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ノンストップでもトニー・ボウ強し

世界選手権第1戦STHIL日本グランプリは、4月27日、快晴のツインリンクもてぎで開催された。前日夜にはやや強い雨が降り、コンディションの悪化が懸念されたが、それほど泥々にはならず、とはいっても難セクション出あることには変わらず。初めてのノンストップルールでの世界選手権では熱戦が展開された。
藤波貴久は第2、第3と5点になって苦しい滑り出しとなった。ボウは第5セクションでカードを動かしたとして減点5となるも、5点はそれだけ。1ラップ目は7点の好スコアをマークした。
2位につけたのはアダム・ラガ。停止5点にはいくつか納得いかないものもあったようだが、1ラップ目5点3個のみの15点は立派だった。

3位入賞はアルベルト・カベスタニー
アルベルト・カベスタニーが1ラップ目22点、4位が藤波で28点。5位ジェイムス・ダビル30点、6位ジェロニ・ファハルド38点、マイケル・ブラウンが39展。
小川友幸と黒山健一が40点、柴田暁55点、野本佳章53点、野崎史高と小川毅士が58点、齋藤晶夫が60点。
2ラップ目以降もこの流れには変わりはなく、ボウが開幕戦を勝利した。ボウは各ラップともに5点がひとつずつと、この点でも参加者唯一だった。
藤波は最終的に4位。3ラップ目第3から連続5点を取ったときには暗雲立ちこめるという感じになったが、その後は5点なしで最後まで走りきった。5位ファハルドに5点差、3位カベスタニーに6点差。あいかわらず、ボウをのぞく3人のスペイン勢と藤波は接戦だ。
日本人最上位は小川友幸で7位、90点。黒山健一が108点で9位、野崎史高が131点で11位。野本佳章が151点、15位でポイントを獲得した。柴田暁、小川毅士は野本と僅差だったが、残念ながらノーポイント。

2位に入ったのはアダム・ラガ
初めてのノンストップルールは、意外に混乱がなく受けいられているように見える。セクションがけっして簡単というわけではなく、ライダーが苦労してルールに走りを対応させているという感じ。見ている限りでは、ファハルドがルール変更に対応できていないという印象を受けたが、他のトップライダーは、ニュールールに対応した走りをこなしてきていた。今までならスタンディングで呼吸を調えるところを、じわじわと走り続けるなど、さすが。
反面、あれと思うと5点になっているあやうさもあった。要するに、今までならもがけば3点だったが、このルールでは上手に走らないと5点である。上手に走れば3点にもクリーンにもなるのだから、このルールも悪くない。ただ、セクション設定と採点は今までよりさらにむずかしくなるだろう。このルールの評価はまだむずかしいと感じた。
採点については、来日ライダーを含めて、オブザーバーの採点に比較的納得感を持っていたように思えた。もちろん「今のは5点じゃないだろう」「止まってないだろう」という声が出ることもあったが、止まったと判断されればそれが採点だから、いたしかたない。あるいはこれが第1戦だから、ノンストップルールとはこういうもの、という思いが、各ライダーにあるのかもしれない。
見ている限り、そこはそれ、今のは止まってるんじゃないかなぁというクリーンや、今のをストップと判定するのは厳しいんじゃないのかなぁというシーンはあったけれど、それはどの大会のどの採点でもある話で、特にノンストップルールだからという問題じゃない。
当初、ノンストップルールになったら採点トラブルがあちこちで勃発して、収拾がつかないことになるんじゃないかという悲観的予想もしたものだったが、開けてみればそこまでひどいことにはならなかった。ただ、結果はほとんどいつものとおりで、ルールを変えたからといって強いライダーは強いというあたり前のことが再確認されただけだった。
あとは、ノンストップルールが美しいトライアルの演出になるのかどうか、見ていて楽しいトライアル競技になるのかという検証が、さらに必要となるのではないだろうか。