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2015TDN、日本チームは3位表彰台獲得
9月20日、トライアル・デ・ナシオン(TDN)はスペインのタラゴナ(バルセロナのすぐ西側の地域)で開催。日本は久々に男子チームを派遣してワールドクラスを戦った。優勝はスペイン、2位にフランスが入り、日本は3位で表彰台を獲得した。
ワールドクラスには6カ国が参加。スペイン、フランス、日本、イギリス、イタリア、そしてノルウェー。かつて、トップ4をそろえて参戦していた頃の日本は2位か3位が指定席で優勝も夢ではないという位置づけだったが、スペインがどうしようもなく強くなり、いっぽう日本はトップ4を毎年送り続けることができなくなって、IASの希望者による参戦を2年続けたが、このクラスの最下位争いをするという結果となっていた。
今年、小川友幸、小川毅士、柴田暁と、日本の1位、4位、5位と藤波貴久の布陣で挑んだ久々のTDN。スペインの圧勝はまず必然としても、その他の国が近年どんなライダーをそろえてきて、どんな戦いとなるのか、興味は大きかった。
1ラップ目、最初の難関となった第6セクションで、スペインは二人がクリーン(チーム減点は1点)。フランスは全員5点(同15点)で、日本とイギリスは一人が3点(同13点)で抜け出た。さらに第7セクション、フランスとイギリスが全員5点となるのを尻目に、日本はチーム減点9点で抜けなるどして、18セクションを走り終えた時には2位につけていた。
1ラップ目の日本の減点は56点、スペインは13点で、これはやはりどうしようもない。3位はイタリアで59点、4位フランスは65点、5位イギリスは68点と続いていた。6位のノルウェーは94点だから、1位と6位はこの時点で順位が決定的となっていた。しかし2位から5位までは混戦だ。2位につけた日本も、まったく油断ができない。
2ラップ目、日本のスコアには疲れが見えるようになってきた。世界選手権では最年長となる藤波貴久だが、日本のナンバー2たる小川友幸は、藤波よりもさらに年長。同期のライダーはトップクラスでは誰も走っていない。しかもTDNは18セクション2ラップと、いつもよりはるかに厳しい。
2ラップ目に、1ラップ目のスコアを改善したのはスペイン、フランス、イギリスだった。スペインはたった二つのセクションでしか減点せず、ラップ減点は7点! トータル20点でスペインは勝利した。
そして2位は……。1ラップ目とは順位が入れ替わり、フランスが大逆転。1ラップ目より20点以上スコアを減らしてきたのは素晴らしかった。
フランスのメンバーはアレック・フェレールとロリス・グビアン、そしてカルレス・デ・カウデンバーグ・カンタン(2015ワールドカップチャンピオン)とベノ・ダニコートの4人組。フェレールとクビアンは世界のトップランカーだが、ほかの二人はワールドカップクラスライダーだから、格付けをすれば日本の4人のほうが格上となるが、2ラップ目のフランスは敵ながらあっぱれ。
日本は1ラップ目から16点減点を増やしてしまい、128点。フランスに19点差となった。ところが同じ128点で並んでいたのがイギリス。この場合、通常の大会と同じく、クリーン数によって順位が決定する。
TDNでは、4人の中の3人の上位成績を集計するから、3人がクリーンをしていれば、残る一人はクリーンでも3点でも、申告5点でもスコアには影響がない。なので時間節約のためにも、3人がクリーンをしたら4人目は申告5点で先を急ぐという作戦をとることもよくある。
ところがクリーン数を数える場合は、ライダー個々のクリーン数を全部集計する。だから4人目が申告5点を取っているのとクリーンをとりにいっているのとでは、クリーン数に大きな差が出てくる。
イギリスと日本のクリーン数は、しかし僅差だった。日本のクリーン数76、イギリスのクリーン数74。全144セクション(18セクションX2ラップX4人)を走って、減点数が同じ、クリーン数がたったふたつちがい。
イギリスのメンバーはジェイムス・ダビル、ジャック・シェパード、アレックス・ウイグのワールドプロクラス組に加えてサム・ハスラム。スペイン以外はどこもメンバーの選出には苦労があるようだ。
日本チーム3位。ふたたび表彰台に乗った日本チーム。毎年世界選手権を開催している国にあっては、世界との距離が縮まらない東洋の島国が、ふたたび世界で活躍するトライアル王国となる、再出発の一歩目だ。
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