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FIM動画よりおもしろい庶民の動画
昔々、トライアルの超人的パフォーマンスは、現場に出向くか、何千円、ときには何万円もするトライアルビデオを購入して拝むしか方法がなかったが、今ではYouTubeとかで簡単に見ることができる。しかも無料だったりして。ビデオやDVDを商売にしていた自然山通信としてはなんとも痛い話だけれど、受け入れる側としては幸せでもある。
世界選手権といえば主催はFIMで、FIMも映像配信をやっている。でもFIM本家より、どうもおもしろくて、見てためになる映像は他のところにあるかもしれないというお話です。
こちら、フランスのトライアル・クラブ・コムの配信したXトライアル・マルセイユ大会の映像。観客席からでなく、アリーナから撮影しているので、プレスパスを持った人間か、関係者が撮影した映像のようです。でもあんがい、主催者とお友だちの一般民間人の撮影だったりもするもんです。
FIMは、何年か前、自前のFIM-TVという映像配信事業を始めて、それと前後して、世界選手権などでの映像撮影を厳しく制限するようになりました。ちゃんと申請すれば撮影許可も出るのだけど、権利金をうんと要求されたりして、吹けば飛ぶような自然山通信ではとてもとてもやっていけなくて、それで最近は世界選手権のDVDとかを出せなくなっちゃって現在に至る、という裏事情があります。
トライアルのように、普及がまず第一のカテゴリーの場合、権利金だの使用料を請求するよりも、まず露出をすることが大事ではないのか、というプレス連中からの反発はあったのですが、FIMが方針を変えることはありませんでした(ちなみに自然山通信は、映像や画像の提供を求められたら、自然山通信の名前を出すことをせめてもの条件に、快諾させていただいています。でも心情的に、無断で勝手に使われると、なんだかなぁと思ったりします)。その規制が始まった頃は、試合中とか練習までにも、取材者がビデオカメラを持っていないかどうか、動画を撮っていないかどうか、チェックをして回っていたものがいたもんですが、いまや動画撮影機と写真の撮影機は同一人物であることが多いし、チェックもなかなかむずかしくなっていますね。
FIMは、世界選手権が終わると、わりとすぐにダイジェスト映像を配信します。こちらは無料です。Xトライアルのマルセイユ大会はまだ(2月4日現在)配信されていませんが、お正月のシェフィールド大会の模様はこんな感じでした。
編集がかっこいい。トライアルを見たことがない人には、たいがいびっくりしてもらえる映像だと思います。
でもあまりに細切れで、誰が勝ったのかもわかんないし、イントロが長い割に本編はあっという間に終わってしまう。それもそのはず、これは見たい人に見せてるんではなくて、FIM-TVの有料配信を見てもらうためのコマーシャルなんですね。
なので本編を見れば、そんなフラストレーションはなくなるのかと思うのですが、いや実は、本編はひたすら競技風景が流れているので、ちょっと退屈でもあります。観客席に座っていれば、友だちと大騒ぎしながら見られるけど、こちらは深夜に(昼間でもいいんだけど)黙って見ているわけですから、だいぶノリがちがいます。記録としてはよくできているんだけど、エンターテインメントとしてはどうかなー、というのが正直な感想でした。
その点、この映像ときたら、ほんの少しフランス人が写りすぎているぞという印象はあるものの、とった人間がフランス人だ(ろう)し、失敗シーンも成功シーンもほどよくまとめられていて、ドラマ仕立てとしてもよくできているし、テクニックを見ようと思えばそれなりじっくり見ることができる。
ビジネスとしてどう成功を収めるかというのはもちろん大事で、そこが抜けていると存続ができなくなっちゃうので、本人のためのみならず、お客さんのためにもならない。でもビジネス関係なくやっている人は、そんなことは考えずに突っ走れるので、本業の人たちよりもおもしろいものが作れるのかもしれません。もちろん、それなりの造詣の深さとか技術がなければただの素人遊びになっちゃいますけどね。
一般論として考えてみましたが、自然山通信も他人事ではないので、がんばります。なのでこれからもどうぞよろしくお願いします。
今回の映像の提供者であるトライアルクラブのYouTubeはこちらなので、興味があったら購読(もちろん無料です)してみてください。言語は全部フランス語だから、なにを言っているのか理解できる人は少ないと思いますが。
最後になりますが、自然山通信のDVDも買ってあげようという方は、自然山通信WEBショップでよろしくお願いします。