© トライアル自然山通信 All rights reserved.
スコルパ倒産?
1月19日、スコルパは自社のWEBサイト上で、スコルパ社がフランス政府の保護下に入ったことを報告した。
的確な訳がむずかしいことと、フランスでは日本とちがう経済システムがあるだろうことを考えれば、これをどう理解するのかはむずかしいが、いわゆる会社更生法の適用を受けたということのようだ。
サイトではまた、2009年モデルのオーダーは順調に入っていることと、これに対しての生産体制も従来と変わりないことが報告されている。
ヨーロッパでは、企業の倒産はけっこう多い。かつてイタリアで圧倒的シェアを誇っていたファンティックなども、何度も何度も倒産のニュースが流れ、聞く方もいいかげんに慣れっこになってしまった頃、本当につぶれてしまって以後復活はしていない。
近年でも、誤情報や単なるデマをあわせて、いろんなメーカーがつぶれただのつぶれそうだのという噂がとびかっている。うわさには火種のあるものもあるが、根も葉もないものも多い。今回は、当事者であるスコルパからの情報発信なので信憑性は明らかであるとともに、こういった情報を正確に発信することで、根も葉もないうわさが飛び交うことを防止する効果も狙っていると思われる。
実はスコルパには、去年あたりから経済的によい話はなかった。バックオーダーをかかえる125Fの生産がうまく回っていないこと(現在、公式サイトでは125Fはカタログからはずれている)、ガスガスから移籍してきたスタッフが、最近になってガスガスに舞い戻っていること、資金援助をしてくれるスポンサーや新オーナーを捜していたことなど、断片的な情報があったことは事実だ。
しかし、このご時世、生産業が経済的に苦しいのはスコルパに限ったことではなく、それがどこまで深刻なものなのかは、経営陣のみ知るところだった。
経営が政府の保護下に入ったことで、致命的な事態は避けられたわけで、あるいはスコルパにすれば、苦しい時間からの脱却の宣言なのかもしれない。
スコルパの日本代理店エスジャパンの秋山宜仁氏も、スコルパとは密接な関係を続けているヤマハ発動機の木村治男氏も、異口同音に「スコルパの経営が難しい状況なのは世界的経済危機を受けて、以前から認識できていたことで、活動計画には影響がありません。これを機にスコルパが経済的に立ち直ってくれて、125Fが安定供給されることを切望します」とコメントしている。
黒山健一、野崎史高を擁するヤマハトライアルチームの活動はもちろん、今年度からIAS入りをする西元良太を始め、スコルパで全日本選手権に参戦するライダーにも、特に影響はないということ。このうえは、フランスのみなさんにがんばっていただいて、スコルパの早い復活と、スコルパブランドの安定供給を願うことにしよう。