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野崎史高のファイナル・セロー
ヤマハのロングセラーのセローの開発終了となり、セローファイナルエディションが発表されて現在発売中なのはご存知の通りだけど、このたび、野崎史高プロデュースの野崎史高スペシャルが発表された。
セロー乗りとしての野崎は、トライアルの外の世界で最近はつとに定評がある。セローを巧みに操り、ありえない難所を次々に走破していく神様的存在というわけだ。釈迦に説法だけど、日本のトライアルトップのレベルは、めちゃめちゃに高い。そんなライダーが乗れば、たとえマシンがちゃんとしたトライアルマシンじゃなくても、そうとうハイレベルの難所も走ってしまうから、オフロードの心得のある人だったら誰だってそのすごさにひっくり返ってしまうにちがいない。
そんな野崎が、こうすればもっと乗りやすくなるはず、という強い信念の元、セローファイナルエディションに手を入れたのが、この野崎史高スペシャルだ。
セローとトライアルといえば、もともとの開発コンセプトがふつうにツーリングできるトライアルマシンだったのだから(本来の開発コンセプトからはずいぶんと意訳しているかもしれないけど)トライアルが苦手なわけはない。225ccの初期型のセローは、今思えばとてもコンパクトで軽量で、ちょっと重たいトライアルマシンみたいな存在だった。
ただし、世の中のライダーは、丸太を越えたり坂を登ったり降りたり岩を越えたりするようなことはふつうやらなくて、多くは軽量で扱いやすいロードマシンとしてツーリングなどに愛用していた。そうなると、妙にフットレストが後ろについていてライディングポジションが窮屈だとか、セルモーターがあったほうがいいとか、いろんな要望が出てきてモデルチェンジ。少し大きくなった225ccセローは、リヤがディスクブレーキになったり進化して、そして排ガス規制の波にのまれて生産が終わり、変わって登場したのが現行のスタイルのセローだった。
排気量は250ccとなり、ロングツーリングにも余裕ができたり、よりツアラーとして充実し、さらに排ガス規制に対応してフューエルインジェクション仕様となって、細かいモディファイを施されて最終型として登場したのが、このセローファイナルエディションだ。
野崎がどう手を入れたのかは、野崎本人が説明する動画を見てもらえるとよくわかる。この野崎スペシャルのためだけに作ったパーツもあるということだから、なかなかお宝感もある。
スタンディングフォームに適したハンドルの選択というのは、話を聞いた限りだとなるほどと思うけど、実際に立っても座ってもバッチリなハンドル形状を選ぶのはむずかしいから、野崎先生のセレクトにおまかせすればまちがいがない。ちょっと後ろでちょっと下にセットされたフットレストや、いかにも安心なアンダーガードも頼もしい。トライアルをやっている人的には、これがどんだけ心強い味方になるか、よくおわかりだと思う。
お値段は税抜き¥640,000となっている。なお、お披露目されたこのマシンにはダンロップのD803GPが装着されているけど、トライアル用ラジアルタイヤはちょっと特殊だから、これはユーザーの選択でお好きなものを、ということになっている(オプション)。受注生産なので、写真はレッドで作られているけど、グリーンでも対応可能だ。
えーと、こんなことを書くと、せっかく野崎スペシャルを世に出したのに水を差すなと怒られるかもしれないけど、このマシンはトライアルができる実力を持っているけど、自然山通信的にはトライアルの練習用マシンとしてはどうかなぁと思っています。
まずもったいない。重たいから、転がると起こすのが疲れる(野崎先生の場合は転ばないから疲れない)。それでもやっぱりシート高が高いので、足をつこうとして支えきれずに転んでしまう(野崎先生の場合は足をつかないので転ばない)などなど。
セローを持っていれば、ツーリングにいったとき、ちょっと寄り道をしてアドベンチャーな気分にひたることもできるかもしれなくて、そういう夢を与えてくれるのはオートバイの大事な使命だなぁと思うのだけど、アドベンチャー気分にひたるためのテクニックは、できればトライアルマシンでやったほうが、急がば回れだと思うので、みなさん、ちょっとでもいいので、トライアルやってみてくださいね。そしたら、セローのツーリングも、もっとずっと楽しくなるはずですから。
すいません。セローの宣伝ではなく、トライアルの宣伝モードになっちゃいました。
でも、このファイナルエディションの野崎スペシャル、いいなぁ。可能性が広がっているというメリットは、誰にとっても享受できるはずだし、なんせ、これが最後、ですからね。
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