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日本のニュース

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野崎史高の、最後のセロー

野崎史高といえば、いわずとしれた国際A級スーパーのトップライダーで、2002年の世界選手権ジュニアチャンピオン、そして2019、2020年はゼッケン2番をつける。その一方、最近ではオフロードバイクでトライアル技を見せたり教えたりで忙しいという。オフロード雑誌に登場する頻度もうなぎ登りだ。

そんな野崎がモディファイしたセローが、野崎史高スペシャル。今年1月に発表されたセロー・ファイナルエディションをベースに、野崎が仕上げたモデルである。YSPアンフィニグループの各店で手に入れることができる。

セローと野崎史高

実はこのセロー、登場した時に自然山WEBで紹介したのだけれど、誌面ではほんのちょっとしか紹介してなくて、いろんな雑誌がちゃんと紹介してくれてるのに、自然山は何をしてるんだと、野崎さまにお叱りをいただきました。ごもっともです。

トライアル雑誌のくせして、日本トライアルの宝の一人である野崎史高が作ったセローをちゃんと紹介しないで、他の雑誌に先を越され続けているんだから、なんともみっともない、だらしない、なさけない。

セロー野崎スペシャル
ファイナルエディションには赤と緑があるが、この赤い方が人気だという

というわけで、野崎スペシャルの紹介なのだけど、これだけタイミングの遅い紹介になってしまったので、ちょっと本音で書いちゃうと、もらったリリースを見たり、よそさまの紹介記事を読むと、このスペシャルセローは見た目の変化が大きいのではないか、ハンドルだけトライアル用に変えるだけで、ある程度この仕様にはなっちゃうんじゃないか、なんて考えていたのを白状いたします。

なにせ、セローでトライアルというお楽しみは、もう20年以上前から脈々と息づいている。もともと初期型セローの開発スタッフはトライアルライダーだし(全日本チャンピオン、丸山胤保さんのライバルだったこともある人らしい)、そもそも論としてセローでトライアルはちょっとも不思議なラインではなかった。セローが誕生してから35年、トライアルマシンは性能的にもフォルム的にも劇的な変化を遂げたから、いまとなってはトライアルマシンとセローは別次元のマシンとなっているけれど、35年前のセローは、遠くまで行ける、ツーリングにはらくちんなトライアルマシンだった。

セロー初期型とファイナル
1985年型セロー初期型(奥)とだいぶ成長したファイナルエディション。

ただしセローは、登場時点から、何度かのモデルチェンジを経て、徐々にツアラーとしての乗り味を深めていった。225ccから250ccへ、キックスタートからセルスタートへ、どんどん乗りやすくはなったけれど、買ってそのまま山に行ける、トライアル遊びができるコンセプトはちょっとずつ離れていった。セローは人気モデルであって、その使われ方をリサーチすれば、その変化も当然だったと思われる。

そして今、そのセローが最終モデルとなった。フューエルインジェクションを装備して排ガス規制を乗り切ったものの、今のマシンをフォーマットのまま、さらなる規制をクリアするのは困難なのが、その最大の理由だ。

野崎史高とセローのおつきあいは、もう数年来のことになる。最初はオフロード雑誌の依頼で乗ることになって、そのときにも華麗なトライアル技を披露したのだが、正直なところ、重たいしトライアルしにくいし、たいへんだなと思ったという(正直な感想でなくても、どう考えてもトライアルをするのにはトライアルマシンの方が勝っている)。

されどその後、セローや他のオフロードモデルとのコンビネーションで雑誌に登場する機会も増えて、セローとのつきあいが増すに従って、セローが野崎の第二の愛車になった。コロナ禍の最近にあっては、もしかすると自分のトライアルマシンよりもセローに乗ることの方が多いほどではないかという。

セローのステアケース

そんなセローとのつきあいの中から生まれたのが、この野崎史高スペシャルだった。いま、YouTubeを検索すると、野崎がセローで華麗なトライアルテクニックを披露する動画がたくさんヒットする。こういう動画を見ると、野崎のマシンはさぞやトライアルに特化した仕様に仕上げられているのではないかと思ってしまうのだが、さて、野崎史高スペシャルのコンセプトと神髄はどこにあるのか。遅ればせながら実車に触れさせてもらって、ちょっと乗せてもらって、実感した。やっぱりオートバイは、じかに触れてみなければわからないですね。

野崎セローのまず一番の特徴は、美しいことだ。全日本トライアルで、野崎のマシンの美しさは見せつけられているので、このセローもそれと同様といってしまえばそれまでだが、ポイントを抑えてドレスアップするだけで、ずいぶんと見栄えが変わってくるものだ。それから、これはぼくらがトライアルの世界に浸かっているからだけど、ハンドルポジションがふつうになっている。スタンダードのセローは、わざと倒してあるのかというほどに手前に倒れていて、これがセローの標準位置なんだという。トライアルマシンを見ても、この35年間の間にハンドル位置はずいぶんと変遷があった。セローのハンドルが手前に倒れているというよりは、トライアルの常識がどんどん前側に倒れていったということなのかもしれないが、ちなみに、現在の前側に倒れたハンドルのセット位置を、世界選手権で最初に使い始めたのは、野崎だった(ついでに、そそり立ったリヤフェンダーも、野崎時代に流行が作られた。いまや世界の常識になっている)。

セローのジャックナイフターン

外観的、機能的なモディファイパーツは、ハンドルとステップが主要になる。幅の広いフットレストも、いまやトライアルでは常識となっているが、スタンダードのセローは昔ながらの細いフットレストが装備されている。いってみれば野崎セローは、現代のトライアルのスタンダードが加味されたモデルなのだ。

数々のヤマハトライアルマシンの開発に携わり、イーハトーブトライアルなどで開発中のプロトマシンを持ち込み披露して、トライアル現場でのR&Dに努めてた木村治男さんによると、オフロードモデルかトライアルマシンかの区分は、チェーンテンショナーがあるかないかだという。厳密なものではないだろうけど、そういえば世の中のオフロードマシンをチェックすると、なるほどと納得できる。

セロー岩盤登り

この野崎セローには、チェーンテンショナーはついていない。装着しない理由を野崎に問うと、必要性とコストのバランスだということだ。テンショナーがなければ激しいライディングでチェーンが暴れることになるが、なんせ野崎のライディングで問題が出ていないとなれば、並のライダーならまったく問題にならないだろう。

トライアル的に見ると、チェンジペダルがリンク式のスタンダードのままとなっている。リンクをはずしてダイレクトにチェンジペダルをつけるとチェンジパターンが逆チェンジになってしまうという問題もあるのだが、野崎によると「道を走るのに不便だから」と明快なお答えだった。

そう、このセローは、野崎の手にかかれば国際A級くらいのセクションを走破する実力は持っているけれど(ひいき目にいっても、国際B級セクションはるんるんで走ってくるように思える)、トライアルに振りすぎてはいない。トライアル的ライディングと、現代のセローの使い方のメインであるツーリングユースとを絶妙にバランスしている。さらにじゃんじゃんパーツを交換すれば、もっとトライアルライディングがしやすいマシンは作れるだろうけれど、トライアルだけをするならトライアルマシンの方がいいし、パーツ代もかさんでしまう。野崎セローはトライアルに心得のあるライダーが、オールラウンドに楽しめる特別仕様だ。

あー、それに、その内容は秘密、ということだけど、エンジン内部にもちょっとだけ手が入っている。ほんのちょっとしたことだそうだけど、これできびきび感が増して、トライアル風ライディングに適したエンジン性格になっている。YSPショップで販売するマシンだから、排気量をあげたりという、違法な改造ではないから、安心できる。この安心も、野崎スペシャルの目玉のひとつだ。

実は、野崎自身が自分用に乗っているセローは、さらにスペシャル度が高い。といっても、ハンドルの切れ角を増やしたりチェンジペダルを遠くしたりフロントフェンダーをダウンにしたりという、セローをトライアルマシンにするモディファイは施してはいない(これらの改造は、昔々、伊藤敦志さん監修のもと、トライアルジャーナル誌上でセロー・トライアル仕様を作った時にやった改造でした)。

セロー岩登り
このマシンは野崎車で、リヤフェンダーにリヤショックのサブタンクが装着されているのがわかる

野崎スペシャル・フルオプション仕様は、マフラーと前後サスペンションをモディファイしている。エンジンの中身などに変更はない。セローのエンジンパワーについては、野崎はおおむね好評価だ。なんでもモトクロスコースに道場破りに出かけていって、現役のIAライダー(相手はもちろんモトクロスマシンだったらしい)より速く走ってしまったらしいから、パワー的にはまったく問題なく思えるが、ただしハードエンデューロみたいなのに出るのだったら、250ccのこのパワーではちょっと心もとないらしい。車体がより軽量な225ccセローだと、車体はよくてもエンジンパワーが足りなくて、トライアル的走りに物足りなさが出るという。もっとも、225ccにしても250ccにしても、そのフルパワーを使いきるには、野崎ほどのとは言わないまでも、かなりのテクニックが必要だから、一般論としては250ccのエンジンパワーは必要にして充分以上、ということになるのだろう。

セローのジャックナイフ

秀逸なのは、テクニクス製のサスペンションだった。リヤはまったくのスペシャルで、フロントは内部をいじったものというが、前後ともにたいへんスムーズで乗り心地がよい。職権でトライアルワークスマシンの試乗をさせてもらうと、例外なくびっくりするのはサスペンションがスムーズに動くことだ。とにかく気持ちがいい。そのワークス並のサスペンション感覚が、セローで味わえるのだから、このチューニングもお得だ。

マフラーとエキパイ、前後サスペンションは10万円単位のちょっとハイコストなチューニングになるのだが、より的確なパワーを引き出したかったら排気系、より気持ちの良い乗り心地を実現したかったらサスペンションのチューニングを検討してみたらいかがでしょうか。ただし、このどちらも、このチューニングをしたから、野崎選手みたいな走りができるようになる、というものではありません。野崎選手は、こういう気持ちのいい仕様で走ってるんだなぁ、ということです。

野崎史高気分を満喫できるセローファイナルエディション野崎スペシャル。こういう紹介記事で見るより、実車に触れてみるとちがいがよくわかります。最後のセロー買うなら、このマシンのこと、覚えておいてください。

セロースタンダード
スタンダードのセロー(これはファイナルエデションではないけど、諸元は同一)
セロー野崎車
同年式のセローをベースにした野崎車。野崎スペシャルの仕様の他、前後サスと排気系が異なる

●セロー野崎史高スペシャルについてはこちらもご参照ください(https://www.shizenyama.com/trialnews/japan/32439)

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