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’17イギリスGP、レプソルデュオ、ワンツー
7月9日、イギリスGPは、トニー・ボウが盤石の構えで勝利、そして2位には藤波貴久が入り、レプソルHondaのデュオがワンツーフィニッシュを飾った。3位はTRRSのアダム・ラガ。3人目のレプソルライダー、急成長中のハイメ・ブストは6位となった。
この結果、シリーズポイントでは(1位ボウ、2位ラガは大きな変化はないが)、3位に78点で藤波が浮上、7点差の71点の同点で4位ブスト、5位ファハルドが追う展開となり、65点のアルベルト・カベスタニーが6位となっている。
次はアメリカのダブルヘッダー、2017年世界選手権は、早くも残りは4戦となった。
イギリスGPの開催地はイングランド北部、ウェスト・ヨークシャー州トングのオフロードトレーニングセンター。イギリスらしい滑りやすい泥の地形と、そそり立った大岩とのコラボレーションで、走破がむずかしいセクション設定となっていた。
序盤から好調だったのはボウと藤波だった。藤波は第1で1点とったものの、その後はよく減点を抑えて、オールクリーンを続けるボウに続いてトップ争いで試合をスタートさせた。
序盤は、ブストも好調だった。特に藤波が5点となった第7を3点で抜けると藤波を逆転、ここまでの減点はボウが0、ブストが6、藤波が7と、モンテッサトリオがトップ3を独占ということになった。しかしもちろん、このまま戦況が続くとは思えない。
もうひとり好調だったのが、地元イギリスのジェイムス・ダビルだ。日本では泥々の予選でトップをとり、土曜日に2位入賞を果たしたダビルは、イギリス人の得意パターンである滑る会場で本領を発揮、藤波を追うスコアでセクションを回っている。
試合の流れは、7セクション前後でがらりと変わった。藤波、ブストのミスが出始め、ダビル、ラガ、そしてファハルドが点数をまとめ始めた。特にラガは、第8から第12まで連続クリーン。これはボウにもできなかったことだった。
1ラップ目が終わって、トップは安定のボウで8点、2位はダビルの16点、3位にファハルドの17点。藤波は22点で20点で追い上げてきたラガに4位を譲り、ブストにいたっては26点でマテオ・グラタローラに並ばれてしまっていた。
アルベルト・カベスタニーは、イギリス的地形がやはり向いていないのか、それとも好不調の波があたってしまったのか、29点でグラタローラのうしろ、8位で折り返している。
2ラップ目、トップのボウはかなり安泰だが、2位から8位までは13点の開きでしかない。まだまだ試合の変動はありそうだ。
2ラップ目、クリーンを連発してセクションを回るのはボウ、藤波、ブスト、そしてカベスタニーだった。ラガとダビルは第2で5点、ファハルドが第4で5点となり、ボウ以外のトップ争いがより接戦となっていった。
順位を上げるには、減点をしないことが一番だが、5点がないのがとにかく効果が高い。そして、5点なしで2ラップ目を突き進んでいるのが、藤波だった。
今回の藤波は、予選9位。スタート順はちょっと早めだった。なので藤波の後ろにはトップグループのライバルが続々とやってくる。今年は大会の速報システムが充実しているが、速報は早く回ったライダーと遅く回ったライダーの減点小計をそのまま集計するので、藤波のように早いスタートのライダーは(減点をすると)見た目の順位が悪く出る。
藤波の2ラップ目は、5点が一つもないまま、ついに他のライバルよりも早く最終セクションに到着した。ボウも、2ラップ目に5点を取り始めた。しかしこの最終セクションで、藤波は1ラップ目にここで5点になっている。このとき、ラガ、ダビル、ファハルドはまだ2ラップ目の途中にいた。
藤波が最終セクションをクリーンすることで、藤波の4位以上は確定することは明らかだった。あとからやってくる5位以下のライダーが、みな藤波より多く減点をとっているからだ。藤波の第14までの減点はトータルで28点、暫定2位のラガとダビルは27点(このとき、ラガは12セクションまでを終え、ダビルは11セクションまでを終えていた)。クリーンすることで、ラガとダビルがそれ以上の減点を取る可能性は少なくなかった。ファハルドには3点のリードを保っていたが、4位争いに勝利することが目的ではないから、難としてもここをクリーンしてライバルにプレッシャーを与えたい。しかしまた、もしも5点になったら、ファハルドに逆転を許す結果にもなりかねない。
そして藤波がトライ。最後の勝負は、藤波の勝ちと出た。藤波がクリーン。これでまず4位以上を確定して、ライバルのゴールを待つことになった。
するとまず、ラガが第13で3点を取った。これで藤波とラガの減点がひっくり返り、藤波が3位表彰台を確定した。そして直後に、ダビルが第13で5点。これで藤波の上位にいるラガとダビルがいなくなり、藤波は2位表彰台を確定した。
ブストは1ラップ目より減点を10点以上減らしてきたものの、ファハルドに8点差の6位に甘んじることになった。
そして残るはボウ。ボウの勝利はまずまちがいないが、ボウもまた第13で5点となってた。これで藤波との点差はたったの7点に縮まった。もしも残る2セクションを連続5点にでもなれば、藤波の大逆転勝利ということになる。
しかしそれはさすがにありえなかった。ボウは残る14、15をきっちりクリーンして、藤波との7点差を守ってゴールした。
今回のベストラップは、藤波が2ラップ目にマークした6点。1ラップ目に5点が3つもあったことを考えると、2ラップ目の藤波の走りは素晴らしすぎるものだった。
ここまでの6戦中、5勝をあげているボウは、ランキングポイントを115点として、2位のラガに18点の大差をつけている。今回、ボウとラガの間に藤波が入ったことで、より点差が開いたのだ。
その藤波は、今回の2位表彰台で単独ランキング3位に進出。ラガには19点差をつけられているが、まだまだフジガスパワーは健在だ。藤波を追うのはブスト、そしてファハルド。ふたりはともに71ポイントを獲得しているが、2回の表彰台があるブストに対し、ファハルドにはいまだ表彰台が1回もない。
ヨーロッパの3戦で5位以上が1回もないカベスタニーは、2回の表彰台がありながら、藤波とは13点差のランキング6位となっている。
トライアル2はモンテッサに乗るフランチェスク・モレットが勝ち、メーカータイトルに大きく貢献することになった。ランキング争いでは、モレットをはじめとするマルセリ、シャタナウ、ペトレーラらによる大接戦の2位争いに対し、ほぼ毎回表彰台を獲得するイワン・ロバーツが17点差でランキングトップを守っている。
125クラスはロレンツォ・ガンドーラが4勝目。しかしランキング争いはまだ11点のリードで、グリーン・ビリーの安定感も光っている。ちなみに今回のガンドーラは予選で失敗、誰よりも真っ先にスタートするハンディを課せられたが、それを逆手にとって誰よりも先に好スコアをマークして、ライバルにプレッシャーを与えることに成功している。
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