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トライアルGP発進、最初の勝利はやはりボウ
世界選手権開幕戦、2017年はスペインから始まった。そして今年は、プロモーターとしてスポーツ7が大会を運営する、その初年度になる。そしてその最初の戦いは、やっぱりトニー・ボウが勝利したのだった。
プロモーターの変化は、まずライダーのウェアを変えた。これまで、世界選手権は伝統的に胸ゼッケンをまとっていた。スポンサーロゴが隠れてしまうとか、ゼッケンが安っぽいとか(毎回使い捨てなんで、安くつくってくれるところを探してやってるんでしょう)いろいろ言われていたゼッケンだけど、それが文化なのかと思っていたけど、親方が変わって、あっさり消えることになった。代わりに、ウェアにもカッパにもジャケットにも、ゼッケンを必ずプリントするのが義務になった。ゼッケンのプリントされたウェアを持っていない場合は、ゼッケンの入ったシールを(主催者から購入して)貼るべしということになっている。
そして、そのゼッケンそのものも変わっている。これまでのゼッケンは、GPクラスは前年のランキング順に与えられ、ワイルドカードライダーはその都度適当にゼッケンを与えられていた。だから、この11年間はボウがずっとゼッケン1番をつけていて、2番はずっとラガがつけている。これが、お望みなら、ライダーが好きな番号を選べるということになった。そのかわり、1番から20番までは自分のランキングの番号しか選べない(藤波は、当初自分がゼッケン1番をつけようとして、ボウに23番がいいよと勧めていたらしい。残念だった)。
そんな藤波の助言を無視して、ボウは#1を選んだ。ランキング2番のラガは#67。世界選手権で6勝(インドア4勝、アウトドア2勝)、スペイン選手権で7勝しているから、6と7の組み合わせなんだそうだ。藤波は、悩んだ末に、ランキング通りの#3を選んだ。ランキング5番が定位置になっていたところから、せっかく3番に返り咲いたところだったから。
ランキング4番のカベスタニーは#37。世界選手権に初めて出たときのゼッケンだか、初めてポイントを獲得したときのゼッケン、だそうだ。ファハルドの#47は4と7が好きだからという理由だそう。ランキング5番のファハルドに#4と#7を選ぶ権利はないから#47になったらしい。
ブストの#69は不明。ニッキー・ヘイデンにあこがれているということではなく「あいつはそういうやつです(某先輩)」とのこと。ホルヘ・カサレスの#33は、2013年ジュニア(今のトライアル2)でチャンピオンをとったときのゼッケンだという。#34ジャック・プライスも、去年トライアル2でチャンピオンをとったときのゼッケンだ。
トライアルの場合、MOTO GPとかとちがって、ゼッケンはそんなに目立たない。だから思い入れのある番号を背負っていても、そんなに影響はないような気もするんだけど、2017年の目新しい一面となった。
参加人数にも定員が設けられた。トップクラスのトライアルGPは20人に限定されたので、各国のワイルドカードでの参加希望者はごく少数になる(といいつつ、日本GPでは21名のエントリーになった。なにかてちがいがあったのだろうけど、そんなもんだ)。
大きな変化は、予選ができたことだ。大会前日に専用セクションを一つつくって(大会に使うものをベースにしてもいいようだ)そこを走る。クラスごとにゲートが置かれてもいい。いつもと同じように採点をする一方(もちろんノーストップルールだ)、インからアウトまでのタイムを計測して、クリーンしてタイムの速い者が予選1位となる。この予選、下位ライダーとしては、一発逆転でトップグループと走るチャンスもつくれるのだが、トップライダーがちょっと失敗して5点になると、ポツンと先頭グループでスタートしなければいけないリスクも生じる。それが規則だといわれれば反論のしようがないが、トップグループをまとめて見たい観客側からすると、ちょっと困ったシステムかもしれない。
スタート順は、この予選結果に準じて決まるのだが、これまでのスタートは、最終スタートが11時ちょうどと決まっていたのが、今年からは第1スタートが9時ちょうどになった。特に大きな変化はないが、考え方がまるきり変わったということだ。
そして、これまで1ラップ目が終わったら、そのまま2ラップ目に突入していたのが、20分間のインターバルが置かれることになった。インターバルというか、2ラップ目のスタート時間が1ラップ目同様に指定されるということになる。1ラップ目にタイムオーバーがあったら、その分だけ20分間の休憩時間が減っていくということだ。
そうそう、重大な変更があった。これまでトライアルといえば、ライガーがここにパンチカードを持って、このカードが採点のイノチだった。ところが2017年からは、オブザーバーが入力用の電子端末を持っていて、これで入力したものがメインとなった。パンチカードは今まで通り持ってはいるが、電気機器の不測のトラブルの際のバックアップということだ。電子機器で採点が入力されることで、各セクションの減点は瞬時に本部に届けられ、全世界に情報が発信される。なんとも近代的だ。
反面、パンチと端末は別々に入力されるから、そっちとこっちでちがう数字が入った場合、ライダーは自分の減点を確認するのがたいへんになる。事実、スペイン大会ではパンチカードを頼りにしていた藤波やチャーリー・デマシューは藤波の4位を確信していたのだが、電子端末によると5位になっていた。電子端末の入力にまちがいがないかどうかを確認するのもライダーの責務となると、ちょっと荷が重くなりそうだ。
そんなこんなの大変革。しかし開幕戦の結果は、多少の波乱はあったものの、だいたい順当な結果が出た。予選で大失敗したカベスタニーは、しかし本番の1ラップ目に絶好調。2ラップ目に20点も減点を増やして優勝争いから脱落するも、開幕戦堂々3位表彰台だ。
優勝はボウ、2位ラガという結果は順当すぎる順当なものだが、1位と2位は約10点差、2位と3位の差は約30点。そして3位からさらに約10点差で4位がファハルド。ファハルドと1点差でくやしい藤波、さらにここ数年、ちょっと元気がなさげに見えるカサレスが6位で、表彰台を目指さなければいけないブストが7位という結果だった。
トライアル2チャンピオンのジャック・プライスがライバルだったアルナウ・ファルレとともにこのクラスに昇格してきて、まずは開幕戦はプライス13位、ファルレ16位となっている。
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