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今年のスコットトライアル、結果は?
10月17日、伝統のスコットトライアルが開催された。
スコットトライアルはヨークシャーのリッチモンドモータークラブ開催の、現代のトライアルから見ると一風変わったトライアル競技だ。
スコットトライアルと聞くと、その語感からスコティッシュ6日間トライアル(SSDT)を思い浮かべる人は多いと思う。どちらもイギリスの伝統的トライアルイベントという点では共通しているが、中身はまったくちがう。まず、SSDTの名前はスコットランドからきているのだが、これに対してスコットトライアルのスコットはスコットランドとは関係がない。イギリスの老舗バイクメーカー「スコット」ゆかりの命名ということで、おそらく「スコット」の信頼性を証明するためのイベントだったか、当時の二輪メーカーをリードしていた「スコット」が二輪車の信頼性向上のために企画したイベントだったのだと想像される(ちなみにスコットトライアルのロゴマークのScottは、スコット・モーターサイクルのロゴと同じ書体で綴られている)。
SSDTを世界一過酷と評する人は多く、そこにまちがいはないと思われるも、一方でスコットトライアルこそ世界一過酷なトライアル大会という人もいる。そしてそれも充分に納得できる世界が、スコットトライアルにはある。
セクションの中でも追い抜きが可能で、スピードと減点との両方を競う。じっくりと下見をして集中を高めてクリーンを狙うという競技スタイルはここにはない。
リザルトには、タイムと減点が表記されていて、これを足したトータル減点で順位が決まっているのがわかる。4位のジョナサン・リチャードソンにはタイム減点がない。彼が一番時計で、そこから遅れることの時間を減点としたのがタイム減点だ。ドギー・ランプキンは24分遅れ。しかし足つき減点(オブスタクル減点=障害物減点と記されている)は25点と圧倒的。しかしトータルでは7点差で勝利はならず、という結果だった。
勝利したのはイアン・アスターミール。もちろんイギリス人で1980年生まれの34歳。記録を開くと、2000年のジュニアカップ(現在のインターナショナルクラス)のイギリス大会に出場して9位と10位獲得、年間ランキングは31位で、30位北山将司と32位小森文彦にはさまれている。
世界選手権での格付けとしてはランプキンとは別格以上の別格だが、イギリスで長くトライアルを楽しんでいる選手の中には、SSDTやスコットトライアルで真価を発揮して、ときにビッグネームを破ってしまうこともある。
2位のトライアル・デ・ナシオンのイギリス代表でもあったアレックス・ウイグをはじめ、上位陣は世界選手権、インターナショナルカップ、SSDTなど、世界的にも名前が知れたイギリス人ばかりだ。
1位はアルフレッド・スコット・メモリアル・トロフィーと金のスプーンが贈呈。アルフレッド・スコットはスコット・モーターサイクルのコンセプトメーカーだ。
以下、7位までには各種トロフィーと、6位までは金のスプーン、7位からは銀のスプーンが与えらている。このスプーンは、ライダーにとってはたいへんなお宝だ。
日本人に名前が通っているライダーとしては、ジェイムス・ダビルが13位。42点のオブスタクル減点は悪くはなかったが、55分のタイム減点が大きかった。
最近はエンデューロで有名になっているベン・ヘミングウェイ(TDNのイギリス代表になったこともあるし、ドギー・ランプキンのマインダーを務めていたこともある。お父さんも往年のトップライダー。現在も、マインダー役としてもてぎには来日している)はドギーと同じタイム減点で18位。
ヘミングウェイ家とランプキン家は親戚関係だが、ドギーの甥であるジェイムス・ランプキンは21位。8位から26位までには銀のスプーンが授与された。
惜しいところで銀のスプーンを逃したのがエマ・ブリスト。ご存知、シェルコに乗る女子世界チャンピオンだ。タイム57点、オブスタクル115点は立派。
完走は101名。タイムオーバーの最も大きいのは2時間半で、最多減点は293点だった。
なお自然山通信では、スコットトライアルを現地取材、DVDにまとめたものをお届けしています。ぜひご覧ください。
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