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レプソル・ホンダにハイメ・バストが加入
トニー・ボウ、藤波貴久を擁すレプソル・ホンダ・チームが、若いライダーをチームに加入、トニー・ボウに続く将来のチャンピオン育成に意欲を見せた。そのライダーは、スペイン北部のバスク地方出身のハイメ・バスト。125ccとワールドカップクラスでタイトルを獲得している未来の大器だ。
バストの活躍の場は、世界選手権のトップクラス、ワールドプロクラスとスペイン選手権。チームのエース、トニー・ボウと同じ舞台で戦いに挑むことになる(藤波は、スペイン選手権にはこれまでフル参戦をしたことがない)。チームから、バストのマシンについての言及はないが、これまでの例から、ボウと藤波(と、小川友幸)の乗るファクトリーマシンに乗るライダーはきわめて限定的なので、バストは市販車をベースとしたモディファイマシンに乗る可能性が高い。市販車ベースの開発が進めば一般ユーザーにも利が還元される。
バストは1997年12月4日生まれ。2014年のワールドカップチャンピオンだ。緒戦のオーストラリアで3位表彰台を獲得、次の日本大会では初優勝を飾り、7回の優勝とともにチャンピオン獲得に突っ走った。2013年はヨーロッパ選手権で125ccチャンピオンを獲得。バストがヨーロッパ選手権125ccを走り始めたのは、2011年、13歳の時だった。世界選手権は16歳になるまで参戦が認められていないが、ヨーロッパ選手権はこの限りではないらしい。16歳の年齢制限は免許制度とのかねあいで制定されたと記憶しているが、同じ国で開催されるのにかたや免許がない年齢でも参戦できるというのは不思議。こういうところが認められるのがヨーロッパ的おおらかさで、かつスポーツ一般への理解の大きさなのだと思ったりするが、バストのモンテッサ入りとこの話は直接関係はない。
つまりバストが世界選手権ワールドカップに参戦したのは16歳になってからということで、16歳になって初めての年にワールドカップチャンピオンとなったわけだ。ワールドカップチャンピオンとして、2015年はワールドプロクラス初めての挑戦の年。17歳の若手が、どんな戦いを見せてくれるか、楽しみだ。
モンテッサチームは、過去には4人体制で戦ったことがある。ドギー・ランプキン、藤波貴久に、マルク・フレイシャもしくはダビド・コボス、それにライア・サンツだ。モンテッサと契約した時点で、ランプキンはすでに世界チャンピオン、藤波とフレイシャには世界のタイトルはなかったが、サンツは女子世界チャンピオン。ボウも、モンテッサ入りをしたときには世界ランキング5位の中堅トップライダーだったが、2003年にヨーロッパ選手権チャンピオンとなっている。チャンピオンであること、それがモンテッサのメンバーとなる条件のようだ。
モンテッサは、2014年からレプソル・ホンダ・チームと名前を変えて現在に至っている。トニー・ボウ、藤波貴久、ハイム・バストと、それぞれ個性のあるライディングと目標を持つライダーをそろえて、世界のトップチームとしての強さにますます磨きがかかっているレプソル・ホンダ・チームである。
ライダー◇ハイム・バスト
「HRCのチームに入れて、とてもうれしい。レプソル・ホンダ・チームは世界のベストチームです。トニー・ボウ、藤波貴久といった憧れのチャンピオンと同じチームで戦えるのですから、私にとってはこれ以上素晴らしい環境はありません。このチームで、多くのことを学べると信じていますし、成長していきたいと思っています。モンテッサ・コタ4RTは、私にとって初めての4ストロークマシンですが、驚きの連続です。慣れるまでは苦労もありますが、すぐ慣れてみせます」
チーム・マネージャー◇ミゲール・シレラ
「レプソル・ホンダ・チームは、世界最高のライダーをそろえている。長年にわたってそれは当チームの方針であり、今後も変わらない。勝利を得、タイトルを獲得するには必要な条件だからだ。今回、ハイム・バストと契約をしたが、彼は現在もっとも有望な若手ライダーだ。彼は当チームのチャンピオンコンビ、トニー・ボウと藤波貴久のよきフォロー役を担ってくれるにちがいない」