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マルセイユのイン美な夜
Xトライアル(イン・ドア世界選手権)第2戦は、1月25日土曜日、フランスの港町、マルセイユで開催となった。優勝はいつものとおりのトニー・ボウ。今回はアダム・ラガがボウを相手にがんばった。3位はアルベルト・カベスタニー。ファイナルを走った最後の一人はイギリスのジェイムス・ダビルで、膝の負傷から必死で立ち直ろうとしている藤波貴久は、今回はセミファイナルまでで6位となった。
今シーズンは、マルセイユのほか、ニースにもXトライアルの日程が組まれている。フランスのインドアは、スペインのインドアとはちょっと趣向がちがって、形状がなかなか複雑でむずかしい。イギリスはより自然のマテリアルが多く使われているなど、インドアでもお国柄は出るものだ。
今回の参加ライダーは、いつものノミネートライダー5名に加えて、2013ジュニアチャンピオンのホルヘ・カサレス、前回6位に入ったダビル、オッサのロリス・グビアン、2012ジュニアチャンピオンのアレッシャンドレ・フェレール、2013ユースチャンピオンのスティーブン・コクラン、全部で10名の参加となる。グビアン、フェレール、コクランの3名が地元フランスのライダーだ。ここからセミファイナル6名、ファイナル4名、そして勝者1名が勝ち抜いてくることになる。
クォリファイでがんばったのはダビルだった。ダビルはファハルドを上回るスコアをマークして、この時点でセミファイナル進出の権利を得た。ファハルドに続くクォリファイ敗退の中でのNo.1、7位となったのは、ルーキーのカサレスだった。先輩を脅かす日も近いかもしれないルーキーである。
続くセミファイナルでは、やはりダビルががんばった。ダビルはなんとカベスタニーと同点でクォリファイを走り終えてしまった。この場合、最終セクションでのスコア、あるいはタイムによって成績が決まる。最終セクションでのカベスタニーはクリーンだった。ダビルは5点だから、このセクションの成否でファイナルの進出権はカベスタニーに渡ることになった。
ということは、残る4チーム8名のライダーにとって、ファイナル進出は対戦に勝利するか、11点より少ない点数でセミファイナルを走りきらなければいけない、ということになる。なかなか厳しい戦況だ。
次の対戦はクォリファイ2位のラガと5位の藤波。藤波はダブルレーンでラガに勝利してあとからトライする権利を得たものの、3つのセクションで5点を取って16点。対するラガは5点でセミファイナルを終えたので、残るボウとファハルドの対戦を待つまでもなく、ここで藤波のマルセイユ大会は終了となった。
最後の対戦では、ボウは最終セクションでの1点だけの1点。対してファハルドは第1セクションをクリーンしたのみの15点。藤波とファハルド、開幕戦シェフィールドでファイナルを走った二人のノミネートライダーが、セミファイナルで姿を消すことになった。
これでファイナルは、ボウ、ラガ、カベスタニー、そしてダビルの4名で争われることになった。ファイナルを2戦続けて走るのはボウとカベスタニーだけで、ランキング争い的に、このふたりが抜きんでてしまうことになるが、カベスタニーは前回シェフィールドでボウにも迫る勢いだったから、今年はカベスタニーの年なのか、と思わせるここまでのリザルトだ。しかしセミファイナルを2位で通過したのは、今回はラガだった。
そしてファイナル。トライ順は、ダビル、カベスタニー、ラガ、そしてボウ。ダビルの5点から始まった第1セクションだったが、意外にもカベスタニー、ラガと続けて5点となってしまった。ボウは2点だがタイムオーバーの1点が加算された。まだまだ大きな差ではない。
第2セクションでは、ダビルだけが5点、カベスタニーが1点。これで上位3名とダビルの差が開くかと思いきや、第3セクションでカベスタニーが失敗。ただひとりの5点となった。ダビルはクリーンをしたものの、タイムオーバーの2点があり、カベスタニーとダビルは1点差となった。トップ2名はどちらもクリーンとタイム減点1点だった。この勝負、ボウとラガ、カベスタニーとダビルという一騎打ち同士の対決になってきた。
そして最終セクションは4人全員がクリーンした。勝負は終わった。ボウのスコアは4点。ラガに4点差は、ダブルスコアというべきか、僅差というべきか。3位はカベスタニーで1点差でダビルだった。
開幕戦ではカベスタニーの好調が光ったが、今度はラガが好調だった。ボウの強さは変わりはないが、ほかのメンバーはこんなふうに、好調を発揮したりミスをしたりしながら、今シーズンを戦い続けていくのかもしない。
ラガにしてみれば、開幕戦で5位だった雪辱をはらし、ランキングでも2位カベスタニーに近づくことができた。いまどきのインドアトライアルでボウに勝利するのはたいへんな至難だから、今回の2位はラガにすれば上出来の結果だった。
次はトライアル関係者のほとんどにとってなんらかの地元であるバルセロナ大会となる。