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TRSとTRRSロゴの違い

TRRSとTRS

スペインにTRRSなるトライアルメーカーがある。7回のトライアルチャンピオン、ジョルディ・タレスの会社で、タレスの開発によるトライアルマシンが好評を博している。今回は、その社名についてのお話。

TRRSは2015年終盤にアダム・ラガと契約、すぐに2015年トライアル・デ・ナシオンの勝利チームの一員となり、2016年はXトライアル開幕戦でデビューウィン、さらに2016年日本GPではアウトドアでの初優勝を飾って、マシンの優秀性を世界中に周知した。その後もラガは、絶対王者のトニー・ボウを追って、世界ランキング2位を守り続けている。

TRRSのオーナーのタレスは、ベータで世界チャンピオンを獲得、世界初のアルミフレームマシン、ベータ・ガラの開発などにかかわったあとガスガスに移籍、TXTなどの開発をしながら3度のタイトルを獲得して、あわせて7回のアウトドア世界チャンピオンの記録を築いた。ライダー引退後はガスガスのレース部門でラガなどの育成に尽力していたが、JotaGas JTGの開発チームに加わり、そして満を持してTRRSの開発、そして市販を開始した。

トライアルはスペインで人気とよく言われるが、実際にはスペイン全土というよりカタロニア地方で圧倒的人気がある。モンテッサもガスガスもヴェルティゴも、そしてTRRSもカタロニアに本拠地を置く。ボウもラガもファハルドもカベスタニーも、そして藤波が住んでいるのもカタロニアだ。もともとこの地方はブルタコ、モンテッサ、オッサという高性能トライアルマシンの生まれ故郷で、トライアル人気が高い地方だったのだが、その人気を決定的にしたのが、トライアル・キングたるタレスの登場だった。1980年代から1990年代中盤にかけて、無敵を誇ったカタロニア出身のトライアル・キングの存在は、カタロニアのトライアルファンのみならず、すべてのカタロニア人の誇りになっている。

タレスの7回(4回と3回)のアウトドアチャンピオンの記録は、その後ドギー・ランプキンが7年連続タイトルを記録で並び、トニー・ボウがあっさりと抜き去って現在に至る。それでもタレスの存在感は特別なものだ。

さてそんなTRRSだが、デビュー当時はTRSと紹介されていて、今はTRRSとなっている。Rがひとつ増えている。マシンのロゴは変わっていないように見えるが、よく見るとRの影文字のように赤いRがもうひとつくっついている。FIMのリザルトでも、2017年からはTRRSで統一されている。

TRS 2018モデル

当時、TRSとTRRSはどっちが正しいのかとタレス本人に聞いたところ、どっちも正しいんだ、とはぐらかすような返事が返ってきた。TRSもTRRSもTARRESのことだよと自慢するように笑っていた。TaRReSの略なら、確かにTRSでもTRRSでも合点がいく。

それでもその後を見ていると、TRSという表記は影を潜めていったから、タレスの言うように「どっちでもいい」のではなく、TRSはTRRSになったと思うほうが正しそうだ。「どっちでもいい」というのは、それほどたいした問題でもないのよ、という気持ちの表れだったようだ。

長年にわたってタレスと仲がいいTRRSインポーター、エトスデザインの近藤博志さんがこの件についてタレスに説明してもらったところによると、ことの経緯はこんな感じらしい。

TRSという新しいトライアルメーカーは無事にスタートを切った。でもアルファベット3文字というのは、いろんなジャンルで社名などになりやすい。検索してみても、世界中にTRSの名前を冠した企業はいくつか見つけられる。さてTRSがスタートを切ったあと、この名前に異議を唱える声が届いたという。その異議は商標権などを侵害されたから金をよこせ、のようなものだったらしいが、商標権を侵害された企業からの正しい訴えというより、投機目的のような種類の異議だったという。TRSのオーナーが元世界チャンピオンだったということを知り、金もうけのタネにできると思ったのではないか。この件はその後撤回されて、話は振出しに戻ったのだが、会社としてはつまらない話にかかわってニューマシンの世界戦略に支障が出てはつまらないと考え、Rをひとつ足してTRRSとして現在に至ったというわけだ。

2015年に契約発表した時のタレスとラガ

TRSがJRDに改名したとなったら大騒ぎになりそうだが、TRSからTRRSへは気がつかない人は気がつかないだろうし、TRSでペイントしたトランスポーターやテント、ウェアやジャケットなども、あんまり違和感なく使える。TRRSという社名にはそんな背景があったのかもしれない。

ということで、TRSという名前は過去のもので、現在はTRRSが正しいのですが、それはこんな理由だったのです。

*追伸。興味があったらこれ(http://bit.ly/2ECTnfU)をクリックしてみてください。TRSという名前で、世界中にどれだけたくさんのロゴマークが存在しているかが一覧できます。

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