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アフターWCTトライアルスクール
6月7日、世界選手権翌日の月曜日。興奮もさめやらぬツインリンクもてぎで、すてきなイベントが開催された。前の日に世界選手権を戦ったばかりの、藤波貴久、小川友幸を特別講師に招いてのトライアルスクールだ。
講師は二人だけじゃない、世界選手権ではセクションコーディネーターを務めた本多元治、小川友幸のマインダーを務めた田中裕大も顔を連ねている。世界を戦う藤波、全日本で勝利したばかりの小川、小川とのコンビネーションもばっちりの裕大、そしてA級トップクラスの実力を持ち(裕大もA級トップクラスの実力者だった)セクション造りへの造詣も深い本多。
しかも会場は、前の日に世界選手権が開催されたばかりのツインリンクもてぎ。世界選手権の会場の一部を使いながら、そのスケジュールは進行していく。

タイトルはスクールとなっているが、これは、スクールという場を通じて、世界のトップライダーとファンがかつてないほどひとつにあって遊べる交流イベントだ。いっしょにご飯を食べ、同じ場所を共有する。いわゆるスクールだと、メニューがもっときちんきちんと進んでいくものだけど、今回は主役藤波貴久を中心に藤波ペースで時間が流れていく。準備体操のリードをといわれて、困りながら、助けを求めながら、自分なりのストレッチを披露する藤波。その一言一言に、世界を戦うエピソードや、自分なりのノウハウがこめられていて、たいへんすてきな準備体操になった。

ASTPの山に出向いてのスクールは、世界チャンピオン、全日本チャンピオン含む、4名のA級ライダーを指導者として、あるいはお助けとして、ぜいたくなメニュー。ほとんどの参加者はトライアルはある程度のベテランとお見受けしたが、中にTLR200Rで悪戦苦闘する参加者あり。J Sportsの番組、車輪倶楽部のナビゲーター、田村十七男さん。おっこなびっくりひざ上のステアケースをやらされて、3度目に極意を会得。感想は「藤波選手の教え方がうまくなった」だったけど、たぶん田村さんもずいぶん上達されて、藤波語がわかるようになったんですよ、きっと。
さてそれからカリキュラムは、世界選手権のコースを走ってセクションへ移動する。世界選手権のコースだから、コースといえどもそれなりの難度はある。というより、こんなところを走れるのは、この日の参加者だけの特権だ。トニー・ボウだって、大会の時以外のもてぎを走るのはまかりならんのだ。

セクションには、なんと、参加者の名前が記されたスコアボードも用意されていた。藤波やボウの名前も並んでいる。これできのうの大会のまんま、コリドー(セクションインする前の白い網に囲まれた通路みたいなもの)からセクションインをすれば、気分はまるごと世界選手権ライダーだ。
セクションインから本番さながらに掛け合いをしながら、小川友幸と田中裕大によるマインダーつきのトライや、藤波や小川にあおられて困りながらも世界選手権ジュニアクラスの第4セクションをクリーンした本多元治のライディングなど、用意されていたわけではない(予定通りのものもあったけど、その場のなりゆきも多かった)珠玉のエンターテインメントが数々。土曜日にゲスト参加した大神智樹選手も参加者としてここにいたが、藤波も大神くんには容赦ない。いけなかったという第3セクションを再びトライするように指示。サポートは万全だから思い切っていけ、というアドバイスを受けて、思い切ってまくれかえらんとする智樹。がっちり支えたのは、藤波ではなく、どこまでも心強い田中裕大だった。
ASTPでは、スクールという形式を守りながら、こんな交流イベントをこれからも用意していきたいということだから、今回の参加者のことがうらやましかったみなさんは、今後のツインリンクもてぎ・ASTPの告知には目を光らせるように。