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ライア、まず1勝
2009年女子世界選手権は、世界選手権アンドラ大会の土曜日に第1戦が開催された。
予定通りというか、結果はライア・サンツのぶっちぎり。2位に17点差、ダブルスコア以上の大差をつけた。
2位はイギリスのクック・レベッカ。3位もイギリス人のジョアンヌ・コルスが入った。コルスは2008年に世界選手権の舞台に本格デビューしてきたニューカマーで、急成長に注目が集まっている。
表彰台から滑り落ちてしまったのがイリス・クラマー。2007年世界チャンピオンも、若手の台頭にちょっと苦戦のようだ。
ライア・サンツは、これまでに8回の女子世界選手権タイトルを獲得している。うち、2007年にはイリス・クラマーに敗退してタイトルを取りのがしているから、7年連続の8回のタイトルということになる。ドギー・ランプキンが7回連続の7回タイトル、ジョルディ・タレスが2回の3年連続を含む7回のタイトル獲得を記録しているから、トライアルの世界王者としては文句なしに世界一だ。
日本のみなさんには、女子トライアルはまだ認知が徹底していないし、その格式も男子部門に比べると劣ると思われているフシがあるが、ヨーロッパではけっしてそんなことはない。レプソル・モンテッサ・ホンダのスポンサーであるレプソルなどは、ライアのチャンピオンの力量に着目してスポンサード契約を締結したというし、現役のチャンピオンという点で、その名誉地位はランプキンや藤波を上回るものがあるという。今年、ライアはジュニアカップへの本格参戦を中断しているが、それも、ジュニアカップへの参戦が女子世界選手権タイトル獲得の障壁になるようではいけないという判断からだ。
2位に入ったクック・レベッカは、昨年まではガスガスに乗っていたが、今年はシェルコに乗り換えた。MRS SHERCOというこのチームは、マルコム・ラスメルが率いる名門チーム。マイケル・ブラウンやユースクラスで活躍するジョナサン・リチャードソンもこのチームに属している。イリス・クラマーとの2位争いを勝ち上がり、次はなんとかライアの牙城に狙いを定めたいところだが、さて、勝機はあるか。
ルーキーのジョアンヌ・コルスは、今回の3位がフロックなのか実力なのか、もう少し見極めなければいけないだろう。しかしいずれにしても、イギリスが次から次へと新しい才能を輩出してくるのは注目に値する。マリア・コンウェイやドンナ・フォックスなどのイギリス女子トップライダーが今回参戦していないのもあるが、若手が確実に育っているという点で、イギリスは(男女ともに)今後驚異の国になるにちがいない。
女王イリス・クラマーは、1ラップ目は2位をキープしたものの、2ラップ目にイギリス勢の倍の減点を叩いてしまって4位。5位のロシータ・レオッタ(イリスと同じくドイツ人)との間にはまだいくらか点差があるから、ミスがあっても4位キープできるのは、まだまだ高い実力を持っていることを証明している。
今回のリザルトで注目したいのは、スペイン勢だ。ライアが圧倒的に強いのは当然として、これまで、ライアの独り舞台の印象が強いスペイン女子トライアル界だった。ところがこんかいは6位にミレイア・コンデ、8位にアルバ・ビレガス、9位にサンドラ・ゴメス(ジュニアに参戦中のアルフレッド・ゴメスの妹)と若手スペイン勢が上位に進出してきた。いずれも、去年から本格参戦したルーキーたちだ。
一時はデ・ナシオンで勝利したこともあるフランス(このときクリーン差で負けたのが日本だ)だが、今回は最上位がサンドリン・ジュフェの10位にとどまった。
ライアの圧勝はいつまで続くのか、そしてデ・ナシオンで覇権を握るのはどこの国か。そんなことを占いながらながめる女子世界選手権は、とても楽しい。
参戦していない日本は、その点では権利がない。最下位以下の存在だ。残念。