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2016 X-TDNは5カ国参加で勝利は当然スペイン
4月1日、地中海に面したフランスのリゾート地ニースで、Xトライアル・デ・ナシオンが開催された。参加国はスペイン、フランス、イタリア、イギリス、アメリカの5カ国で、優勝はアダム・ラガとハイメ・ブストが組んだスペインだった。日本は不参加。
Xトライアルは、3月25日にマルセイユでチャンピオンが決まった後、すぐに4月1日、Xトライアル・デ・ナシオンの日程となった。マルセイユとニースは地中海に面したいわば隣町だが、200kmほど離れている。
各国の参加ライダーはこんな顔ぶれ。スペインとイギリス、かつてトライアル王者を争ったふたつの大国は普段着(というか、いつものオフィシャルウェア)、フランス、イタリア、アメリカはそれぞれ、TDNスペシャルのお国のユニフォームを着ている。
今年はレギュレーションが変わり、チームの一人は25歳以下という条件がつけられた。それに伴って、たとえばスペインではハイメ・ブストの出場が軸になった。当初、ブストとボウのペアで出場の予定だったが、ボウが直前に肩を傷めたということで出場を辞退。アダム・ラガとブストのペアで参加が決まっている。
写真中央が、皆さん翌ご存知のスペインチームの二人だ。
以下、後列左から(*印は25歳以下のライダー)
イギリス
*イワン・ロバーツ(ベータ)19歳
ジャイムス・ダビル(ヴェルティゴ)29歳
スペイン
*ハイメ・ブスト(モンテッサ)18歳
アダム・ラガ(TRS)33歳
フランス
アレックス・フェレール(シェルコ)26歳
*ベノ・ビンカズ(スコルパ)20歳
前列左から
イタリア
*ジャンルカ・トルノール(ガスガス)23歳
マテオ・グラタローラ(ガスガス)28歳
アメリカ
*ブライアン・ローパー(シェルコ)22歳
*アンドリュー・プット(シェルコ)17歳
去年は日本チームも参加したが、25歳以下でXトライアルのセクションを(安全に)走れる日本人ライダーはいないため、不参加となった。Xトライアルを走れるという条件は、日本のスーパークラスセクションで3位くらいまでに入れる実力とインドアセクションに対する慣れだそうで、おっかないセクションとの戦いという点では、小川友幸も苦労するレベルということだから、日本の不参加もやむなしといったところ。
日本は世界に伍して戦う実力のある選手が何人もいるが、今後、こういった若手育成が進んでいくと、今の日本では太刀打ちができなくなる悪い予感がする(すでに予感ではないかもしれない)。Xトライアルに参加もしたことがない若いライダーが、X-TDNのセクションをとりあえず走れている。日本が目指すべき目標となるのではないだろうか。ちなみに、IASクラスに在籍している25歳以下のライダーは、吉良祐哉、氏川湧雅、武井誠也の3人だ。
X-TDNには、6つのセクションが用意されていた。1ラップ目と2ラップ目はコースを逆からトライする。2ラップ目の方が、やや難度が高くなるように設定されている。
チームの2名のライダーは、6つのセクションの3つずつを走る。どのセクションをどちらのライダーが走るのかは、チームの判断にゆだねられている。得手不得手で分担をわけてもいいし、可能性のあるセクションはインドアでの走破力の高いライダーがしっかり好スコアをマークし、難度が高いセクションは5点になるのを覚悟でインドア走破力の劣る選手にまかせるという作戦もある。
トライの前に、同一セクションでのタイム競走をして、トライ順を決めるのはいつものXトライアルと同じだ。1ラップ目のトライ順は、アメリカ、イギリス、フランス、イタリア、そしてスペインとなった。4位となったイギリスはダビルが走っての結果で、ビンカズやトルノールに負けていることになる。ちょっと意外。
1ラップ目の結果、トップは第3セクションで1点ずつ減点したスペインとフランス。3位は14位のイタリア。4位がイギリスで16点、5位がアメリカで23点だった。
2ラップ目、今度は1ラップ目のライダーとはちがうライダーによってスピードセクションがおこなわれ、やはりトライ順を決める。イギリス、アメリカ、イタリア、フランス、スペインの順となった。
逆まわりとなった2ラップ目は1ラップ目よりむずかしい。そうなるとスペインの優位がより強く出てくる。5点がひとつもなかったのはスペインだけで、トータル減点は6点。2位はフランスで12点。
Xトライアルでは6位以上になれなかったアレックス・フェレールだが、TDNでは存分に活躍(Xトライアルに比べて、X-TDNはわずかに難度が低いのかもしれない)。スペインに肉薄とまではいかないものの、他を圧倒して2位の座を得た。
3位イタリアは、フランスにダブルスコア以上の差をつけられた。フェレールはXトライアルのノミネートライダーで、イタリアにはXトライアルの常連はいないから、そのハンディは大きいと思われる。インドアトライアルの場合、経験値を積もうにも、大会に呼ばれなければ参加ができないのはライダーとって苦しいところだ。
イタリアに11点差で4位となったのがイギリス。2ラップ目、なんとダビルはトライした3セクションですべて5点になるという結果で、2ラップ目だけを見れば最下位だった。
今回のイギリスは、ダビルの不調が敗因と思われるが、それでもイギリスに6点差のアメリカは、いい戦いをした。
さて、X-TDNが終わると、いよいよアウトドア世界選手権シーズンの開幕だ。
結果表PDFです。3ページあるので、スクロールして見てください。拡大もできるし、別に開くこともできます
Photo:FIM/Good Shoot