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日本のニュース

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マスターズトライアル

南野さん
南の年明さん。
気合いあふれるターンは衰えなし

 12月11日、岐阜県土岐特設トライアル場で、FTJカップマスターズトライアルが開催された。
 マスターズトライアルは、生涯スポーツとしてのトライアルを目標に、その名の通り熟練者を対象にした真剣勝負の競技会である。45歳以上に参加資格があり、年齢別にクラス分けされて競われる。
 今回、参加者がはじめて70人を越えて、マスターズトライアルとして大きな盛り上がりを迎えた。参加者も全国から集まり、全国大会としても充実してきているといえる。


 当初は、山本昌也と伊藤敦志の闘いがクローズアップされるなど、そうそうたるメンバーが集まる全日本OB会のような印象があった。それは反面、参加者に二の足を踏ませる敷き居の高さも生んでしまったのかもしれない。あるいはまた、45歳以上ということで、四十雀トライアルにあるような、お年寄りの憩いのトライアルと思っている人もいたかもしれない。
 まず、マスターズと四十雀は、まったく別次元のトライアルだ。四十雀では、年寄りほど偉いというのが座右の銘になっている。だから年齢ハンディを設け、極力最年長者が優勝するようなシステムがとられている。マスターズはそんなことはない。

神部さん
55歳クラス優勝の神部逸雄さん。
こちらも気合いたっぷり

 2005年の70歳以上チャンピオンとなった伊藤静男さん。この人はなごみのトライアルの象徴みたいな存在だが、その実、コンペティショントライアル発祥の頃からのトライアル人だ。「四十雀はお母ちゃんを連れて宴を楽しみに行く大会。マスターズはお母ちゃんは連れずに、男一匹勝負をする大会」とおっしゃる。もっともそんな解説をわざわざ聞くまでもなく、参加選手の顔つきを見れば、その真剣度はよくわかる。
 セクションは、けっしてやさしくはないが、険しいものではなく、基本的に危険なものでもない。渋いターンを見せてセクションを走破してほしいというセクションコーディネーターの思いは、ちゃんとすべてのセクションに反映されている(セクションコーディネーターのひとり、ストレートオン誌の泥さんによれば、今回土岐大会のセクションは、ちょっと険しすぎる設定だったとのこと。高かったり岩を転げ落ちてくるシーンがないようなセクションを心がけているとのことだった)。

大月さん
大月信和さん。
還暦記念に、上から下まで赤で揃っている

 マスターズには、スターがいっぱいいる。たとえば5年連続全日本チャンピオンの山本昌也さんはそのひとりだが、彼は一時代を築いたものの、やはり一時代のスターである。別の時代には別のスターがいた。マスターズとして選手が集まれば、それぞれの時代のスターが集結する。大月信和さんはヤマハのライダーとして、ヤマハトライアルの創世期を走った名ライダーだし、南の年明さんは山本昌也を育てたと同時に、自身もゼッケン3をつけたトップライダーだった。ツートラや全国の大会で名を成している松井正人さん、数々のキットパーツを開発しながら、やはり各地の大会に出没する吉川富美男さん、これら関西の豪傑に対して関東の神部逸雄さんも、全国大会で好成績をおさめ続ける強者だ。
 長くイーハトーブの主催スタッフとして功績を残した阿部祐輔さんは、岩手からひとり遠征してきた。阿部さんに最遠来賞をとられたとくやしがる藤沼平八郎さんは宇都宮からの参加で、72歳になる。藤沼さんも、ひとりで遠征してやってきた。
 現役時代、圧倒的強さを誇ったビックネーム昌也さんに対するのは、秩父の米澤満夫さん。国際B級を戦った当時には、やはり圧倒的強さを発揮した秩父の強豪だ。

白木さん
南のさんとの一騎打ちに
タイム差で敗れた白木英一さん

 昌也さんの師匠の南の年明さんと真っ向勝負するのは高知の白木英一さん。白木さんはキャリアは長いが“全国区”となったのはマスターズで南のさんを相手にトップ争いをするようになってからだ。それぞれの実力に対して、セクションがやや簡単な設定だからという理由もあるが、年齢を考えると、今ぐらいの設定が一日を通じて走るにはちょうどよいのも事実。今回はふたりがオールクリーンで、規則によって競技時間が短かった南のさんが優勝となったが、ふたりとも、かなり真剣に走って勝ちえたオールクリーンだった。二人の真剣勝負ぶりは、見ていても背筋がピンとなる思いだった。
 マスターズに出場している人は、その多くはかつて全日本などでしのぎを削った人たちばかりだ。その後彼らはツーリングトライアルなどに参戦しているが、マスターズで見るような緊張感のある勝負顔は、今やマスターズでしか見られない風物かもしれない。

昌也さん
山本昌也さん。
真直角で有名だが、この人の本領は
実はターンだった

 真剣な表情は、昌也さんとて同じだった。2ラップ目中盤までオールクリーンできて「足をつくはずがないセクションでは差がつかなくて気が疲れる」と現役当時そのままの感想をもらした直後に足をつき、さらに1点を加えて、リードわずか1点となっての最終セクションでは、近寄りがたい雰囲気を醸し出す現役そのままの山本昌也に戻っていた。
「よっしゃ」と声を出して気合いを入れてからセクションイン。もちろん昌也さんが気合いを入れて走ればクリーンは当然ともいえるのだが、昌也さんといえど、これだけ真剣にならなければ勝ちを得られないのだから、トライアルは、どんなトライアルでもむずかしいものにはちがいないのだ。
 マスターズトライアルは、しかし昌也さんのような往年のトップライダーのものだけではない。あるいは、60歳クラスでも45歳クラスのセクションを攻めて勝敗を争いたい人は少なくない。クラス分けは年齢別だけでいいのか、年齢別以外のクラスとした場合、その設定はどうなるのか。

松井さん
50歳クラス優勝の松井正人さん。
マシンはファンティックセクション

 課題はいろいろ考えられるが、それも、参加者が70人を越えて、参加者が多様化していることを認識できたからにほかならない。
 今後、マスターズはまだまだ変化を続けていくのだろうが、きまじめにトライアル大会を開催し運営していくという姿勢は、きっと変わらないはずだし、それだけでも、マスターズには大いなる意義がある。

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