© トライアル自然山通信 All rights reserved.

たくさん笑った! Honda秋の祭典デモはすごかった
11月11日、Honda秋の祭典なる秋のお祭りが開催された。埼玉県朝霞市にある本田技術研究所二輪R&Dセンターのお祭りだ。技術研究所はHondaの新製品の研究開発をしている部署。Hondaのオートバイの生まれ故郷というわけだ。そのお祭りが、今年、すごいことになった。
東武東上線朝霞台駅から徒歩10分のところにある研究所。研究所だけあって、機密のかたまり。ふだんは部外者立ち入り禁止の厳しいところだが、この日ばかりは誰でも入場ができる。
イベントには、ASIMOショー、紙ヒコーキづくり、仮面ライダービルドショー、アイロンビーズをはじめ、紙で作るASIMOクラフト、二輪部品でハンドスピナーを作る、などオートバイ、乗り物好きかどうかを問わずに楽しめるイベントが盛りだくさん。F1、スーパーGT車両乗車体験もあった。
そして今回の目玉はトライアルショー。ショーは11時と15時の2回。どちらの回も、開演1時間ほど前には前列の場所取りがいっぱい。なにが起きるか、期待満々のお客さんばかりだ。そしてショーが始まれば始まったで、驚きの技にどよめく歓声に、ほかのところで楽しんでいたお客さんも続々と集まってきて、それはそれはたいへんなことになった。
もともと、イベントの開催が発表されたときには、小川友幸がデモをするということだったのだが、なんとそれに小川の最大のライバルにして、Hondaの最大のライバルメーカーであるヤマハに乗る黒山健一も参加するという。これはたいへんなことになると興奮していたら、なんと藤波貴久がスペインからこの日のために帰国してデモンストレーションに合流するという。その顔ぶれを見るだけで、どんなことになるか想像ができるというか、想像を絶することが起きるのが想像できてしまうという、たいへんぶりなのだ。
ショーの会場は、二輪R&Dセンター敷地内にあるテストコースの一部。ここに人工セクションが用意された。研究所の建物に囲れて、施設の外部からはこのエリアを見ることはできない。それもごもっとも、このテストコースでは極秘の社内テストが行われるところだからだ。
ショーに沸いているお客さんは、トライアルファン、家族連れ、一般観客ももちろん多いが、本田技術研究所のトライアル関係者、トライアルに関わってきた本田技術研究所OBの姿もあった。OBの一人、藤波らブラック団の面々を少年のころから知っている、HRCそしてモンテッサ・ホンダにもお勤めになられていた宮田卓英さんに聞くと、ここは昔サミー・ミラー来日の際にも社内的なデモンストレーションをやったとのこと。そのときの舞台はあっちの斜面だった、その同じ場所を・エディ・ルジャーンも走っていると、なつかしい貴重な思い出を語ってくださった。
デモライダーは5人。藤波、小川、黒山、そしてこの研究所に勤務するIASライダー斎藤晶夫、レディースライダー小玉絵里加。豪華なメンバーによる豪華デモだ。
5人のデモライダーは、全員ワイヤレスマイクをつけているから、走りだけでなく、おしゃべりも聞き逃せない。メインの司会と進行は小川がつとめるが、黒山、藤波のトークは、途切れることなく観客を笑わせていく。ほとんど台本なしのアドリブだそうだが、仲良しの3人のこと、デモもトークもぴったり息が合ったところを見せた。
ここにお勤めの斎藤晶夫は「サラリーマンライダー」ですと笑いをさそいながら華麗な走りを見せた。全日本レディースクラスをHondaで走る小玉も楽しいトークを交えながら笑顔でライディングを披露した。
藤波は、小川のスペアマシンを借りて走った。外装はすっかり愛車のようにお化粧されていたが、これはRepsolなどスポンサーのステッカーを持参して貼ったものだった。マシンそのものは走り慣れている自分のものでなく、セッティングも藤波仕様ではないので、マシンコントロールに戸惑いを見せることもあったが、フジガス独特のスピーディーでダイナミックな走りは健在だった。
ヤマハ契約ライダーが、ヤマハのファクトリーマシンをHondaのテストコースを走らせるのも前代未聞。黒山本人も、そしてホンダ契約の藤波と小川も、これをネタに笑いのトークが盛も上がる。
用意されたショー用の移動式人工セクションを縦横無尽に走破しながら、スピード感たっぷりのデモが続く。全日本選手権では熾烈なチャンピオン争いを繰り広げた小川と黒山だが、デモともなれば、そのチャンピオン争いさえも笑いのネタとする。3人のトークがおかしすぎて、会場は終始笑いの渦だ。
デモの最後の見どころは、高さ3メートル近いコンテナボックス。キッカケを使って登るにしても、登った上は2メートル四方ほどとごく狭い。そしてそこからの飛び降り。もともと用意されていたものではなく、敷地内にあったコンテナボックスを藤波が見つけて移動してもらったものらしい。午前中は小川友幸がお助けをしながら藤波だけがチャレンジしていたが、午後の部ではお助けなしで藤波が登った。すると藤波はそこから降りずに、コンテナの上から2人を手招き。全員でこの上に乗ろうと提案。え? マジで? 困った小川と黒山だったが、じゃあやってみようか!となってチャレンジすることになった。
とっても狭いコンテナの上。先に上ったマシンを、コンテナの角にアンダーガードを引っかけて隅っこに寄せてスペースを作り、落ちそうなマシンを押さえながら、またひとりと上っていく。本人も観客もヒヤヒヤしながら、3人全員登頂を達成。3人登った時には場内一体になった達成感で大歓声だ。これもアドリブだというが、彼らの遊び心がとっても素敵だ。
コンテナボックスから降りるのは、さしものトップライダーとしても恐怖感タップリらしい。小川と黒山は登る時のきっかけスロープを使って降りたが、藤波貴久は観客の拍手と歓声を要求、盛り上げをあおりながら、何もない平地へとダイレクトにジャンプ。圧巻だった。
さて、このイベントのために来日した藤波貴久だが、このイベントの翌日にスケジュールがはっきりした。藤波はXトライアルに出場しないことになったので、12月に行われるツインリンクもてぎで開催されるファン感謝デイに参加することになるという。ボウはXトライアルに出場するので今年のファン感謝デイには来られないが、来月には小川友幸と藤波貴久のデモンストレーションをツインリンクもてぎで見ることができそうだ。お見逃しなく。
なお、youtubeチャンネルのsumimitumaru氏もこのデモを記録。貴重なデモの様子はこちらからどうぞ。