はうんと後輩である氏川湧雅がデビューして、同じクラスを戦った。氏川が好成績をあげるごとに、村田もまた成績を上げていって、3度表彰台に乗ってランキング4位、ゼッケン2番をつけるにいたったのだった。
トライアルへの姿勢が真摯で、トライアル歴20年をすぎて、その向上心はあいかわらず。そのあたりが後輩によい影響を与えてもいる。
さて今回も、村田はトライアルらしい、自分自身との戦いに徹していた。1ラップ目、第9、第10と5点になったが、8セクションを12点でまとめて順位は3位。2ラップ目、今度は5点を減らして9点、2ラップ目の順位は2位で、トータルではここでトップに立った。
しかし村田は、自分の成績を知らずにいる。リザルトが出るよりも、トライが進んでゴールするほうが早かった。3ラップ目はまた5点が二つ。減点は11点だった。
悪くはないスコアだが、まだまだよいスコアで回ってくるライダーもいるはずだ。ある程度の上位は実感できたが、表彰台以上は集計が出てみないとわからない。
無事にゴールして、試合後の片づけなどをしていると、優勝していることを教えてくれた人がいた。でも最初は信じられなかった。
村田は1997年に、1年間藤波貴久のマインダーを務めたことがある。自分が出場するわけではなかったが、世界最高峰の戦いを目の当たりにして、ずいぶんと得るものが大きかった。あの当時、試合前の練習はずいぶんとおおらかで、村田も世界のトップライダーといっしょに練習セクションにトライをしていたものだった。
その年の最終戦も、いつものようにいっしょに練習をしていた村田だったが、なんと大転倒して大けがを負ってしまった。そのまま日本に送り返されて病院へ。マインダーを失って、藤波の戦いもたいへんなことになったが、しかし藤波貴久の世界選手権初勝利は、このとき訪れた。
その後、全日本に出場して、村田はめきめきと成績を上げてきた。1999年の勝利は、その頃にあげたものだった。
マインダーが練習しててケガをするのはちょっといただけないけれど、村田の練習熱心はその後も変わっていない。今でも練習場では、スーパーの面々が練習する難セクションを、負けじとトライする村田の姿が見られる。村田のトライアル心は、まだまだ健在だ。
今回の2位には、平田貴裕が初表彰台。村田とは1点差だった。もっとスコアをまとめている人はいっぱいいると思っていたというが、みんな、そこそこに減点を重ねていたということのようだ。
前回優勝の小野貴司は今回3位で、ランキングトップをがっちりキープ。4位には1ラップ目の11位からよく追い上げた久岡孝二が入った。久岡は今シーズンからヴェルティゴに乗る予定でいたが、マシンが間に合わずにガスガスでの出場が続いている。世界選手権もてぎ大会のあとにはマシンが回ってくる予定だが、3位、4位と成績がまとまっているので、はたして乗り換えるべきかどうかはむずかしい判断になっている。
今回は、九州で大きな地震があり、九州勢は遠征がまずたいへんだった。松浦翼をはじめとする熊本レーシング勢は不参加。そんな中、徳丸新伍が6位に入り、宮崎出身の徳丸貴幸(現在は山口県在住)が11位、江藤真弥が12位と、3人がポイントを獲得して九州に元気なリザルトを持ち帰ることになった。
国際B級
岡山の神童、池田蓮が初勝利。池田はおととしのトライアルGC大会で2位となり、国際B級参戦2年目のライダー。今回は1ラップ目の2位から、2ラップ目をオールクリーンしての勝利となった。
1ラップ目3点でトップだったのは、去年近畿大会にだけ出場して2位となった塚本厚志。今年もまた近畿大会にだけ参加して、優勝争いだ。
近畿大会にスポット参戦で優勝争いをするといえば、83年国際B級チャンピオンの和田弘行もいる。和田は毎年近畿大会にだけ出場して上位入賞を奪っていくが、昨年はマシントラブルで無得点に終わっている。
IA、IASやレディースと異なり、10セクション2ラップの戦いのIBクラス。1ラップ目はトップ塚本が3点、2位池田が4点。3位小沼侑暉は5点で、前回優勝のルーキー氏川政哉は7点で4位につけていた。5位が、池田や氏川とは親子以上の年の差がある和田で、和田の減点は9点。ここまでが一桁減点だった。
結果、2ラップ目に池田がオールクリーンを達成したので、小沼より下位のライダーに勝利のチャンスはなくなった。塚本も2ラップ目に3点を失って、2年連続で2位表彰台となった。
小沼は2ラップ目にクリーンを連発して追い上げたものの、最もクリーンが多かった第1セクションで3点となっていて、ラップオールクリーンを逃したばかりか、2位の座も奪い損ねてしまった。
氏川は1ラップ目の二つの3点で出遅れたが、2ラップ目にはテープを切っての5点があり、これで表彰台から脱落してしまった。
ランキングは、氏川がトップ、3点差で池田と、第1戦、第2戦の勝利者が1位、2位をしめている。
レディース
第2戦となったレディースクラス。西村亜弥の勝利はゆるぎがない感じだが、今回は素晴らしい走りを見せた。8セクション2ラップをすべてクリーン。文句なしの勝利だったのはもちろん、なかなかできないオールクリーン達成者として記録に残ることになった。本人は、今日はできすぎ、と謙遜するが、戦いを進めるに従ってもともと高い実力がますます磨かれているという印象でもある。
2位は、前回4位でくやしがった小玉絵里加。まじめに取り組みすぎたから、自分らしく楽しく走ったら出るべき結果が出た、という。3位でくやしいのは小谷芙佐子だった。
オープントロフィークラス
昔とったきねづかクラスのオープントロフィーは、伊藤明男と岩田稔の2名が参加。ベータテクノを改造したスペシャルマシンで走った伊藤が、岩田を4点引き離して勝利を得た。
セクションはIBクラスと同じ。
次戦は九州大会だが、大会が開催されるかどうかはまだ未定。自粛のための自粛はおこなわないという方針のようだが、会場の状況やスタッフとその周辺の安否の確認などもあり、最終判断はいましばらくかかりそうだ。とはいえ、今月中にはその判断も下されそうだ。