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中国大会、IAは砂田真彦初優勝
2014年全日本選手権第5戦、原瀧山トライアルパークでの中国大会は、今シーズン3人目の初優勝ライダー誕生となった。砂田真彦。強豪ベテランライダーの多い関東にあって、今シーズン4人目の勝ち名乗りをあげ、ランキングでも2位に浮上した。
ただでさえ滑る原瀧山。そこへ持ってきて前日から未明にかけての激しい雨。コンディションはありえないほど厳しくなった。この日の全日本は、サバイバルな1日となる。滑る路面でマシンを進めるむずかしさは、セクションでもコースでも変わらない。勝負以前に、1周するのに疲労困ぱいするライダーも多い。
「2ラップ目、5点が一つもなかったのが勝因だったかもしれません。なんとか抜ける、というのは、世界選手権で練習を積んでますから、今日はもてぎを走っているつもりで走りました」
砂田は、毎年世界選手権日本大会に出場している。国際A級でのトップ争いは、どこまでクリーンを増やせるか、という勝負になることが多いが、世界選手権ではいかにセクションを抜け出るかが勝負になる。そういえば、この日のコンディションとライダーの苦戦ぶりは、世界選手権のセクションに通じるものがあったかもしれない。
1ラップ目の砂田は5位。しかしトップの吉良祐哉とはたったの2点差だった。吉良と藤原慎也が同点、1点差で小谷徹、2点差で岡村将敏と砂田がつけるという1ラップ目の戦況だった。いずれ強豪ばかり。若い吉良にはまだ勝利の経験がないが、他のみんなは勝利経験のあるライダーばかりだ。さらに本多元治、小野貴史といった勝ち方を知っているベテランも控えているし、初優勝したばかりの佐藤優樹もいる。
2ラップ目に抜群だったのは小野だった。5点はふたつあったものの、11セクション(当初12セクション用意されていたが、7セクションはキャンセルとなった)中4セクションでクリーン。唯一10点台のスコアをマークした。しかし小野は1ラップ目が11位。さすがにここから優勝まで駒を進めることはできなかった。
砂田の2ラップ目は、クリーンこそ2個と少なかったが、5点が一つもないのは全ライダー中唯一。小野に2点多いだけの21点で2ラップ目をまとめて、3点差で勝利した。
「5点がなかったのはよくやったと思いますが、クリーンが少ない。最多クリーン賞の本多さんはクリーンが7つもありますけど、ぼくは3つしかないんです。まだまだ迫力がちがうと思います。ぼくはだいたい地味なんです」
とちょっと謙遜気味の砂田だが、それこそ、砂田のキャラクターでもある。これでライディングはトップクラスの迫力を持っているのを証明したから、人間に迫力がつけば、もっともっと強い砂田が誕生するはずだ。
砂田が全日本選手権に参戦を始めたのは2000年から。名門、和光イエローウイングの若手としてデビュー、翌2001年にはランキング7位で国際A級に昇格した(ランキング8位まで昇格圏内だった)。チャンピオンは安藤剛史、同期には永久保恭平、西元良太、宮崎航らがいる。
なんと砂田は、国際B級でも勝ち星がなかった。なので2000年の初参戦以来、全日本選手権15年目の初優勝、ということになる。
「初優勝ですけど、もう若手じゃないですね。ベテラン? うーん、中堅というところで」
と自分の立ち位置を分析する砂田。
ランキングでは今回2位の藤原が安定してポイントを伸ばしているが、砂田は岡村と同点で2位に浮上した。佐藤優樹、小野貴史を加えた4人がランキング2位争いの渦中にいる。