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ボウに土、日曜日にラガ勝利のフランス
ここまで4大会8連勝。これまでになく、これまでに増して圧勝ぶりを発揮しているトニー・ボウ。すでにチャンピオン争いという感じではなく、いつタイトルが決まるのか、という興味に移ってしまってかのようだ。
ところがフランス大会、ゼッケン2番にして、母体となるメーカーの倒産の憂き目に遭ったアダム・ラガが、見事ボウの連勝をストップ。ボウのシーズン勝利記録は9で止まることになった。
■土曜日
ボウの勝ちっぷりにもいくつかのパターンがある。接戦を勝利することもあるし、大差で圧勝することもある。一部のトップライダーだけでなく、多くのライダーにチャンスがあるようにという意図もあってのノーストップルールだったが、ノーストップルール3年目を迎え、ノーストップのきらいなボウも、止まらずに走る技を誰よりも習得してしまっている。なにをやっても、ボウの強さの前には特効薬にならない。
となると、2015年は全勝優勝をしてしまうのではないか、という期待も生まれてしまう。9割以上の勝率を誇ったことがあるのはドギー・ランプキンだが、ボウが勝率でランプキンを上回ることができるのか。もしかしたら勝率100%の大記録さえ生まれてしまうのか。
実はボウは、今シーズンはマインダーが何人か変わっている。これまでモンテッサ入りして以来、長くボウのマインダーを務めていたデダック・セルコスが一線を退いて、今年はホアン・コルドンがメインとなっていたが、このホアンがチェコ大会で負傷してしまった。代役でなんとかチェコを勝利、スウェーデンではデダックにスポット復帰してもらって勝利、ところがイギリスでは家庭の急用でデダックが急きょ帰国してしまい、また代役で勝利と、マインダーに悩むシーズンが続いている。そんな中、ライダーのさらなるがんばりが要求されているかのような、このところのボウの戦いぶりでもある。
フランスのセクションは、難度が高いとはいえないものだったが、3ラップともほかのライダーを圧倒してただ一人一桁をマークし続け、2位のラガにダブルスコアに近い差で圧勝となった。
ボウは第6セクションで苦戦をした。ラガが3ラップともにクリーン、藤波が1ラップ目に1点を取っただけというセクションだが、ここをボウは3点、5点、3ラップ目にようやくクリーンと減点している。ここだけでラガに8点のビハインドを負っているのだが、しかし反面、誰もが挑戦することすら無駄とエスケープを選んだ10セクションで、ボウは3点、クリーン、2点と3回とも走破ができている。ここに挑戦したのは、ボウと、若いブストだけだったようだ。10セクションのラガはオール5点だから、ここだけで10点を取り返してしまっている。ボウの強さの真骨頂だ。
さて土曜日の3位には、久々、藤波が返り咲いた。表彰台を獲得すると思ったら、大きくドロップすることもある今年の藤波。ひざの手術後の復帰に時間がかかっているのもあり(とはいえ、この手の手術をしたアスリートの例を見ると、もっと長い時間をかけてリハビリをしている)、またスウェーデンではひざとは反対側の足の指を痛めてしまった。さらにイギリスでは、手の甲を痛めてひびを入れるという満身創痍状態。特に足は、両足ともに力を入れられないという苦境に陥っている。
そんな中、今回の藤波は2位のラガと僅差の接戦を演じて3位を獲得した。1ラップ目は同点、2ラップ目に1点差、2ラップ目に1点差。結局、わずか2点差で3位に甘んじたことになった。
1ラップ目は、ラガ、藤波ともに1ラップ目はカベスタニー、ファハルドに先行されていたから、2ラップ目以降の奮起が光っている。
■日曜日
ボウ以外は誰もいけなかった10セクションは若干やさしい方向に手直しを受け、その他のセクションはややむずかしく設定変更を受けた。それでも全体的には難度は変わらず、前日に一度走っている面々にとっては、日曜日のセクションは土曜日以上の神経戦となっていた。
1ラップ目、トップに出たのはボウだった。12セクション中クリーンは11、2点が一つだけ、それも最終セクションでの減点と、ほとんどパーフェクトに近い乗れっぷりだった。ラガは1点3回の3点。たった1点差だから、まだまだ試合の行方はわからない。3位は藤波で9点。4位はブストで12点だった。
2ラップ目、ラガが1点をマーク。対してボウにはふたつの5点があって14点。一気に12点差となって、ボウの連勝に黄色信号がともってきた。
藤波の2ラップ目は15点、これにファハルドが9点、カベスタニーが8点で追い上げてきて、3位争いもしれつな感じとなってきた。
そして3ラップ目。ボウが猛然と奮起した。次から次へとクリーンしてしまう。対してラガは、ちょこちょこと減点をしている。ボウに先がけてトライを続けるラガは、最後の最後に走りを乱し5点。しかし3ラップ目の減点も一桁の8点で、トータルはわずか12点。ボウは2ラップ目までで16点を減点しているから、ボウのゴールを待たずに、ラガの勝利が決まった。
今シーズン、向かうところ敵なしのボウに、初めて土がついた瞬間だった。
ボウはラガの勝利が決まったあともきっちりと走り続け、ついに3ラップ目のオールクリーンを達成した。ラガには4点差。しかし3位にはダブルスコア以上の大差をつけている。今回はラガのがんばりがなにより光った一戦となった。
3位争いは、ファハルドがステディだった。3ラップ目も2ラップ目と同じ9点で回ってきて、安定したところを見せる。今シーズンのファハルドは、いつになく安定している。苦戦の藤波はともかく、カベスタニーにも順位の乱れがある。トップライダーといえども、ある程度の順位変動はあるものだが、今年のファハルドの安定感は、ベテランの域に達したファハルドでも初めてに近いものではないだろうか。
このファハルドの安定感の前に、藤波は5点差で4位となった。5位のカベスタニーには2点差だったから、2日連続の表彰台は失ったものの、勝ち取った4位ともいえる。
今の藤波のコンディションを考えると、これは勝利に匹敵する偉業ではないだろうか。
藤波は今回の2試合で、ランキングでカベスタニーを抜いてランキング4位に返り咲いた。ただしその差はたったの1点だから、差はあってないようなものだ。
日本GPでかかとを骨折して戦線を離脱していたホルヘ・カサレスが今回から復帰、8位と9位を得た。セカンドグループの戦いも、また激しく、厳しい。
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