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スコルパ再生へ
フランスの裁判所から再生計画を却下され、再建が危ぶまれていたスコルパが、再生する見込みとなってきた。
スコルパの株式は、シェルコの社長であるマルク・テシエ氏が買い取ることになった。つまりスコルパはシェルコの所有となる。今後は、シェルコとスコルパのテクノロジーが合体したマシンが登場することも考えられる。
止まっていたパーツの供給も、早ければ9月頃からは再開されるようだ。ただし現時点では、あらゆる可能性が混沌としているも事実。
ともあれ、スコルパの倒産による、最悪のシナリオは回避される可能性が高くなったのは大歓迎だ。
(写真はマルク・テシエさん)
テシエさんは、実はスコルパの創設者でもある。スコルパを創設したあと、新たな可能性を求めてシェルコを創設した。テシエさんのいたころのスコルパはエンジンにロータックス製品を使用していたが、シェルコはパチャウ博士という元ガスガスのエンジニアを得て、コンパクトなエンジンを自社設計、軽量のトライアルマシンを完成させた。
今回、スコルパがシェルコの傘下に入ったことで、シェルコは自社エンジンともヤマハエンジンともルートができたことになる。可能性だけを語れば、シェルコエンジンのスコルパ、ヤマハエンジンのスコルパ、あるいはヤマハエンジンのシェルコなどの登場も考えられる。
さしあたって、現在はすでにスコルパからヤマハに発注がかけられて、宙に浮いてしまっているエンジンがあるので、これをきちんとした完成車として世に出す仕事が新生スコルパの最初の仕事となるだろう。
先日来、ヤマハエンジンを搭載したガスガスのエンデューロマシンの登場のニュースもあったが、これはスコルパの届いたエンジンをガスガスが買い取ってくみ上げたものという観測が濃厚。
これらの件については、真相はフランスの本社のみが把握していて、日本の代理店アルプス・ヴァンやヤマハサイドでも正確なところはつかめていない。
スコルパと組むかたちでレース活動をしているヤマハの木村治男氏は、テシエ氏がスコルパを買い取るという情報が入る前の時点で次のように語っていた。
「スコルパのニュースが届いてから、あらゆる可能性を模索しています。どんな事態に決着するかによって、意外に簡単かもしれないし、いばらの道を歩むことになるかもしれないが、いばらの道を含めて、準備ははじめています」
スコルパの再建は、どうやらもっともスムーズな決着を見ることになったようだが、マシンのラインナップがどうなるかなどは、もちろん今後に注目だ。
○輸入元:アルプス・ヴァン