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STRIDER日本グランプリ・ファンミーティング
【トライアル世界選手権日本大会は今年で20回目の開催】
6月8〜9日にツインリンクもてぎで開催されるトライアル世界選手権・ストライダー日本グランプリ開催1週間前の6月2日(日)。東京都港区のhondaウェルカムプラザでファンミーティングが開催された。12時30分から藤波貴久選手と小川友幸選手のトークショー。1時よりホンダ本社ビル前のスペースで、トライアルデモンストレーションが行われた。
小林直樹さんによる司会進行で、まずトライアルってどういう競技? についての解説がはじまった。トライアルは他のモータースポーツと違って、唯一スピードを競わない。走破性を足つきなどによる減点制で競われるという説明のあと、藤波選手と小川選手がトライアルウエアで登場。両選手の近況報告や、トライアルとの出逢いの話など、楽しい話題で盛り上がっていく。
まず近況報告。2019トライアル世界選手権は、先週イタリアで開幕戦が行われたばかり。イタリアでは6位になった藤波選手がこう語った。
「近年の開幕戦は、ケガなどでどこかしら体に問題があったのですけど、今年は開幕前からすごく調子がよくて、今年は行くぞ! という勢いでした。そんな中、6位というのは満足できませんでしたね。表彰台は狙えるぞという勢いで、2ラップ目は4位にいたんです。でも最後の方で失敗を続けて6位に落ちてしまいました。悔しいですね。でもその悔しさを今回の日本グランプリにぶつけたいと思います」
「最後に5点を続けてしまったのは、持ち時間がなかったんです。それで焦ってしまって。あ、タラレバを言ってしまいましたね……。今度の日本グランプリは、みなさんの声援にかかってますから(笑)。表彰台に登れなかったら、みなさんの声援が足りなかったということで……」(場内爆笑)
全日本選手権で8度目のチャンピオン獲得、6連覇を遂げている小川友幸選手は、今年全日本選手権を2戦走ってきた内容についてこう語った。
「昨年は最終戦まで、タイトルはとれないかと思うほど追い詰められましたからね。でも、連覇を続けたいという思いで、やれることはすべてやって、やり尽くしての勝利なので、本当にうれしかったです」
「今シーズンはすでに始まってまして、みなさんの今のこの空気でわかるように『ああ、ダメだろうな……』という雰囲気ですよね(笑)。確かに、あんまり調子は良くないんです(笑)」(その横で藤波が「これがね、ドラマを作る男なんですよ〜!」と口をはさみ、場内大喝采)
「開幕戦はいつも勝てないことが多いんです。でも第2戦の九州は僅差で追い込まれまして、最後に自滅するパターン。負け方として、これはまずいなと思いました。自分の調子はけして悪いわけではないので、あとは結果につなげるだけ。もてぎの世界選手権をきっかけにして、常に上位を目指して7連覇を目指したいと思います」
——– 藤波選手と小川選手がトライアルをはじめたきっかけは?
藤波「それぞれの父どうしが、同じトライアルのチームだったんです。それについて行ってた僕とか小川さんがそこで知り合って、小さい時からトライアルを始めたんです。僕は2歳だったと思います。覚えてないんですけどね。でもたぶん、自分から乗りたいというか興味をもってたんでしょうね」
小川「僕もその同じ環境で自然にトライアルマシンに乗るようになってましたね。親の強制というわけではなかったです」
——– 将来トライアルライダーを目指すお子さんたちにメッセージを。
小川「目標を持つことは大事ですけど、自分がそのジャンルのスポーツが好きじゃないとむりかな。他のモータースポーツもそうですけど。自分がいちばん好きなことを見つけてもらうことが大事だと思います。実は僕自身、本気でサッカー選手を目指していたんです。成績もけっこう良かったんですが、サッカーの怪我が多かった。それでサッカーの道は断念をしてしまったというのがありますが、トライアルが本当に大好きなんです。もちろん今もトライアルがとても楽しくて」
藤波「僕は3歳からバイクに乗ってますけど、いまだにバイクに乗るのが大好きですからね。今日のファンミーティングだって、この後バイクに乗れるということで、ワクワクしてるんです」
——– 2000年から開催されているツインリンクもてぎは、今年で20回目の開催。2日制で19回開催されているので、これまで合計38回になります。藤波選手はその38回のうち28回表彰台に上がっています。優勝が6回。2位が10回。3位が12回という素晴らしい成績を残してます。日本グランプリの見どころ、自分が見てほしいポイントはどこでしょう?
小川「僕のライディングについては、すごく滑る場所が得意です。もてぎの会場の山の奥の方、つるつるの黒い土のところがあるんですけど得意なんですよ。ほとんどのライダーが5点になるところで、僕だけクリーンしたことがあるんです。僕のそういうところを見てほしいですね(笑)。でも、二日間というのは正直体力的にきついです。二日目になると、海外のライダーはかなり点数をまとめてきてレベルを上げてくる。僕自身それについていけるように頑張りたいと思います」
藤波「毎年いろいろとセクションやコースを変えてくれていて、いつも見どころはたくさんです。天気がどうなるかわからないですけど1日目と2日目とは環境が変わるかもしれないので、そこでどう僕らが自分のものにしていくというところが、魅力になると思います。そしてやっぱり、みなさんの応援に期待してますから(大喝采)」
そしてファンからの質問コーナーでは、ファンの方からこんな興味深い質問があった。
——– 子どもたちの夢のために聞かせて下さい。トライアル選手になるといくらくらいもらえるのでしょうか? そして世界のライダーになるとどのくらいでしょうか?
小川「正直な話。トライアル競技に出始めていた頃も、確定申告があるじゃないですか。その時に担当者の方に、ここまで経費をかけても収入がないことに「何のためにやっているんですか?」と言われていたんです。ところが、今はその方から「すごいですね〜」と言われるようになりました。笑(おーっ、と場内どよめく)」
藤波「僕は、ライダー歴が長いんですよね。24年間やってますから。だからトライアル界の日本人としては、いちばん稼いでいるかもしれないです。笑(大喝采)。世界チャンピオンをとったのは24歳の時でした。それからの年収はそんなに変わらなかったので、えーとね、けっこうもらってますよ(おーっ、と場内どよめく)。
——– 小林直樹「NSXでたとえるとしたら、何台くらい買えますか? 子どもたちに夢をあたえる答えでお願いします!」
藤波「ホンダさんが1台くれたので、それは差し引きしても、NSXを何台も買えますね(場内拍手)」
さて、午後1時からは、Honda本社前のスペースで、藤波、小川選手によるトライアルデモンストレーションが行われた。毎年恒例になっているこのデモンストレーションは「青山一丁目」交差点の目の前で行われるという、なかなかすごいイベント。集まったトライアルファン、Hondaウェルカムプラザを訪れたモータースポーツファン、そして休日の青山をすごしている通りがかりの方々、そして国道246、外苑東通りを通過するたくさんの車両の中、多くの人が、華麗に飛び跳ねる両選手の走りに注目していた。
さて、いよいよ今週末の6月8(土)9(日)の二日間『FIMトライアル世界選手権日本大会・ストライダー日本グランプリ』が開催されます。7日(金)はスタート順を決める予選が行われる。金曜日の予選については、ツインリンクもてぎに入場すれば、無料で観戦することができる。
今週末は、ツインリンクもてぎでお会いしましょう!