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ダニエル登場
2014年世界選手権第5戦ベルギー大会、ワールドカップクラスに、46歳のライダーが出場していた。その名は、ダニエル・コッセー。彼のことを知らなくても、彼の名を知らないトライアルライダーは、まずいないのではないだろうか。
ダニエル・コッセーはベルギー人。1967年8月10日生まれ。もうすぐ47歳になる。1980年代後半から1990年代前半に活躍し、最高位は91年のベルギー大会での7位だった。
ダニエル・コッセーの名前に、ぴんときたあなたは正しい。この人の名前のダニエルとは、いま、トライアルテクニックの最高峰として知られている「ダニエル」そのものなのだ。
トライアルテクニックのダニエルが、実は日本人の命名であることを知らない人はけっこう多い。命名者は黒山一郎氏。黒山健一選手のお父さんであり、ダニエル・コッセーが世界選手権で活躍していた頃、黒山さんもまた、世界選手権に挑戦していた。そのとき、ウイリーをしたまま、リヤタイヤでぽんぽんとホッピングするのが上手な選手がいた。それがダニエルだった。そのテクニックをなんというのかと問うても、誰も名前を知らない。それで黒山さんは、そのテクニックを日本に紹介するのに、コッセーのファーストネームをとってダニエルと命名したのだ。
その後、ダニエル・コッセーのテクニックは自転車の世界でも広く使われるようになり、トライアルテクニックとしてのダニエルは広く知られるようになった。やがてダニエルの名はトライアル界のみならず、マウンテンバイクの世界でも使われるようになり、さらには日本からその名が輸出されて世界でも通用するテクニック名となったという。
さてこのダニエル・コッセーだが、現在でもベルギーのトライアルを牽引する立場にいる。コッセーは、ベルギーのガスガス代理店であり、トライアルだけでなく、エンデューロなどにも参加をし、多くのライダーをサポートしている。
この写真の少年たちは、1987年バイクトライアル世界選手権スイス大会の表彰台に並んだ面々。一番左の優勝者はダニエル・コッセー。その右がバイクトライアルのスーパースター、オット・ピ、その右がジュアン・ポンス、さらにその右が1996年にオートバイの世界チャンピオンとなるマルク・コロメだ(一番右は、残念ながら誰だかわからない)。
ダニエル・コッセーは、1986年、1987年にバイクトライアル世界チャンピオンになっている。1987年は、黒山健一が年少クラスのベンジャミンクラスで初めての世界チャンピオンとなった年だ。
自転車で、そしてオートバイで、ダニエルを披露するとき、あるいはダニエルをやってみようと思うとき、その名前の由来がこの人にあって、そしてその本人が、まだ現役のトライアルライダーであることを、ちょっと思い出していただければ幸いです。