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バイクトライアル世界選手権

07寺井
寺井一希。むずかしかった7セクションにて

8月25、26日、岐阜県関市板取にて、バイクトライアル世界選手権が開催された。1992年の初開催以来、毎年(一度だけ、SARS蔓延を考慮して中止となった)この板取で開催されている。板取は2005年に関市に合併となり、現在は関板取大会として開催されている。それでもこの地域がバイクトライアルにかける情熱は変わりなく、地域に根づいたヨーロッパスタイルの世界選手権のスタイルとしては、日本では唯一無二の存在といっていい。

今年は、ヨーロッパの他の大会が開催に問題を生じてチェコ大会だけが開催されることになった。その結果、いつもは4戦ほど開催される世界選手権が、今年はチェコ大会と日本大会の2大会だけという変則的なスケジュールとなった。つまりそれだけ、日本大会の比重が大きいということになる。

それで、今年は日本人チャンピオン誕生が誕生する素地が、いつもより大きいとされてた。チェコ大会でそこそこの成績をとっていれば、地元日本大会で本領を発揮することができるからだ。特に20インチの最高峰クラス、エリートで2006年シーズンにランキング2位に上り詰めた寺井一希(モンティ)が、そろそろタイトルを獲得してくれるのではないかという期待も高まっていた。

07アバンテ
フェミナ(レディース)クラスに
参戦したアバンティ姉妹。双子で外観ばかりか実力的にもまったくいっしょ。まったく区別がつかない。よって、どっちが勝ったのかもわからない

しかし8月5日、世界選手権開幕戦チェコ大会で、寺井はまさかの6位。寺井を含め、2007年の日本チームは勉強の年ともいえた。上位入賞をはたしたり、タイトルを獲得できそうな期待を持った選手は、ごく少なかった。日本のバイクトライアルにも流れというのがあり、今年は課題を洗い出して次につなげる時間となった。次につなげる“次”は、2008年以降になりそうだ。

そんな中、ジャイアントと契約して2年間のブランクを経てバイクトライアルに復帰したマスタークラス(26インチ・世界最高峰クラス)の長屋佳政に期待が集まる。関板取出身の長屋は、日本のバイクトライアル世界選手権の歴史とともに育ったといっていい。そんな長屋の久々の世界選手権挑戦は、マスタークラスで日本人初の3位入賞という快挙だった。

そして最終戦日本大会。

寺井一希は、またしても6位に沈んだ。序盤はトップを走ったものの、いくつか5点をとって崩れ去った。猛暑で頭がぼうっとして、得意のバランス感覚も狂ってしまったようだ。優勝はチェコ大会に続いてベニト・ロス(KOXX)で、当然タイトルもロスが獲得した。

07長屋長屋佳政。世界2位の走り

しかし一方、長屋は大金星だった。1位のセサール・カニャス(モンティ・8回の世界チャンピオン。マインダーは12回の世界チャンピオン、オット・ピが務める)はその格からしても崩しようがない。長屋はカニャスに匹敵するような好ライディングを見せて、見事2位を獲得。マスタークラスでの日本人最上位記録を更新した。地元板取が生んだ世界チャンピオンは、今また、新しい目標を目指しはじめているようだ。

関板取では、バイクトライアル世界選手権を開催するにあたり、村人がオブザーバーとなるため立ち上がった。今では、みんなすっかりベテランオブザーバーだ。外国の選手が来日すると、民泊をして大会に参加する。山奥の村が、バイクトライアルで一気に国際化した。小学校では、バイクトライアルが授業に取り入れられている。その先生は、かつて世界選手権にも参戦した長谷中勇。なんともぜいたくなバイクトライアル環境が構成されている。

しかしこういった環境は、一日にしてなったものではない。15年間に渡っての不断の努力が、今日のバイクトライアル天国を築き上げた。世界選手権に参戦する板取人、スタッフを務める板取人、ホストファミリーとしてライダーを支援する板取人。さまざまな板取の人々が、バイクトライアルに関わっている。こういった総合的な取り組みが行われている例は、ほかにない。

バイクトライアルは、誰が見ても(トライアルをよく知る人も、まったく知らない人も。興味ある人もない人も)びっくり仰天できる素晴らしいエンターテインメントだ。できれば板取村だけではなく、もっと日本全国で普及してほしいものだけど、板取の真摯な取り組みを見ると、世界選手権はずっとこの地で開催されるのが最善ではないかと思えるのであった。

07オット
オット・ピのデモ

なお今回、長年バイクトライアルの普及に尽力し、日本でも数々の名シーンを演出したオット・ピが、現役引退のデモンストレーションをおこなった。関板取の21世紀の森にはオット・ピパークと名づけられた施設もある。オット・ピにとっても、板取は忘れ難い地になっているようだ。

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