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バルセロナもトニー
2月9日、スペインはバルセロナで、Xトライアル第3戦が開催された。優勝は、あたりまえのようにトニー・ボウ。今回の2位はアダム・ラガで、3位がアルベルト・カベスタニー。4位に2戦連続でジェイムス・ダビルが入った。藤波はセミファイナル進出の6位だった。
土曜日の夜に開催されることが多いインドアトライアルだが、バルセロナのインドアは日曜日の昼間に開催される。インドア・エンデューロと同時開催で、会場を見ても、エンデューロコースとトライアルセクションがアリーナにしきつめられているのがわかる。
今回、開催時間のほかにバルセロナ大会がいつもとちがうのは、参加人数だ。いつもはワイルドカード含めて10人の参加者から6名がセミファイナルに進出し、さらにその中から4名がファイナルに進出して最終順位が決まる。今回は8名が最初のクォリファイに挑む。いつもなら(といっても今年になってからのルールだが)5組の勝ち抜き戦となるクォリファイが、今回は4組。ここまでランキング6位の藤波貴久は、トップ4のいずれかと対戦することになるわけだが、くじ引きの結果、なんとボウとの対戦となった。
今回の参加メンバーは、ボウ、ラガ、カベスタニー、ダビル、藤波のほか、ジェロニ・ファハルド、ロリス・グビアン、ホルヘ・カサレス。逆にいえば、クォリファイで敗退するのは二人だけということになる。1対1の対戦で敗れたのは4人。カサレス、グビアン、ダビル、そして藤波だった。そして、破れた4人のスコア順に、スコアがもっともよかったダビルがセミファイナル進出を決め、もっともスコアが悪かったカサレスが敗退となった。問題は、26点で同点となった藤波とグビアンだ。
クォリファイのセクションは6セクション。ふたりは、このうちの5セクションで5点、一つのセクションを1点で通過している。同点の場合は、最後のセクションのスコアのいい者が上位となるという規則がある。最後の第6セクションは、二人とも5点。この場合、第5セクションのスコアが比較される。グビアンは5点、藤波は1点だった。この結果で、セミファイナル進出はノミネートライダーの5名とダビル、ということになった。
ダビルはノミネートライダーではないが、今シーズンはなかなか好調だ。開幕戦こそ6位でセミファイナル敗退となったが、第2戦、第3戦はファイナルに残る活躍を見せている。
特に今回は、カベスタニーとの対戦で敗退しているものの、カベスタニーの12点に対して13点と僅差だった。そして13点のスコアは、ほかの対戦で勝利しているファハルドよりもラガよりも好結果だった。クォリファイ3位でのセミファイナル進出は、しかし今回が初めてではなく、マルセイユ大会でも同様だった。
今年、ダビルには協力なマインダーがついている。ベン・ヘミングウェイ。ドギー・ランプキンのマインダーを務めたこともあり、また自身もトライアル・デ・ナシオンのイギリス代表となった実力派ライダーだ。
ダビルはもともとインドアが得意なライダーだが、今シーズンのダビルは注目すべきかもしれない。
セミファイナルでは、最初にラガとダビルの対戦(クォリファイの3位と4位の対戦)、次にファハルドとカベスタニー(5位と2位)、最後に藤波とボウ(6位と1位)の対戦となる。
ここではボウを除いてはなかなかの接戦となった。ボウは最終セクションでタイムオーバーの1点を喫したのみのオールクリーンだった。これに対してほかの5名は、いずれもふたつ、ないし3つの5点がある。残念ながら、唯一3つの5点を取ってしまったのが、藤波だった。
藤波は、クォリファイでもセミファイナルでもボウとの対戦となり、その点では不運といえなくもないが、トライ順が一番最後の組となるわけで、ほかのライダーの走りも観察できる利点はあった。しかし最初のセクションで5点となり、出鼻をくじかれてしまった。そして藤波の次に減点を重ねたのが、ノミネートライダーのファハルドだった。藤波とファハルドはこれで、2戦連続のセミファイナル敗退となった。ダビルはファハルドに1点差で、2戦連続のファイナリストとなったのだった。
そして第3戦のファイナルの戦い。ファイナリスト4人は、トライ順を決めるためにダブルレーンを走るのだが、今回はカベスタニーが速かった。セミファイナルを4位通過したカベスタニーは、最初にダビルと対戦して勝利し、次にラガに勝利、最後にボウにも勝って、ファイナルのセクションを最後にトライする権利を得たのだった。
しかしカベスタニーは第1セクションから5点を取り、勢いにのって勝利を勝ち取るには、ちょっと幸先が悪い。続く第2セクションはボウ以外はみんな5点。第3セクションではダビルの3点以外が全員クリーン。そして最後の第4セクションではボウが1点、ラガが2点にタイムオーバー1点の小計3点となり、ダビルとカベスタニーが5点。
この結果、ダビルとカベスタニーが15点で同点。ファイナルでのこの場合は、最初に対戦したダブルレーンで上位のライダーが上位を獲得する規則となっている。ダブルレーンではカベスタニーが全勝だから、この結果でカベスタニーが3位表彰台となった。
ボウは最終セクションでの1点のみで、クリーン3。2位は5点一つ、2点一つ、タイムオーバーの1点減点がふたつあったラガが入った。ラガは開幕戦こそセミファイナル敗退となっているが、しぶとい戦いはあいかわらずで、きっちりボウの次のポジションを確保してきている。
それにしてもボウの強さは圧倒的。特にバルセロナは、いかにもボウが得意そうな高い障壁が並んでいるということもあるのだが、ボウにしか走破できないセクションがあるなど、アウトドアの強さにまして、インドアでのボウの強さは圧倒的だ。
8人による伝統のバルセロナ・インドアは、こうして終了。藤波とファハルドは、2戦続けてセミ・ファイナル敗退となってしまった。これまでインドアはスペイン勢の4強とひとりの日本人という勢力図だったが、今シーズンはこれにイギリス人が加わって、熾烈な戦いになってきている。
これでランキングは、トップのボウが60点、2位はカベスタニーで39点、3位にラガで36点となっている。Xトライアルでは1位には20点が与えられ、2位に15点が与えられることになっている。今シーズンは全6戦が組まれているので、まだまだ勝負の行方を占うのは早計だが、仮にボウが次の1戦を休んでしまったとしても、ランキングトップは変わらないリードを築いていることになる。