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ファン感へ里帰り
今年の藤波貴久は、いつになく忙しい。そんな中、数少ない日本での藤波貴久の走るチャンスが、11月23日ツインリンクもてぎのHonda Racing THANKS DAYであった。この日は、デモンストレーションに藤波貴久、小川友幸、本多元治、小林直樹。さらにトレッキングコースでは田中太一、小森文彦、三谷英明、佃大輔によるトライアルスクールも開催されていた。
藤波は、いつも予定の許す限り駆けつけていた佐賀のバルーンフェスティバルも、今年は欠席を余儀なくされた。アウトドアシーズンが終わっても、翌シーズン用のマシンの開発テストの予定が立て込んでいて、さらにインドアトライアルのシーズンインがあって、ほとんどシーズンオフがない。このスケジュールに溶け込んでいかないと、世界でトップを争うのはむずかしいのだ。
デモンストレーションは、ハローウッズの前庭に設営された滝のある岩場でおこなわれた。その華麗なライディングを一目見ようと集まったお客さんは、もしかしたら世界選手権をしのぐんじゃないかと思われる勢い。トライアルは、きちんと宣伝をして見る人を集めていけば、もっともっとお客さんが増えるのはまちがいないと確信できるシーンだった。
この日、藤波が持ち込んだのはポジション関係などを藤波にあわせただけのスタンダードマシン。藤波ほどのライダーなら、スタンダードでももちろんそれなりに走ることはできるが、やはり走り慣れた自分のマシンでないと思い通りのライディングができないとくやしがる。中でも、こういうときに藤波がもっとも指摘するのが、ブレーキがきかないという点だ。
ちょっと聞くと、スタンダードはブレーキが甘くて、藤波のワークスマシンによいブレーキがついているように思えてしまうが、そんなこともないようだ。というのも、藤波の満足するようなブレーキの仕様では、ドギー・ランプキンも乗れないらしい。藤波だけが、特別の効き具合を好んでいるということだった。
今回は、結局スタンダードよりも本多元治のマシンのほうが乗りやすいということで、小川とのガチンコ勝負と銘打たれたデモンストレーションでは、本多号で走ることになった。勝負はおかげさまで藤波のものとなった。
今回の藤波の日本滞在は、わずか5日。このイベントの翌日には、藤波はバルセロナに向かって帰っていった。三重の自宅にも帰ることなく、藤波のシーズンオフの里帰りは終わった。