© トライアル自然山通信 All rights reserved.
ボウ、チャンピオン決定
2月26日、2009年インドアトライアル世界選手権は第4戦がおこなわれ、ここまで2勝しているトニー・ボウが3勝目。4戦中3勝2位1回で、ランキング2位にアダム・ラガにポイント差8点をつけて、最終戦を待たずにタイトルを決定した。
藤波貴久は3位入賞。開幕戦の2位に続いて、2回目の表彰台をゲットした。
最終戦はスペインの首都マドリッド。今年は大会のキャンセルが相次ぎ、全5戦でのシリーズとなった。ボウ以下のランキングはラガ、カベスタニー、藤波が2点差で並んでいるが、インドアのポイント制を考えると、順当に走れば、それぞれのランキングもほぼ確定的かと思われる。
ボウは、クォリファイから絶好調だった。今回はイタリアとあってマテオ・グラタローラをゲストライダーとして7名がクォリファイに参加した。6人のノミネートライダーの中では最下位が指定席のマイケル・ブラウンだが、さすがにグラタローラが相手では、ブラウンに分がある。6名のファイナル進出は、ノミネートライダーの6名が勝ち取った。
Qualificarion Lap(予選) | ||||
---|---|---|---|---|
1位 | トニー・ボウ | レプソル・モンテッサ | スペイン | 2 |
2位 | ジェロニ・ファハルド | ベータ | スペイン | 4 |
3位 | アダム・ラガ | ガスガス | スペイン | 4 |
4位 | 藤波貴久 | レプソル・モンテッサ | 日本 | 5 |
5位 | アルベルト・カベスタニー | シェルコ | スペイン | 6 |
6位 | マイケル・ブラウン | シェルコ | イギリス | 10 |
7位 | マテオ・グラタローラ | シェルコ | イタリア | 25 |
いつものように、クォリファイの順位ではじめの4セクションの出走順とダブルレーンの対戦相手が決まる。最初の対戦はブラウンとカベスタニー。これはカベスタニーが(順当に)勝利した。次が、藤波とラガ。今回、クォリファイで絶好調のボウに続いて2位となったのは、ラガでもカベスタニーでもなく、ファハルドだったのだ。
ラガと藤波の勝負は、ラガが勝った。藤波は今シーズン、ダブルレーンに関しては1勝3敗。速さでは定評がある藤波が、今シーズンはなかなかだぶるレーンで勝てないでいる。しかし今回は、スピードそのものの遅れではなくて、スタートの合図をまちがえたことだった。いつものスタート合図を待っていた藤波は、タイミングをとる間もなくラガがスタートしていくのを見送ってしまった。あわてて追いかけて、もうちょっとで追いつくかというところで勝負は終わった。もうちょっとコースが長ければ藤波が勝ったかもしれないし、少なくとも同時にスタートしていれば、藤波の勝利はまちがいないところだった。
このあと3つのオブザベーションセクション。今回は、比較的簡単な、というか、がんばればクリーンができる設定だった。少なくともバルセロナのように、高いステップをいけるか落ちるかというような設定でなかったのは確かだ。
Final Lap(決勝) | |||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
順 | 名前 | ダブルレーン | 2 | 3 | 4 | 小計 | 出 走 順 組 替 |
5 | 6 | 7 | 合計 | ||
1 | ボウ | — | — | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0+1 | 1 | |
2 | ラガ | — | 0 | — | 0 | 0 | 0+1 | 1 | 0+1 | 0 | 2+2 | 6 | |
3 | 藤波 | — | 2 | — | 0 | 0 | 0+1 | 3 | 1+0 | 0+1 | 5 | 10 | |
4 | カベスタニー | 0 | — | — | 0 | 0 | 5 | 5 | 0 | 0+1 | 5 | 11 | |
5 | ファハルド | — | — | 2 | 0 | 0 | 5 | 7 | 2+1 | 5 | 5 | 20 | |
6 | ブラウン | 2 | — | — | 5 | 1+1 | 5 | 14 | 5 | 5 | 5 | 29 |
ブラウンは5点がふたつで4セクションまでで14点。クォリファイで好調だったファハルドは、5点がひとつで7点(ダブルレーンでボウに敗北して2点をくらっている)。カベスタニーは5点ひとつで5点。藤波以上は5点がなく、ラガと藤波は4セクションでタイムオーバーの1点をとったのみ。ダブルレーンでの藤波の2点失点を抜きにすれば、両者の勝負は互角だ。
ボウは、すべてのセクションで減点なし。オールクリーンで勝負の後半戦を迎えた。チャンピオンがかかった大事な1戦とはいえ、もはやボウにプレッシャーなどはないようだ。
5セクション以降は、4セクションまでの成績順でトライする。3セクションまではクォリファイの成績順だったから、ブラウン、カベスタニー、藤波、ラガ、ファハルド、ボウの順だった。今度はブラウン、ファハルド、カベスタニー、藤波、ラガ、ボウの順となる。
5セクション以降は、ブラウンはオール5点。やはり、難度はちょっと増している。ファハルドは、5点がふたつ。クォリファイとファイナルとは、やっぱり勝手がちがうようだ。
カベスタニーは藤波に2点差で終盤戦に入ったが、後半戦では1点だけ追いついた。結果、1点差で表彰台を逃している。
カベスタニーに辛くも競り勝った藤波は、2点差のラガに、なんとか追いつき追い越し、2位表彰台を獲得したいところだった。しかしそうはならず。さらに2点引き離されて、3位を決めた。しかし開幕戦以来の表彰台である。
さて優勝争いは、これはもう争いにもならず。結局ボウは、最終セクションで僅かにタイムオーバーを喫して1点を取っただけで、ダブルレーンでも負けず、足も出さなかった。トータル減点は、この1点のみ。その王者ぶりには、手も足も出ない。
ラガも、5点がひとつもないという優秀な結果で試合を終えたのだが、ボウとは5点差。ついに、ラガがひとつも勝てないまま、インドアシーズンを終えてしまった。これも時代の流れだろうか。
PointStandings(ランキング) | |||
---|---|---|---|
1位 | トニー・ボウ | 30 | チャンピオン決定 |
2位 | アダム・ラガ | 22 | |
3位 | アルベルト・カベスタニー | 20 | |
4位 | 藤波貴久 | 18 | |
5位 | ジェロニ・ファハルド | 12 | |
6位 | マイケル・ブラウン | 7 | |
7位 | ドギー・ランプキン | 4 | |
8位 | ロリス・グビアン | 1 | |
8位 | マテオ・グラタローラ | 1 |
さて、残り試合はあと1戦。2回めのスペインであるマドリッドが最終戦となる。ボウとランキング2位のラガの点差は現時点で8点。優勝して得られるポイントも8点だから、最終戦でラガが優勝しても、優勝回数でボウのランキング上位が決まる。つまり、チャンピオン決定だ。
2位以下は2点差でラガ、カベスタニー、藤波と続く。しかしインドアのポイントは1位から 7位まで、8点、6点、5点、4点、3点、2点、1点となっている。2点差を縮めるのは至難である。つまり、現実的には最終戦でランキング順が変動することはまずないのではないかと思われる。となると、王者ボウがさらに王者ぶりを示すか、あるいはラガや藤波がシーズン初優勝を果たすか、カベスタニーが2勝目をあげるか、はたまたファハルドが……、という興味になるが、さて、どうなるだろうか。
気になるのは、藤波にひじの故障が伝えられることだ。インドア第2戦あたりから故障が出ていたが、徐々によくなってきているという。ただし、間もなくアウトドアシリーズがスタートする。症状の状態と、アウトドアの開幕に万全の調子で望めるのか、ちょっと気になるところではある。