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黒山健一、タイトルに王手?
9月6日、岡山県高梁市川上町原瀧山トライアルパークで全日本選手権第5戦(今年4戦目の全日本)中国大会が開催された。
黒山健一が野崎史高との接戦を制して3連勝。小川友幸が4位と低迷したことで、黒山の全日本選手権2連覇がいよいよ現実的となった(ポイント差は12点と、残り2戦で計算上はまだまだ逆転のチャンスはあるが、黒山はここ数年、3位以下に落ちたことがない。小川が逆転チャンピオンとなるには、小川が2連勝、黒山が2戦続けて4位となる必要がある)。
序盤は野崎が絶好調。黒山も野崎の好調の前にがまんの戦いを強いられたが、2ラップ目中盤以降に野崎がぽろりぽろりと減点し始め、最後は10点ほどの点差で黒山が逃げきった。
3位には復帰後いよいよ本調子に近づいてきた渋谷勲。負傷の影響で本調子にほど遠い小川友幸を4位にはさんで、5位に小川毅士が入った。
国際A級は本多元治、国際B級は山本直樹が全勝で4連勝。エキシビション125には静岡の磯谷玲が参加した。
この大会、昨年に続き、午前8時から国際B級(とE125クラス)がスタート、国際A級は12時10分からのスタートとする変則的運営でおこなわれた。いまだ賛否両論はあるが、2年目とあって、選手はこのシステムをスムーズに受け入れたように思えた。なお細かいタイムスケジュールは、去年に比して若干の改善が加えられている。
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◆国際A級スーパークラス
小川友幸の不調は、第1セクションから明らかだった。ちょっとしたバランスの乱れで簡単に足が出る。小川は前日の練習中に、古傷の手指を痛めてしまっていた。本来なら治療に専念すべき負傷を、シーズン中とあってそのままだましながら戦っていたものだが、再び同じところを痛めて万事休すとなってしまった。
「主治医の先生には単刀直入に走るなと言われました」
それでも小川はスタートした。このコンディションでは黒山とのタイトル争いを続けるのは無理があるも、ランキング2位を守るためには、この大会を欠場するわけにはいかない。
けがの状況から、最後まで走り続けられる自信がなかったため、トライは早め。真っ先にセクションに入り、あっさり5点となる小川友幸の姿は、事情を知らない誰でもが、その異変を知ることになった。
そして第2セクションでは、黒山健一が大岩を登り損ねて5点になった。ここを野崎史高はクリーン。
「前日に下見をした限り、日曜日の試合はオールクリーンが出ておかしくない神経戦」
と黒山は予測していた。だからこの5点は、致命的な減点となる可能性があった。
野崎は、この後も5点のないトライを続けていく。第5で1点、第7、第8で1点と細かい減点はあるが、まだ僅差で黒山をリードしていた。その両者の戦いが動いたのが10セクション。黒山がクリーンした後、誰よりも後にトライしていた野崎が5点となった。走りを乱してバタ足となったあげくにタイムオーバーとなったものだ。この時点で、黒山の減点は6点。たった2点差で、トップは黒山に移った。
しかし2ラップ目の第2セクション。またしても黒山を悪夢が襲う。今度は慎重に走りすぎた結果、時間がなくなってしまった。ふたたびの5点。相性もあるのか、野崎はここを再びクリーン。せっかく取り返したトップの座を、黒山はふたたび奪い返された。3点差で野崎のトップだ。黒山はまたもがまんのトライを重ねることになった。
黒山と野崎、どちらか崩れた方が勝利を失う。おりから、30度以上の猛暑は、ライダーから体力と集中力を奪っていく。失敗が目立ち始めたのは、野崎の方だった。
第7、第8と、1ラップ目には1点だったセクションで続けざまに5点。さらに1ラップ目に逆転を許した第10セクションでまたも5点。わずかなリードはあっという間に失って、逆に大きなリードを許すことになった。
黒山は、ひたすらがまんのトライを続けていた。第2セクションでふたつの5点を失ったのは痛かったが、これ以外の減点は極力抑えてラップを回っている。1ラップ目は第7セクションでの1点のみ、2ラップ目は2セクション以外のすべてのセクションでクリーンをたたき出している。
野崎には苦しめられたが、結果的には文句なしの勝利。黒山の、今シーズン3勝目が決まった。
黒山健一
「いやぁ、ほんとにがまんのトライアルでした。第2を2回とも失敗しているのは残念でしたが、ほぼオールクリーンという前日の予想にまず近い走りができたので、よかったと思います。今日は暑かったですが、ふだんこれくらいの暑い中で練習していますから、特に暑さで体力的に問題を感じることはなかったです。ありがとうござました」
野崎史高
「ラップ目後半、タイムオーバーがあったりで残念な5点が続いてしまいました。まず調子のいい戦いができていたので、体力を鍛えてあと2戦をがんばりたいと思います。今日は、暑さでまいってしまいました」
一方3位争いは、小川毅士と渋谷勲の戦いに、後半小川友幸が絡んでくる三つどもえとなった。小川友幸は当初は6位と低迷していたが、2ラップ目に入って体力を気にしての早まわりから、じっくりトライする戦い方に参戦変更。悪いなりに減点を減らして順位を少しでも上げようと考えた結果だった。
2ラップ目の小川友幸は、これが功を奏したか減点を一気に一桁まで減らしてきた。この減点なら表彰台の可能性があったのだが、それは結果論というものだ。
渋谷は、1ラップ目に犯したいくつかの失敗から、2ラップ目には一桁減点を目指してトライをしたが、それには届かず。結果的には3位表彰台という現状得られる充分な結果を得たのだが、内容には不満がある様子だ。
終わってみれば、小川友幸は渋谷に4点差。後半の追い上げは急だったが、ちょっと届かない結果となった。
1ラップ目に好調だった小川毅士は、2ラップ目に減点を増やして5位に落ち着いた。
渋谷勲
「復帰してマシンも変わって半年、セッティングにも時間をかけてきたし、満足する体制が整ってきました。4ストロークの乗り方にも慣れてきたし。そろそろ勝利を目指して戦っていきたい」
小川友幸
「痛めたのが左手の人差し指なので、苦しい、がまんの戦いとなりました。今回は、ランキングを守るということで何ポイントでもいいからということでスタートしました。残り2戦ですが、あと1ヶ月ですからこのままだましてシリーズを戦ってしまうか、本格的に治療した方がいいのか、まず治療法について考えるところからはじめたいと思います」
小川毅士
「1ラップ目3位はまぁまぁだったけれど、2ラップ目に追い上げるべきところで減点してしまった。こういうところが、まだまだ弱いところがある。もっと力をつけなければいけないとあらためて思った」
◆国際A級
いつもの10セクション3ラップに対して、12セクション2ラップとなった中国大会。セクションも少ないが、持ち時間も少なくなっている上、突然真夏日に戻った猛暑の影響で、かなり過酷なトライアルとなった。
優勝は、今シーズンは全戦には参戦していない本多元治。ベテランらしいきっちりした戦いで昨年の最終戦以来の勝利をおさめた。
本多元治
「土曜日に下見をした時点で、オールクリーンを目標にする神経戦となることがわかったから、土曜日のウォームアップはそうそうに切り上げて、しっかり体を休めて試合に集中するように努めました。大会は、それがよかったのか、しっかり集中できたし、減点も1点でまとめられて、いい結果でした。次の大会も、こんなふうにしっかり集中して試合をまとめていきたいと思います」
2位は本多同様、全戦には参加していない小森文彦。3位に北海道で優勝下ばかりの小野貴史。4位に久々の出場の成田亮が入り、ランキングトップの藤巻耕太が5位にはいっている。














左上から2位小森文彦、3位小野貴史、4位成田亮、5位藤巻耕太、6位宮崎航、7位野本佳章、8位徳丸新伍、9位寺澤慎也、10位岡村将敏、11位佃大輔、12位高橋伸一郎、13位尾藤正則、14位永久保恭平、15位砂田真彦
◆国際B級
近畿選手権で山本直樹を破ったという宮本竜馬が全日本戦選手権初出場。国際B級もまた、1点を争うクリーン合戦の神経戦となった。
山本は、序盤第4セクションでエンジンストップ。バランスを保てずに足をついてしまい5点となった。これが尾を引くかと思われたが、しかしそれ以外を順当にまとめて逆転勝利。今シーズン4勝目をあげた。
2位は関東の松岡一樹。1ラップ目の5位から2ラップ目に減点を減らして2位まで浮上してきた。
3位が、初出場の宮本竜馬。5点を二つ取りながら3位だから、もう少し試合慣れをすれば、山本の強敵になるにちがいない。














左上から、2位松岡一樹、3位宮本竜馬、4位佐藤優樹、5位大西貴、6位平井賢志、7位岩見秀一、8位吉良祐哉、9位安岡護、10位大山和之、11位紺野賢二、12位樋上真司、13位藤原竜、14位岩田悟、15位小橋功
◆エキシビション125
磯谷玲が初出場。1名以上の参加がないエキシビション125クラス。
こういうクラスが全日本に併設されているのに、125を普及させる積極的方策をとっていないMFJやトライアル委員会にもなんとかしてほしいものだが(普及しないから、インポーターもコストのかかる公認申請ができない、公認されていないから125の普及が進まないなど。ただし最近の125マシンは公認申請をされているものも多い)、このクラスに参加する若手ライダーにとっては、国際B級での成績に自分の結果をあてはめれば、相応の成績が見て取れる。たった1名の参加でも、実質国際B級の一員として参加ができているようなものだ。
今回参加した磯谷は13歳。国際B級の成績にあてはめると22位相当になる。過去このクラスに参加した先輩たちはIBクラスではかなり低位置に相当していたから、磯谷は年齢的にみても、将来が楽しみな存在といえる。

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