全日本選手権、2023年の6戦目は、広島県三次市の灰塚ダムトライアルパークで開催される。8月27日、今シーズンの流れを決定づける大事な一戦となりそうだ。

注目はなんといってもトップクラスの氏川政哉と小川友幸の戦い。小川はご存知歴代最多タイトルホルダー。MFJの全カテゴリーで見ると同列トップがいるので、あとひとつタイトルを獲得して単独トップに立ちたいところ。テクニック的には、小川にはまだまだその資格がある。

対する氏川は、なにより若い。20歳で全日本のチャンピオン争いまで進出してきたのは、藤波貴久・黒山健一以来のこと。今年は開幕から勢いも良く、このまま突っ走って初めてのタイトルを獲得したい。

両者はともに2勝ずつ。しかしランキングポイントでは優勝と2位だけで固めている氏川が、小川を11ポイント離している。IASの残りは、今大会を入れて3戦。小川が自力優勝をするには、残りの3戦を全部勝利する必要がある。

北海道で勝利を決めて最終戦を待たずにタイトルを決めたかった氏川だったがそうはならず、どうやらタイトル争いは最終戦まで引っ張られることになりそうだ。

氏川と小川のタイトル争いにはちょっと届かないが、ランキング3位争いもおもしろい。野崎史高と黒山健一は、ともにヤマハマシンを走らせるチームメイトだが、野崎がDOHCのエンジンマシンを走らせるなら、黒山はひゅんひゅんと軽快に走るEVマシンを駆る。野崎は第3戦で優勝を果たしたが、黒山もEVの可能性を探りながら第4戦で2位入賞。青いマシン同士の頂点争い、そしてランキング3位争いも見ものになってきた。

ランキング争いが終盤まで続きそうなIASに対し、IAはタイトルが決まった。3勝を挙げた黒山陣は、今大会でタイトル決定のはずだったのだが、ランキング2位の本多元治が今大会欠場のため、エントリーを締め切った段階でタイトル決定だ。しかしもちろんこれで黒山のチャレンジが終わったわけではなく、残り2戦を連覇する勢いの、若い黒山がチャンピオンとしての走りを披露してくれることになる。

IBもまた、ランキング2位の小原諄也に34ポイント差をつけている村田隼が、今大会でチャンピオンを決める公算が高い。村田がタイトルを決めるための条件は今回9ポイント獲得＝7位入賞となる。ここまで1位と2位しかない村田にとって、まずまちがいない目標のはず。

しかしチャンピオンは村田で決定としても、残り2戦の勝利を狙っているライダーは多い。ランキング5位までは来季のIA昇格権利がある。今のところ昇格を確定しているのは村田一人だが、現実的にはランキング5位争いが熾烈になってきている。

今シーズン、出場台数が少なめで寂しいレディースは、今回は7人が参加して賑やかさを取り戻した。ランキングトップの山森あゆ菜は2位の小玉絵里加に14ポイント差。今回タイトルを決めるにはちょっとむずかしそうだが、逆に小玉にはまだ一縷の望みがあるという展開だ。今回の出場メンバー7人のうち4人は、今シーズンに勝利している。唯一2章したのが山森だが、ここ2戦は成績を落とし気味。もう一度盛り返してタイトル獲得に弾みをつけられるか、灰塚のレディースは熱くなりそうだ。

2ラップ終了後に行われるSSは別として、会場には11のセクションが設けられている。配置は昨年と同様で、本部近くのお山が第1セクションとなっているのも変わらない。第2から第3までの移動がお客さんにとってはちょっと遠いが、おおむね平地でもあり、感染には容易な会場ではある。

ただし時節柄暑さは厳しそうなので、熱中症対策にはそれぞれ充分な対応をよろしくです。

エントリーリストは、いつものように、スタートの逆順に並べました。このリストを手にセクションで待っていれば、特に試合序盤は、だいたいこの逆順でライダーがやってくるはず。ときどき、このリストとはまったくちがう順番でやってくるライダーがいますが、それはなにかハプニングがあって遅くなったか、あるいは考えがあって早く回っているライダーかの、どっちかだということです。

さて、三次灰塚の決戦、お楽しみに。