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ボウ、7回目のタイトル。藤波は5位に

世界選手権最終戦。前日、8月31日の試合で3位となって、ランキングポイント差を5点にまで詰め寄られたトニー・ボウだったが、月も変わった9月1日の最終戦では2位に5点差、アダム・ラガに6点差をつけて勝利。自身7回目のアウトドア世界タイトルを獲得した。
これはジョルディ・タレス(3連勝と4連勝)、ドギー・ランプキン(7連勝)に並ぶ大記録となる。

しかしこの日も、ボウのトライアルは平穏ではなかった。計算上は2位でもタイトルは獲得できるのだが、ラガが勝ってボウが3位となれば、タイトルは逆転でラガのものとなる。2位を狙うなどと計算高いトライアルをすることなく、勝利を目指して突き進む必要があった。
ところがこの日は前日同様、降ると思われていた雨が降らず、少ない点数で勝負が決する清心戦となりそうな気配だった。ひとつのミス、ひとつの5点が結果を大きく左右することもある。

日曜日は好調だったカベスタニー
多くのライダーが5点となる第4セクションを1点で抜けたボウは、これでこの日の流れをつかんだかに思えたのだが、次の第5で5点。どうもペースがつかめないまま、1ラップ目の減点は17。これはアルベルト・カベスタニーと同点だったが、彼らより言いスコアで1ラップを終えたライダーは3人もいた。アダム・ラガとジェロニ・ファハルド。このふたりもまた同点で、そのスコアは15。そして11点で1ラップ目のトップに立ったのが、イギリス人のジェイムス・ダビルだった。藤波貴久はボウとカベスタニーよりわずか1点だけ減点が多い18点で6位につけている。1ラップ目の結果は、上位6人がまず横並びといっていい。
2ラップ目、うまくペースを上げられたライダーは3人。ボウとラガ、そしてカベスタニーだった。ファハルド、ダビル、藤波は二桁減点を献上して、トップ争いからは後退を始めていた。2ラップ目が終わって、トップはラガの17点、2位がボウの19点、3位はカベスタニーの23点。まだまだ勝負は混とんとしていた。
3ラップ目、ラガがペースを早めてきた。雲行きがあやしい。雨が降ると読んだのだ。この作戦がラガにどんな影響を与えたか、3ラップ目のラガは11点の減点をとってゴール、ボウの減点に期待を持つことになった。
ボウは逆に、しっかりと1セクション1セクションを走り続けていた。雨は、結局降らなかった。ボウの3ラップ目の減点は3点。カベスタニーが4点で3ラップ目を終えてきて、これでボウの勝利が決まった。そして7回目の世界タイトルも決定だ。
3ラップ目を4点と、ボウに次ぐ好スコアでまとめてきたのがカベスタニー。カベスタニーは最後の最後で2位入賞して、ランキングをひとつあげて2013年シーズンを終えた。

最終戦は3位、2013年ランキング2位のラガ
ラガは3ラップ目の減点がきいて3位。結局、ボウにはランキングポイントで10点の差をつけられてチャンピオンの奪還はならなかった。しかし2007年以来、7年連続のランキング2位は、なかなか立派な成績といえる。なにより、今シーズン、ボウにまったくひけを取らない戦いを続けた走りっぷりは見事だった。

ランキング3位獲得のファハルド
前日の2位からこの日はちょっと順位を落としてしまって4位となったのがファハルド。しかしファハルドは、この1戦で、ランキング3位を奪取した。思えば開幕の日本大会での2日目、あと一歩で勝利をつかむまでにきていながら自らのミスで2位に甘んじ、藤波に勝利されたところから始まったシーズンだった。最後の最後に、自らの踏ん張りで藤波からランキング3位をもぎ取ることに成功した。

ランキング5位。しかし今シーズン、ボウとラガ以外で勝利したのは、藤波だけだ
そして藤波。なんとしてもランキング3位に返り咲きたい藤波だったが、土曜日日曜日ともに6位。最終戦だけでファハルドに10点、カベスタニーに8点その差を縮められるという結果で、なんと最後の最後に来てランキング3位からランキング5位に転落することになった。2013年の藤波は開幕戦で勝利するなど、よいところも見せていただけに、最後が残念な結果になった。
世界選手権トライアルは、この1週間後にトライアル・デ・ナシオンが開催されてシーズンを終える。ただし藤波は、日本の男子チームが不参加を決めているため、TDNには参加せず。藤波の2013年アウトドアのシーズンは、このIsola2000で終了となった。