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ボウの圧勝続く。2位は……

Xトライアル第4戦ストラスバール(フランスの、ドイツに近いほう)は1月26日に開催され、トニー・ボウがまたまた勝利。予定されている全8戦のうち4戦を全勝で飾っている。

2位はスペインの若手ミキュル・ジャレバート、3位にアダム・ラガ、調子を上げているフランスのブノア・ビンカスは4位に入った。ハイメ・ブスト、ジェロニ・ファハルドは調子が上がらないまま。ジェイムス・ダビルはクォリファイ敗退となった。

2018Xトライアル第4戦表彰台左が初めて2位表彰台獲得のミキュル・ジャレバート。シェルコに乗るスペイン人。中央がトニー・ボウ、右がアダム・ラガ

今回の結果について、ジョルディ・タレスがXトライアルの勝ち抜きしステムについて怒っている。まず、今年のXトライアルの勝ち抜きしステムについておさらいしておこう。

ラウンド1と呼ばれるクォリファイは6セクションある。これを、序列が下位のライダーから一気にトライする。6セクションの持ち時間は6分に制限されている。従来、Xトライアルでは1セクションの持ち時間が1分でそれを30秒過ぎるごとにタイムオーバー減点が1点加算されていたが、クォリファイでは全部まとめて6分。途中でピットに帰っても時計は止まらない。マシンが壊れたらスペアマシンに乗って走りなさい、というルール。ウォーミングアップするから待ってね、も認められない。タイムは早い方が同点の場合に有利になるが、6分を過ぎると、その時点からあとのセクションは5点。極端な話、第1セクションで6分使ってしまうと、残る5セクションは一つも走らないうちに全部5点で終わってしまう。

参加者はいつも9人。このうち、ノミネートライダーとワイルドカードライダーがいる。ノミネートされているのはトライアルGPランキングのトップ3、ボウ、ラガ、ハイメ・ブスト。この3人はスペイン人なので、スペイン人以外のジェイムス・ダビルとブノア・ビンカスが加わって5人。本来ならノミネートはこれだけで、残る3人はそのつど主催者の権限で選出されている。ワイルドカードライダーも、成績がいい嫁ぎに出る権利が与えられたりするようだ。ただ、ファハルドはあんまり成績が良くないのに出続けている。なにか特約もありそうだ。

クォリファイで1位から6位までの順位が決まる。同点の場合も多いが、さっき書いたように、同点の場合はクォリファイの走破タイムの速い方が上位となる。そしてこの順位を持って、ラウンド2と呼ばれるセミファイナルの組み合わせが決まる。セミファイナルは2組に分かれる。

クォリファイ6位、3位、2位が第1グループ、クォリファイ5位、4位、1位が第2グループ。なぜ交互ではないのかという不思議もあるが、これがルールだからそういうものだと思うしかない。問題は、この2グループでの勝負が、最後のファイナルにどう影響するか、なのだ。ファイナルは、たった二人が進出して勝敗を争う。

クォリファイの順位は点数が決着がつく。セミファイナルに進めなかった7位から9位のライダーは、クォリファイの序列を持って順位がつく。同様に、セミファイナルに進出したが、ファイナルに進出できなかった4名のライダーも、セミファイナルでの点数順(同点の場合は6セクションの走破タイム順)でリザルトが決まる。ところが!

セミファイナルからファイナルに進出するのは、セミファイナルの2組の勝者一人ずつなのだ。たとえばこういうことが起きる。セミファイナルの1組のトップは21点だった。21点が二人でタイム差で決着がつき、もうひとりは22点という接戦。ところがセミファイナル2組はトップが7点、2位が8点という桁のちがう接戦となった。3位はやはり21点だから、21点がふつう、22点がちょっと調子悪くて、7点と8点のライダーはずば抜けているということになる。

ところがルールだから、ファイナルを走るのは7点のライダーと、21点で走破タイムの速かったライダーの二人だ。セミファイナルを8点で走ったライダーは、3位ということで表彰台に上がっている。

これ、たとえば、ではなくて今回のことだ。そしてセミファイナルで7点となったのがボウ、8点だったのがラガだった。セミファイナルでずば抜けた二人のライダーが勝敗を競うのが当然と思いきや、ボウのライバルとして登場するのは並の成績を収めたジェレバートだった。ラガは最後の勝負に挑む権利も与えられず3位を押し付けられてしまう。タレスが怒っているのは、こういうルールだ。

2018Xトライアル第4戦のジェレバートジェレバートは2位入賞と同時に、ランキングも6位から4位に浮上している。

あえて、タレスへの反論を考えてみる。まずラガは、セミファイナルで勝利すればよかったのだ。結果はボウに迫るものだったが、あと1点か2点削っていれば(それはとてもむずかしい)ラガはセミファイナルに勝利して、ジェレバートと優勝を争うのはラガになっていた。

現実問題、ボウと勝負して勝つのはなかなかむずかしい。つまり現実には、セミファイナルでボウと同じ組になったら、優勝と2位はあきらめなければいけないということになる。そういうルールもおかしいといえばおかしいのだが、今年はそれがルールになっている。それならせめて、セミファイナルでボウと同じ組にならないようにはできないか。

それは可能だ。クォリファイで、2位か3位、あるいは6位になればいい。ラガにとって、ボウに勝つのはなかなかむずかしくても、ボウに次ぐ2位か3位となるのはそんなにたいへんではないはずだ。なのに今回のラガは、クォリファイ2位をファハルドに奪われ、クォリファイ3位をタイム1秒4差の同点でブストに奪われている。百歩譲って今年のルールを認めるならば、ラガが今回3位に甘んじたのは、ラガのクォリファイでのこの走りに原因があるわけだ。

2018Xトライアル第4戦のラガ2位表彰台を逃したのは不運だったアダム・ラガ。ランキングは安定して2位を守っている。

Xトライアルはたったの6セクションで勝敗を競う。セクションにはむずかしいもの、簡単なもの(簡単、というレベルがまるでちがうのはご理解いただけるとは思いますが)といろいろある。むずかしいところをひとつでも行ければ戦況はぐっと有利になるけれど、逆に簡単なところ、確実に行けば抜けられるところで失敗すると、一気に状況は悪くなる。今回で言えば、クォリファイでの第2セクションと第4セクションでのラガの5点が、そういうパターンだった。

それにしても、やっぱりどうしてこんなルールにしてしまったのかという疑問は残る。5年くらい前から、トライアルは「ボウいじめ」に熱心だ。ボウがあんまり強いから、なんとかボウが勝ち続けないようにして、盛り上がりを演出したいと思っている。勝ったものは一番後ろからスタートしろというアウトドアのルールもそうだったし、あるいはノーストップルールもそれが発端だったかもしれない。

結果が物語っているのは、強い者はなにをやっても強いものは強いというあたりまえのことだった。優勝者が一番スタートとなるルールはボウにとってもつらかったけれど、誰よりもボウが一番スタートの訓練を積むことになり、一番スタートで勝つコツも覚えてしまった。それならもう、ギャンブルみたいな負けを期待するしかないという結果が、トライアルGPの予選であり、Xトライアルのこの試合システムだ。

2018Xトライアル第4戦のボウそして今回も圧勝のトニー・ボウ

もちろん、ボウを勝たせたくないというより、それが競技をおもしろくすると信じてやっているのだから、ボウが勝ち続けるからといって失敗ではないのだが、実際には、ボウ以外のライダーの成績がギャンブル的に上がったり下がったりすることは多くなっただけで、当のボウはやっぱり勝ち続けている。

実はボウは、神経系のトラブルなのか、すぐに腕の疲れが出てしまうというフィジカルな問題に悩まされている。この負傷は、しかし腕を連続して酷使しなければなんとかなるので、ファイナルのようにライバルと順番にトライする状況では多少余裕がある。問題はクォリファイやセミファイナルのように、6セクションを連続で走らなければいけないシチュエーション。この状況で勝ち続けているボウは、もともと持っているテクニックだけでなく、逆境の中で最大限のパフォーマンスを発揮しているといえる。

さてラガが2位になれなかったのは今回で2回目。開幕戦ではブストとの勝負に負けてファイナル進出ができなかった。今回はクォリファイの順位によってファイナル進出の目を断たれた。開幕戦の際はガチンコでの敗退だったし、ファイナルではボウとブストがいい戦いをしたからそれでもいいのかと思うのだが、今回のファイナルではボウが13点で抜けたのに対し、ジェレバートはオール5点で勝負が決まっている。最後の最後のクライマックスがこんな顔合わせでいいのかという心配もある。

始めちゃったものだから今シーズンはこのまま突っ走ることになるとは思うが、シーズンが始まる前に意見を求められれば、おそらく誰もが首をひねったであろうルールが採用になっているのはちょっと心配な現象でもある。

ということで、今回はビンカスに続いてジェレバートも初の2位獲得でおめでとうという結果が出たのだが、かわいそうに、あんまり祝福してあげられる状況ではない。ランキングは、ボウがどんどんぶっちぎっているが、それでもラガは2位安泰。3位はビンカス、4位ジェレバートとなっていて、ブスト、ダビル、ファハルドはその背後に並んでいる。ラガの3位はともかく、ブスト以下のこのところの低迷は、ルールの問題というよりは、本人たちのミスがたたっている。

04_X-TRIAL_Strasbourg_2018_Results

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