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ラガ2連勝のアンドラ
第2戦チェコ大会からアンドラまで、6週間に5大会というハードなスケジュールの今シーズン、その中盤戦の最後を飾るアンドラ大会が、7月4日、7月5日、スペインとフランスの国境、ピレネー山脈山中にあるアンドラ公国で開催された。
ここまで、10戦中9連勝をあげたトニー・ボウだったが、なんとこのアンドラ、勝ったのは両日ともにアダム・ラガだった。フランス大会から3連勝。ラガの逆襲がはじまっているのか。
■土曜日
ラガの乗るマシンはガスガスTXTだが、本社の整理を受けて、ラガのマシンやウェアからはガスガスのロゴが消え去っている。参戦費用を出してもらえなくなったガスガスは、ラガのスポンサーではないということなのだろう。マシンも青くカラーリングされて、ガスガスカラーは払拭されている。
今回のアンドラ大会は、やさしめのセクション設定だった。さっそくライダーからはもっとむずかしくしろとの声が出て、一部は修正されたものの、かなりの神経戦勝負となることが想定された。そうはいいつつ、ステアは高く、簡単に5点となれる設定でもある。
1ラップ目、12セクションを一桁減点で回ってきたのは4人。カベスタニー1点、ボウ2点、ラガ6点、そしてファハルド8点。これに続いたのが、日本GPで負傷し、前回フランス大会から復帰してきたカサレスの17点、藤波18点、ブスト21点、フェレール24点と続いていた。トップ4が混戦、そして5位争いがまた混戦という図式だ。
2ラップ目、カベスタニーがいきなり21点の減点でトップ争いから脱落した。ちょっとしたことで上れずに5点となると、こんな結果になってしまう。2ラップ目に一桁を維持できたのはラガ4点、ボウ8点、それにフェレール8点の3人だけだった。この調子なら、フランスで連勝記録がストップしたボウが、再び新たな連勝をスタートさせそうな感じだったのだが、逆転劇は3ラップ目に待っていた。
ボウが5点二つをとって万事休す。このボウを尻目にラガは、3ラップ目に自身のベストスコアの3点をマークして、フランスに続く2連勝を果たしたのだった。
5位はカサレス、6位にブスト、7位にフェレールで、藤波が8位。藤波の8位は2005年以来。近年ではありえないワースト記録となった。
■日曜日
セクションは、難度を増したという主催者の発表はそれとして、ほとんどむずかしくなってはいなかった。ゲートマーカーの位置を動かしただけで、難度を決定的に変えるのはむずかしいことにちがいない。
日曜日には、ラガが最初から好調だった。ファハルド10点、ボウ9点、カベスタニー6点と最小減点で1ラップ目を終えたライバルに対し、ラガの減点はたったの2点だった。
実はモンテッサの面々は、標高の高いアンドラの高地にてこずっていた。ボウとブストのマシンは300ccで、藤波だけが320ccの2015年モデルに乗っているのだが、そのいずれも、標高の高さによるパワーダウンの対策が満足いくものではなかったようだ。標高が高く空気が薄くてパワーダウンするのはどのライダーのどのマシンにも共通だが、高度にチューニングされたファクトリーマシンでは、よりその影響が大きく出るものなのかもしれない。
それでもボウは、2ラップ目は5点。ラガが10点を取ったので、その差2点にまで詰め寄った。ボウの2ラップ目は5点が1個だけという好スコアだが、もしもこれが5点でなければ、2ラップ目にして逆転トップに出ていたところだった。
カベスタニーの2ラップ目は14点、ファハルドは16点と、それぞれいくつかの5点を取ってしまって後退している。いいスコアも出る反面、簡単に5点も取れる、むずかしいトライアルだ。
3ラップ目、ここで再びラガが突き放しにかかる。ラガという男、勝利への執念は半端ではないし、プレッシャーに打ち勝つ精神力も半端ではない。3ラップ目のラガのスコアは、たったの3点だった。
ボウは第2セクションで5点を取ってしまい、これで追い上げはほぼ絶望的。今回のボウは高地セッティングの不調と神経戦のセクションに勝利を阻まれた。ボウがタイトルを獲得するようになってから、FIMはスタート順を逆順にしたりノーストップルールを採用したりと、強い者が勝ち続けないようにする策を次々に打ち出してきたが、ほんとうの特効薬はセクション難度を下げること、のような気がしてくる。
ラガはボウに7点差で3連勝達成。ボウは22点で2位となったが、今回はカベスタニーに2点差に迫られていたから、あと1ミスがあれば2位も危うかった。
藤波は日曜日は5位。とはいえ、4位ファハルドに18点差をつけられているから、トップ争いの末の5位とは言いがたい。本人も「土曜日はセカンドグループの最下位、日曜日はセカンドグループのトップ」と自分のポジションを認めている。次のアメリカは藤波にとっては日本と並んでゲンのいい大会。ふたたびトップ争いに食い込んでくれることだろう。
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