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藤波、ランキング5位となった最終戦
9月17日、北イタリアトレント郊外。世界選手権最終戦は、2017年一番のドラマチックイベントとなった。
ボウ優勝、2位ラガ、そして3位にブストと、上位3人はそのまま今年のランキング順。ブストがついにランキング3番を獲得した。
注目のランキング4位争いは、藤波がありえないくらいに不調。後半、気持ちを切り替えて走るも、なんと10位で終了するという結果になった。ランキングは5位が決定した。
トニー・ボウの王者ぶりは、第1セクションから発揮された。ブストが1点を取った以外は3点と5点で苦しむライダーばかりだったに、ボウは華麗にここをクリーン。1ラップ目にして、2位のラガにダブルスコアのリードを作ってしまった。
苦しんだのは藤波だった。1ラップ目、藤波は第7セクションまでをオール5点。なんと豪快な不調ぶりだった。
第6セクションからは、いくらかクリーンセクションになったのだが、そこでも5点を連発して、なんともたいへんなことになった。それでもライバルのファハルドもそこここで減点するようになって、1ラップ目の両者は7点差と、2ラップ目次第では可能性を感じるものでもあった。
しかし、2ラップ目、ラガやボウがほとんどオールクリーンの勢いでセクションを攻めてくるのに対し(ラガは2ラップ目、クリーンを14個たたき出した)、藤波は第1で2点、第2で5点、第3で3点と、追いつきたいファハルドにこの3セクションだけで7点差をつけられてしまう。
その後、藤波はペースを早め、それまでスタート順の通りファハルドの後ろを走っていたのをやめて、どんどん先を急ぎ、観客にアピールを繰り返しながら、イタリア人の好きなフジガスが健在であることを見せつけた。あいかわらず、走りは絶好調にはほど遠かったが、後半の藤波は、吹っ切れたように観客とトライアルを楽しんでいるようにも見えた。
なんともとんでもないリザルトとなった藤波の最終戦だったが、ランキング5位は確保、そして後輩ハイメ・ブストは堂々ランキング3位を獲得。日本大会の時に比べても、完全に自信たっぷりのトップライダーに成長していた。
金色に光るフロントフォークが渋いアダム・ラガは、しかし今大会3点のベストラップを2ラップ目にマーク。まだまだ世界のトップを走れるところを見せつけて2017年シーズンの幕を下ろした。
トライアルGPのタイトルになって1年目。オーガナイザーは新しいこのシステムに、トライアルの未来を託している。2018年、世界選手権は、また新たな変化を見せるかもしれない。