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ボウ完勝とラガの踏ん張りのチェコ
FIM世界選手権第2戦チェコ大会は、5月30日、31日の2日間、チェコの最西部の、ドイツ国境に近いソコロフで開催された。
結果はトニー・ボウが両日ともにぶっちぎりともいっていい点差で勝利。開幕戦日本GPに続いて、苦戦を強いられた昨シーズンとは一変、チャンピオン街道をひた走っている。
一方、今大会の直前に、会長名で倒産の報が各インポーターに流れたガスガスに乗るアダム・ラガは、実質プライベート体制での参戦を余儀なくされることになった。その緒戦となったチェコ大会。ラガは見事、両日ともに2位に入って逆境に強いところを見せた。
しかし今回のボウは、スタートからリードをとったわけではなかった。土曜日、1日目の1ラップ目、ボウはタイムオーバー減点を2点とりつつ(今回は女子世界選手権開幕戦が併催で、参加台数はいつもより多かった)、ラップ減点は22点。カベスタニーやブスト!が26点、ラガが27点、藤波が28点と、いつものライバルにはリードをとったものの、このラップ、21点でトップに出たのは、ベルティゴに乗るダビルだった。
ボウは、最終セクションでの5点で一気に減点を増やしてしまってこんなことになったのだが、それにしてもダビルの1ラップ目トップは見事だった。
2ラップ目、ここでボウが一気にたたみかける。2ラップ目のボウは、難関の第8セクションで5点となった他、第2、第3で1点を取っただけの7点で回ってきた。ボウの次に2ラップ目が良かったのはラガの16点だから、その好調ぶりがわかる。
難関の第8セクションは、結局ボウは3ラップともに5点だった。しかし2ラップ目には藤波、ダビル、ブスト、カールソンが3点で通過し、3ラップ目にはラガが2点、ファハルドが1点、そしてカベスタニーがクリーンしている。難攻不落というわけではなかったようだが、ぶっちぎりボウも、完璧ではない。
2ラップ目にボウはトップに躍り出るも、ダビルはいまだ2位を守った。2ラップが終わって、トップはボウの29点、2位がダビルの39点、以下、ラガ43点、ブスト45点、カベスタニー49点、藤波48点、ファハルド52点と続く。トップはなくなったとしても、ダビルのこれまでの最上位は3位が1回あるだけだから、ここで2位に入れればダビルにとってもベルティゴにとっても大きなエポックになる。
されど、本当の勝負は3ラップ目にあった。1位から5位までは、3ラップ目の減点が少ない順位に、総合順位が並んでいる。ラガは3ラップ目の14点で、一気に2位に浮上した。ボウには13点の大差をつけられたが、ガスガスの金銭的サポートが受けられなくなった最初の大会で2位は悪くない結果だった。
3位はラガに6点差でカベスタニー。3ラップ目16点は、表彰台獲得には充分の好スコアだった。
4位は、2ラップ目より減点を増やしてしまったブスト。カベスタニーには3位を奪われたものの4位を堅持。ブストにとっては4位も自己新記録だ。
そして5位が、最終ラップに30点を取ってしまったあげくにタイムオーバーが4点もあったダビル。デビューシーズンのベルティゴとしては5位は悪くない結果だが、トップから滑り落ちた5位だから、ちょっと残念ではあった。
そのダビルに3点差、6位となったのが藤波。4位にも4点差だから、表彰台はともかく、4位は充分に可能性があった。
しかしその藤波に遅れること6点で7位となってしまったのがファハルドだった。2ラップ目には21点をマークしているからまるっきりだめだめでもなかったのだが、1ラップ目3ラップ目が悪すぎるうえにタイムオーバーはトータルで5点。前回の2位争いコンビの二人が、今回は5位6位と沈んでしまった。
日曜日
開幕3連勝を飾ったボウは、開幕4連勝に向けてチェコの2日目のスタートを切った。ボウはしかし、準クリーンセクションといってもいい10セクションで5点となって、1ラップ目のスコアは16点。これはファハルドの13点、ラガの14点に次ぐラップ3位となるものだった。4位につけたのはカベスタニーで21点だから、序盤からこの3人が優勝争いの主役となっていく。
2ラップ目、ラガとファハルドはともに11点と減点を減らしてきたが、ボウの乗れっぷりはさらに際立っていた。この日に最も5点の多かった第3セクションを2点で抜けると、あとは1点ふたつだけのラップ4点をたたき出してしまった。こうなると、ライバルには出る幕がなかった。
それでも終わってみると、2位のラガ37点に対してボウ31点と、わずか6点差でしかなかった。ボウの強さは圧倒的ではあるが、ラガの踏ん張りもまた驚異的。昨シーズンにはボウを脅かす活躍を見せたのに比べると、今年の勢いはちょっと物足りないかもしれないが、ラガの勝利に対する執念はただものではない。
ファハルドは残念ながら3ラップ目に25点をマークしてしまって3位独走となった。終盤の10セクション、11セクションで連続5点となっているあたり、日本GPの終盤戦を思わせる失点。ファハルドが上位陣に食い込んでくるには、もう少し修行が必要となりそうだ(ただしこの連続5点がなくても、計算上は順位の変動はない)。
この3人に続いてこの日の4位に入ったのは、藤波だった。ファハルドの49点に対して65点と、点差は開いてしまったのが日本GPの土曜日同様に課題となったが、ひとまず4位に順位を戻すことができた。膝の調子もまだまだだから、これからが藤波の本格的復活劇の始まりだ。
5位はブスト。6位、6位、4位、5位。ボウの連戦連勝もすごいが、ルーキーのこの活躍もすごい。すでにブストに負けたことがないライダーはボウとラガの二人だけになってしまった。スペインのトップ4にブストが加わってくるのは、そんなに遠いことではないかもしれない。いや、すでにすっかりその仲間入りを果たしている気がする。
ランキングでは、ブストは6位。藤波はファハルドに3点差の4位。ファハルド、カベスタニー、藤波の3人のランキング3位争いは今年も熾烈だ。この3位争いに、ブストが加わろうとしている。
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