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フランスGP、藤波貴久絶好調、優勝と2位!
アンドラ大会から1週間後、世界選手権はフランスに舞台を移した。アンドラからピレネー山脈を越え、フランスとスペインの国境に近い、ルルド(Lourdes)での開催だった。
土曜日はトニー・ボウ、藤波貴久のレプソルHonda勢がワンツー。日曜日は藤波貴久が優勝! ボウは3位に終わるも、両日終わって計算をすれば、ラガとのポイント差を3点広げた結果となった。藤波はランキング3位争いを一気に17点差として、後半戦に向けて明るい風が吹いている。
■土曜日
この会場は、とても滑るコンディションの上、前日に雨が降り、当日も降ったりやんだりの天候となるなど、むずかしい戦いとなることが予想された。
この日も、ボウは好調だった。1ラップ目、ボウの減点は10点。ラガには10点差をつけている。そして、ラガと同点の20点で1ラップ目を終えたのが、藤波だった。
1ラップ目、トップはボウ、2位はラガでも藤波でもなく、ファハルドだった。ファハルドはボウに2点差でトップを追う。しかしファハルドは2ラップ目に5点を7つもとって脱落していく。
こうなると、ボウを追うのはラガと藤波ということになる。2ラップ目、ラガは1ラップ目とほぼ同じ21点。藤波は5点減らして15点で2ラップ目を回ってきた。これで藤波は6点差で単独2位だ。
しかしこの日、戦い以外の事件が起こっていた。第5セクションから第6セクションの移動路が超難所で、そこで若いスペイン人、ミケール・ジェラベルトのマインダーが転倒、落ちたマシンを引き上げようとしている際に意識を失って、救急のお世話にならなければらなくなった。これが、2ラップ目のことで、この頃にはトップライダーはすべて第6セクションに到着していて、ジェラベルトもマインダーのいないままトライを続けていたという。
そして3ラップ目、トップグループが第5セクションにトライした頃、第6への道の閉鎖が伝えられた。ドクターヘリが作業をするので、ルートからライダーを排除する必要があったのだ。
結局、件のマインダーは無事ヘリコプターで救出されて大事には至らなかったようだが、そこで1時間程が経過していた。FIM、主催者、ライダーが競技をして、試合は3ラップ目の第5セクションで中断ということになった。試合の大半を消化しているため、大会は成立。3ラップ目第5セクションの時点での成績を持って、フランス大会土曜日の結果が決まることになった。
優勝は21点のボウ、藤波が38点。3位はラガで44点。藤波の2位入賞は、2015年の日本GPの2日目以来のことだった。
藤波が2位で選手権ポイントを17点加えたのに対し、ランキング3位争いのライバル、ハイメ・ブストは8位で8点、アルベルト・カベスタニーは10位で6点を加えるにとどまった。ランキング3位争いはがぜん藤波に風が吹いてきた。
https://www.shizenyama.com/wp-content/uploads/2016/06/101-TRIAL-GP-09-FRA-2016-FINAL.pdf
■日曜日
雨は土曜日の試合後も降り、そして日曜日には晴れ上がった。滑るコンディションは、さらに輪をかけてひどくなっている。しかもこの日は、前日に事故のあったコースをカットして、3つのセクションを新たに設定した。つまりいつものダブルヘッダーの戦いとは、少し様子のちがう日曜日となっていた。
明けてみれば、第1セクションから難セクションになっていた。第1セクションを抜けられたのは5人だけだった。きのう、マインダーの大事件があったジェラベルトとダビルが3点、そしてブスト、ラガ、藤波が1点だ。
ボウは第1に続いて第4でも5点となって、連勝に黄信号がともった。さらに5点、3点と減点を加えて、1ラップ目はラガの7点に対して19点。ボウには厳しい戦いとなっていた。2位はラガに3点差で藤波、3位がブストで、ボウはカサレスに1点差に迫られる4位で1ラップを終えている。
2ラップ目、トップスコアをマークしたのはブストだった。5点一つで9点。ボウは13点と少し調子を戻したものの、ブストに9点差で4位。ブストが表彰台圏内、あるいは優勝争いにからんできた。
そしてトップ争いは、藤波が1ラップ目と同じ10点、ラガはちょっと減点を増やして13点。これで藤波とラガは20点の同点で最後のラップに入っていくことになった。
このラップ、藤波の走りは神がかっていた。カベスタニーが9点、ボウが10点、ファハルドが12点、グビアンが15点、ラガが16点と減点していく中、藤波だけがクリーンをたたき出し続ける。
そしてとうとう、12セクションをたった1点で回ってしまった。文句なしの優勝だ。ラガは藤波に遅れること15点で2位。ボウは追い上げたもののラガに6点差で今シーズン初めての3位となった。
好調だったブストは、またしてもまたしても4位。しかも今回は、3位のボウと同点、クリーン数差による順位決定だった。
藤波の勝利は、2013年開幕戦オーストラリア以来。このオーストラリア大会は、藤波が靭帯損傷をし、不安にさいなまれながら臨んだ初めての戦いだった。そして今回は、負傷がほぼ癒えて、調子を取り戻しての勝利だった。
連勝記録は止まったものの、選手権ポイントではラガに対して3点アドバンテージを広げたボウのリードはちょうど20点となった。残るは5戦。ボウが2位を守れば11回目のチャンピオンが決まる計算だが、今年はまだもう一波乱があるかもしれない。
そしてランキング3位争いは、この週末で藤波がリードをとることになった。ブストに17点、カベスタニーに24点差。まだまだ予断は許さないが、こちらも藤波優位で後半戦に突入することになる。
https://www.shizenyama.com/wp-content/uploads/2016/06/101-TRIAL-GP-10-FRA-2016-FINAL.pdf
https://www.shizenyama.com/wp-content/uploads/2016/06/16R5fra_gp_stand.pdf
■セクションbyセクション・リザルト
https://www.shizenyama.com/wp-content/uploads/2016/06/103-TRIAL-GP-09-FRA-2016-SECTION-PHOTO.pdf
https://www.shizenyama.com/wp-content/uploads/2016/06/103-TRIAL-GP-10-FRA-2016-SECTION-PHOTO.pdf
■トライアル2
ジャック・プライスの強さはあいかわらず。しかし今回、勝利したのはガエル・シャタヌ、フランス人。フランス大会で初勝利だ。プライスは2位で、開幕戦で7位になった以外は全戦で表彰台。この6戦は2位以上をキープしている。
ランキングでは1位から4位に3名のイギリス人がいる。次世代のイギリスは、果たして強さを取り戻すのだろうか。
https://www.shizenyama.com/wp-content/uploads/2016/06/16R5fra_2_stand.pdf
■トライアル125
トライアル2ではジャック・プライスが強いが、トライアル125ではジャック・ピースが強い。ここまで10戦中7勝。残る3戦も2位という好順位だ。
125クラスは、全15戦中、11戦の好成績の順位で選手権を決定する。ここまで7勝しているから、あと4勝すれば全勝と同じ価値を持つ成績となる。次のベルギー大会で早くもチャンピオンが決まる可能性もある。
https://www.shizenyama.com/wp-content/uploads/2016/06/Trial125-Standings-2.pdf