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ベルギーGP。ボウの勝利とジャック・ピースのタイトル決定
7月10日、ベルギー大会。2016年シリーズも終盤戦となって、まず125クラスでチャンピオンが決定した。トライアル2、GPクラスも今シーズンの流れはほぼ確定的となっているが、しかし戦いはまだまだ熾烈だ。
世界選手権はここ数年、ずっと1大会2試合ずつ、土曜日と日曜日に開催で続いてきたが、ベルギーは日曜日の1日だけの大会となる。
トライアル125クラスではジャック・ピースが8勝目を挙げた。世界選手権では、トップクラス以外は有効得点制で選手権を争っていたが、今年から、125クラスは全15戦中の11戦による有効得点制となった。4戦休んでも選手権を戦う権利は保たれているわけで、より参加しやすい参戦体制となったといえる。
その11戦のうち8戦で勝利したピースは、この勝利をもって、2016年チャンピオンを決定した。今シーズンのアウトドアタイトル、第1号だ。
ピースが今シーズン勝利を逃したのは3回。その3回で勝利したのはいずれもドイツ人で、ドイツ大会でのヤルモ・ロブランとアンドラ大会日曜日でのマックス・ファウド。ロブランはドイツ大会だけ125に参戦して、それ以外はトライアル2に参加している。ドイツまでは無得点で、ドイツの125でパーフェクト勝利してからは、トライアル2でもぽつぽつとポイントを獲得するようになったというのがおもしろい。ファウドはアンドラで1勝したのみだが、ドイツ大会で3位になった以外は全戦で2位となっていて、ピースと同様、安定して上位につける実力者だ。ピースの最大のライバルがファウドだったが、ここまでのトータルポイントはピースの211点に対し、ファウド186点。ファウドが残り4戦を勝利したとしても、ファウドの有効得点は202点にしかならない。文句なしのタイトル決定だ。
■トライアル125結果
https://www.shizenyama.com/wp-content/uploads/2016/08/2016_125_Belgium.pdf
https://www.shizenyama.com/wp-content/uploads/2016/08/2016_125_Bel_ST.pdf
■トライアルGP
ベルギーは、滑るという印象が強い。どこで開催される大会も、滑る。そういう地質なのかもしれない。滑る路面に苦労したか、ボウとラガは1ラップ目には首位に立てなかった。トップはカベスタニー、2位がファハルドで藤波が3位、僅差でボウ、ラガと続いていた。6位ブスト、7位ダビルまでが9点差におさまっていたから、大接戦にはちがいない。
2ラップ目、ボウが復調。といっても、1ラップ目18点から2ラップ目13点とわずかなスコアアップなのだが、これでトップに浮上。1ラップ目のトップ3の3人は、それぞれ20点台で減点を増やしている。2ラップ目終了時点でトップはボウの31点、ラガ34点、ファハルド36点、藤波38点、カベスタニー39点、ブスト42点、ダビル48点。接戦ながら、少しずつ順位が見えてきた。
ところが試合はまだ終わっていない。3ラップ目、ボウは14点で安定して好調だが、ラップ2位はカベスタニーだった。ラガは19点、対してカベスタニーは16点。これでカベスタニーは、2ラップ目までの4位から3位表彰台に返り咲くことになった。
表彰台争いから脱落したファハルドと藤波は、藤波が21点、ファハルド24点。藤波が4位となるべくスコアだったが、ところが藤波には2点のタイムオーバーが課せられていた。これで1点差。藤波は5位となった。
実は今回は、岩が動くなどしてセクションがキャンセルとなったものがふたつあった。ひとつは1ラップ目の第8セクション。これは1ラップ目だけキャンセルで、2ラップ目以降は復活している。もうひとつは3ラップ目の第4セクション。これはボウのトライで岩が崩れたものだった。ボウといえばトライは最後の最後のはずだが、このとき、二人残っていたのが、藤波とラガだった。藤波は3ラップ目第3セクションでクラッシュをしていて、その修復でやや遅れて、ラガといっしょに最後尾でのトライとなっていたのだった。
ボウが岩を崩したことで、セクションを閉めるのかどうするのか、主催者側か悩んでいるうち、時間は経過していく。結局安全性を重んじてセクションは(当然のように)閉鎖となったのだが、そこで待たされたラガと藤波にしてみたら、待っていた時間をどうしてくれるんだ、ということになる。そこで主催者のひとりが、5分延長すると安請け合いをして二人は戦列に復帰したものだが、実はこんな約束は公式のものではなかった。とはいえ、その主催者の一人というのが、競技監督だかの役職の人物だったから、信じるなというのも無理がある。
なんとも釈然としないまま、ラガと藤波は3分残してゴールしたはずが2分のタイムオーバーとなり、結果的にラガにはなんの影響もなかったものの、藤波は4位を逃して5位となってしまったのだった。
カベスタニー3位、藤波5位となったことで、選手権ポイントはカベスタニーが4点つめよってきた。しかし藤波にはまだ20点のアドバンテージがあり、ランキング4位は依然としてハイメ・ブストが守っている。
■トライアルGP結果
https://www.shizenyama.com/wp-content/uploads/2016/08/2016_GP_Belgium.pdf
https://www.shizenyama.com/wp-content/uploads/2016/08/2016_GP_Bel_ST.pdf
■トライアル2
125と異なり、13戦の有効得点制で争われているトライアル2。今回が11戦目となるから、まだ2戦が残っている。
しかしチャンピオン候補のジャック・プライスは今回も絶好調で、シーズン6勝目を挙げた。シーズン序盤は勝ちあぐねていたが、日本での初優勝以降、着々と強さを身につけてきた。プライスが勝てなかった5戦は4人が勝利をわけあっているから、結果的にプライスのランキングトップは安泰ということになっている。
残り4戦で41点差。まだタイトルは決まらないが、限りなくタイトル決定に近い点差となっている。
■トライアル2結果
https://www.shizenyama.com/wp-content/uploads/2016/08/2016_2_Belgium.pdf