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スペインはラガ?
世界選手権トライアルでは2年連続ランキング2位となったアダム・ラガだが、スペイン選手権では破竹の勢いだ。こちらでは、さしものトニー・ボウも勝ちあぐんでいる。
スペイン選手権は、残り1戦となっている。
スペイン選手権は全7戦。
開幕戦は2月24日で、これはボウが快勝、ラガが2位で藤波が3位となった(藤波は、スペイン選手権に全戦参加する権利をもっているが、調整のために参加するにとどまっている)。
ところが世界選手権が開幕して以降、ボウが失速した。第2戦は4月13日、ここではアルベルト・カベスタニーが4ストロークシェルコを優勝に導き、ラガが2位。2戦目とはいえ、ボウをトップにランキング争いが1点差で3人続くという接戦となった。
しかし以降はラガが連戦連勝。ポイントも徐々に開いてきて、残り1戦の今の時点で、トップのラガとボウは11点差となっている。ラガは最終戦で7位に入れば自力チャンピオン決定で、世界選手権と逆パターンで、事実上タイトルを決定したも同然の状態となっている。
目標を世界選手権に絞ってスペイン選手権でのボウが本調子といえないのか、ラガが背水の陣でスペイン選手権を戦っているのか、世界のトップを走るスペイン勢総ぞろいのスペイン選手権は、最終戦に向けてラガの走りに注目が集まっている。
もっとも、世界選手権の成績と国内選手権が一致しないのはよくあること。イギリスでもドギー・ランプキンが世界チャンピオン時代にスティーブ・コリーやグラハム・ジャービスががんばっていたし、我が日本でも、藤波と黒山健一の戦いがし烈だったのは記憶に新しい。世界選手権と国内選手権のレベルの差ゆえのむずかしさなどもあるが、やはり試合のひとつひとつを確実に勝利していくこと、そして年間タイトルを獲得することは、どんな偉大なライダーにとってもむずかしいことだという証明だ。
加えて、今年のスペイン選手権は、シーズン当初にお伝えしたが、特殊なルールで運営している。下見は前日のうちにすませ、当日は下見禁止(持ち時間も極端に少なく、下見をしている時間もない)。ラップ中のタイムコントロールも厳しく、1セクションを2回ずつトライして1ラップして終了。
渋滞緩和などが主な目的だが、下見のできない現状では、スタートが遅い(成績がいいから)ラガが断然有利となっているのかもしれない。
となると、ラガが優位の今シーズンのスペイン選手権、ターニングポイントは、4ストロークのシェルコに乗るカベスタニーが、第2戦でひょっこり優勝したことだったかもしれない。そのカベスタニーは、その後世界選手権でもぱっとしない成績が続き、09年はシェルコに残るかどうかが取りざたされている。