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成田匠、全日本北海道に参戦
成田匠が、8月7日、北海道わっさむサーキットで開催される、全日本選手権第2戦北海道大会に参戦する。マシンはガスガスランドネ。国際A級クラスに参戦し、表彰台獲得を目標とするという。
ランドネの仕上がり、久々の成田匠の走りにご注目あれ。
成田はこれまで、2004年にヤマハTYS125F改で国際A級スーパークラスに、2007年にはヤマハTYS125Fで国際A級クラスに参戦している。マシンのベースはスコルパTY-S / SY125Fだが、エンジンはランドネにのっているヤマハ製OHC125cc単気筒で、基本的には同じものだ。成田匠は、このエンジンのオーソリティといえる。
ただし、今回を含めて、3回のこのエンジンでの全日本参戦は、それぞれ取り組みが異なる。2004年の時は、このエンジンのポテンシャルをどこまで引き出せるかが焦点だった。そのため、クラスは日本のトップクラスのIAS。2007年は、初心者や多くの一般ユーザーの愛車となるTY-S125Fのポテンシャルを実証するためのIAクラス参戦だった。オプションのイグニッションキットなどは使われていたが、排気量は125ccのままで、サンデーライダーが乗れる仕様とそんなにちがいはない(もちろん、整備やセッティングに書ける手間ひまは比較にならないが)状態での参戦だった。そして成田は、このときにIAクラスチャンピオンを獲得している。そしてまた、このときを最後に、成田が全日本選手権に参戦する姿は見れなくなっていた。
今回、ランドネを全日本選手権に参戦するにあたり、一般ユーザーがやれることはやって、IAクラスを戦いたいと、成田はいう。とはいえ、セルモーターはつけたままという。トライアルコンペティションマシンとして完全なる姿を追求するのではなく、ランドネの存在意義を守りながら、全日本でどこまで戦えるかという挑戦になる。
TY-Sの場合は、1速と2速がセクションで使えるよう、トランスミッションにも手が入っていたが、ランドネの場合はそういう対策はしていない。これについても、成田は使えるなら今のままのミッションで走る、という。TY-Sの場合も(SYも同様)、3速を使える設定ではなかったから、それほど大きな差はないかもしれない。ファイナルの設定次第では、1速と2速でセクションを走れるのではないか、ということだった。
さて、全日本戦線にあたって目標は。ほんとうは、出ていただくだけでありがたいので、優勝できますか?なんて聞きたくないのだが、聞いてみた。
「優勝というのは、マシンにアドバンテージがあれば別ですけど、ワイルドカードでぽっと出て、という状態で望めるものじゃないと思うんですね。今回の場合、初めてのマシンで、初めての試みで、なにが起きるかわからないという可能性もあるわけですから」
考えてみれば、チャンピオンをとった2007年も、成田は開幕戦から勝ったわけではない。開幕戦は4位。第2戦で優勝したときには、こんなことができるものなのかと驚いたものだった。今でこそ、成田が国際A級に出れば(マシンがなんであれ)勝って当然みたいな印象を持ってしまっているが、2007年を思い出せば、毎回苦戦の連続だった。そんな中で、8戦中5勝をあげたのだから、成田のタイトルには大きな意味があったのだ。
優勝がだめなら、では表彰台くらい? と、しつこく聞いてみる。
「入賞、が目標というくらいにしておきたいんですけど、入賞といっても、北海道の場合、参加者が少ないかもしれないんで、どこまでかという問題になりそうですね。やっぱり表彰台を目標とするしかないのかなぁ。出るからには、そのへんを目標としたいですね。うん」
ということで、目標は表彰台に決まった。成田匠と、セルモーターで始動するトライアルマシン(なのか?)ランドネの奮闘を見たい人は、ぜひ北海道へ。北海道へいけない人は、当日の自然山通信にご注目ください。どこまでできるかわかんないけど、速報、がんばってみます。
なお成田によると、参戦一発目から納得いく成績が出せるとも思えないんで、もしかすると、北海道はさんざんな結果に終わって、その次の全日本も出なきゃいけないことになるかもしれないとのこと。それはそれで、期待してしまいたい感じもあったりして。
成田匠については、こんな記事を書いていたのを思い出しました。「先進の逆風」。思えば今回の成田はまた、セルモーターつきマシンでの初めての参戦という歴史を切り開くことになるのだった(セルモーターつき参戦の有無なんて資料がないのだけど、おそらく全日本では初めてかと。もちろんイーハトーブとかでは参加記録はあります)。