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黒山、鹿児島で復活勝利
鹿児島県錫山オフロードランドでの全日本選手権は、ディフェンディングチャンピオンの黒山健一が勝利した。2位は野崎史高で、その点差は5点。ただし黒山は試合終盤にちょっとしたトラブルがあって、これで減点を増やしたのでこの結果となっている。中盤過ぎまでの黒山は、久々に圧勝の黒山スタイルで試合を進めていた。
開幕戦で勝利した小川友幸は、試合の走り始めはよかったが、失敗が5点につながるライディングがたたって、減点を徐々に増やしてしまい、今回は3位となった。開幕戦で表彰台に上がった小川毅士は今回は4位で、小川コンビ失速の第2戦となった。
国際A級は藤巻耕太が初優勝。国際B級は山本直樹が2連勝を飾っている。
試合序盤は、小川友幸が好調だった。本人によると、序盤からそんなに調子がよいというわけではなかったが、結果としてスコアがまとめられていた、ということだが、二人の小川と坂田匠太以外がすべて5点になるという第1セクションでの1点から始まり、1ラップめは黒山健一に1点リード(黒山にはタイムオーバーがあったので、あわせると2点)でトップに立った。
しかし、今回は黒山もライディングやマシンに問題を抱えていたわけではない。たまたま第1セクションで5点となり、続く4セクションをたてつづけに1点減点として小川にリードを許したが、2ラップ目の第1セクションでクリーンをして、これで自分のライディングに自信を持つことができた。以降はしっかり自分のライディングに集中して、開幕戦での雪辱を果たした。
小川友幸は黒山に敗北したのみならず、試合を進めれば進めるほどに減点を増やしていった。ラップごとに10点ずつ減点が増えてしまうような勢いで、ついに3ラップ目には野崎史高に逆転を許してしまった。
野崎は、1ラップ目の減点が多く、これが優勝争いできない理由となった。とりあえず前回の4位から2位までポジションを戻したところで、次は試合序盤から自分のペースをつかむことが課題となりそうだ。
4位は、前回表彰台から、ひとつポジションを落とした小川毅士。今回は表彰台を狙う攻めのライディングができなかったと反省の弁。それでも、要所要所でのライディングは、真壁の時の毅士を思い出させる堂々たるもので、試合のコントロールに慣れてくれば、トップ争いに切り込んでくるのもそんなに遠い将来ではないと思われる。
真壁をお休みして、今回から復帰してきた渋谷勲は、しかし5位に終わった。直前に仕込んだ300ccエンジンのセッティングに迷ってしまって、試合中も迷いながらのライディングになってしまったという。ポテンシャルはトップ争いの資格を充分に持つライダーだから、次の大会で本領発揮してくれるに違いない。次の近畿大会は「地元の大会です」と本人も楽しみの様子。去年大阪に拠点を移し、シーズン後半から全日本への参戦を再会した渋谷にとって“地元関西”での全日本は、今度の近畿大会がはじめてとなる。
6位は破壊力ナンバーワンの田中善弘。軽量のベータEVOを得て、ぐんぐんポジションをあげてきている。
7位以降は接戦だ。今回はルーキーの斎藤晶夫が7位を得た。スーパークラスへ昇格したルーキーは、セクションの難度の高さに走るだけで精一杯というのがこれまでの例だったが、今年のルーキーたちは先輩たちの存在をものともせず、その中に割って入っている。結果は10位だったが、柴田暁など、1ラップめは5位の結果を残した。2ラップ目以降がオール5点でこの結果となったが、試合をまとめるのがいかにむずかしいかという教訓と同時に、柴田のライディング技術そのものは、上位陣に近づきつつあるのを証明している。
8位は尾西和博。9位に、マシンを再びガスガスに戻した坂田匠太が入っている。4ストロークに新天地を求めた坂田だったが、そのポテンシャルには期待をしつつも、扱いのむずかしさに昔からの愛車に戻ったという。10位柴田までがポイントを獲得し、11位三谷英明と12位西元良太は無得点。しかしこれで、12名のスーパークラスのライダー全員がポイントを獲得したことになる。トップ争いと同じく、中盤以降のつばぜり合いも、今年のスーパークラスの興味のひとつだ。
■国際A級
前回、ベテラン小森文彦に阻まれて初優勝がならなかったヤングパワーの藤巻耕太が国際A級初優勝。1ラップ2ラップはほかを寄せ付けない圧勝ぶりだった。3ラップ目にやや減点を増やして、その機に宮﨑航が追い上げてきたが、序盤の貯金がきいて辛くも逃げ切りに成功した。
ベストラップの7点は藤巻によるものとなったが、ベストクリーンは3位の小森だった。
地元九州勢は、9位に西和陽が入った他、徳丸新伍が12位で最後のポイント獲得者となった。
■国際B級
例年の国際B級とは少し様子がちがい、シーズン序盤から若手の活躍が目だっている。その筆頭が、鳥取の二世ライダー、山本直樹だ。
開幕戦で全日本選手権初出場初優勝を飾った山本は、今度はさらに圧倒的うまさを見せてぶっちぎり勝利を得た。今回はセクション難度が高く(セクションを設定したのは、工藤やすゆきさん。熊本在住の工藤さんにとって鹿児島はそんなに近いロケーションではないが、足しげく通ってセクションを設定したという)山本にとっても走りごたえがあったようだ。
2位は藤原竜。東北勢のひとり。3位は愛媛の吉良佑哉。上位陣は、ずらりと若手が占めている。若手が伸びてきているのか、熟年ライダーが疲れ果ててきたのかはもう少し経緯を見守る必要ありかと思われる。