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2014国際Bのタイトル争い熾烈に
2014年9月7日、中国選手権第5戦中国大会国際B級クラスは、氏川湧雅が勝利した。氏川の勝利は今シーズン2勝目。これまで3勝をあげている久岡孝二が4位となったことで、ランキングトップも氏川となり、とはいえその差はたったの1点。2014年の国際B級の戦いは、かつてないほどに熾烈になっている。
前日夕方から未明にかけて断続的に降った激しい雨の影響で、ただでさえ滑りやすい原瀧山トライアルパークはつるつるになった。勝てるか勝てないか、クリーンができるかどうか、というより、コースを1周できるのかどうかを心配するライダーが多かったくらいの厳しいコンディションだ。
2014年のここまでの4戦、表彰台の1位2位は氏川とライバル久岡孝二の二人が独占している。そのうち3勝が久岡の勝利、氏川は第3戦となって初勝利をするも、第4戦でまた久岡に勝利を奪われ、ランキングポイント差も6点差に広がっていた。
ふたりの勝負がすごいのは1位2位独占だけではない。毎回1点差だったり同点だったり、ほとんど点差が変わらないということだ。北海道では氏川がおかした5点のひとつで勝負が決した。この二人の勝負は、5点ひとつが致命傷、足つき減点もぎりぎりまで減らし、少しでもクリーン数を稼いで同点の場合の事態に備える必要があった。
ところが今回はちょっと様子がちがう。第1セクションから、氏川が2点をつけば久岡が3点。第2セクションからは、抜けらればオンの字、へたをするとセクションインもできない過酷な地形を相手に戦うことになった。いつもライバルを最大の標的に戦ってきた二人にすれば、まったく異質の戦いになる。
1ラップ目、トップの氏川の減点は29点でクリーンが3。2位は久岡で34点、クリーン1。今回の戦いがこれまでとちがうのは、3位沖勇也が37点で、トップ二人に比較的僅差で迫っていたことだ。これまで圧倒的点差をつけて優勝争いをしてきた二人にすれば、これも初めての経験となった。
2ラップ目、今度は時間との戦いも加わった。スーパークラスでは2ラップ目になってコンディションが復活した森の中のセクションも、IBが走る時間帯ではまだまだ湿ってグリップが悪かった。1ラップ目よりよい結果が出ることはほとんどなく、時間に追われて減点を増やしてしまう。2ラップ目の減点は、氏川が5点、久岡が4点、1ラップ目より増やしてゴールすることになった。
これで氏川の勝利が決まったわけだが、しかし久岡にはまださらなる戦いが待っていた。沖が2ラップ目になって、1ラップ目を上回るスコアをマークして、久岡をかわして2位に躍り出ていた。さらに久岡にはタイムオーバー減点が2点あった。これを加えると、久岡は山崎頌太と同点となって、クリーン数の差で表彰台をも逃してしまったのだった。
今シーズン、初めて久岡が逃した表彰台。それは氏川とのポイント差が一気に7点も縮められることを意味する。これまでの6点差から、ランキングトップの座を譲り渡すことになった。
久岡がいない表彰台の3人は、氏川、沖、山崎と、いずれも10代のライダーだ。氏川と久岡の壮絶なトップ争いに引っ張られて、今シーズンは若いライダーがのびのびと実力を発揮して上位に進出している。表彰台のセレモニーは、初めてシャンパンを預けられた山崎が、栓が抜けずに苦労をするというほほ笑ましい光景で幕を下ろした。チャンピオン争いはあと2戦、これまでよりさらに厳しい戦いが繰り広げられることになる。