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最終戦ブタベストはラガが勝利
Xトライアル、2018年最終戦は、3月29日、ハンガリーのブタペストで開催された。アダム・ラガが今シーズン初優勝、2位にはパリで初優勝を果たしたハイメ・ブスト。3位に今シーズン大躍進のブノア・ビンカス。藤波貴久はクォリファイは3位だったが準決勝で6位となった。
パリで12回目のXトライアルタイトルを確定したトニー・ボウは、この最終戦は欠場となった。実はボウは、パリ大会を欠場しても、チャンピオン獲得は決定的だったのだが、タイトル獲得のセレモニーにパリまで行くのなら、ちゃんと走ってタイトル獲得劇につなげないという思いがあった。
ところがそれが裏目というか、やはりケガには厳しかった。パリ大会の前日まで一人でオートバイにまたがれなかったというから、パリのクォリファイをトップスコアで走ったことがびっくり仰天の一大事。本来なら、そこで欠場して、療養に努めるべきだったのだろう。もっとも、回復そのものは順調で、将来的に問題を残すようなものではないから、それでボウも無理をしたのかもしれない。
ということでボウの欠場は決まり、代わりにフランス人のアレックス・フェレールが出場。最終戦はジェロニ・ファハルドも欠場が決まっていた。ファハルドはノミネートライダーには選ばれていなかったのに、ここまで全戦参加が続いていた。参加ライダーの選考などがどうなっているのか、実はちょっとよくわからないのだが、ともあれ今回はガブリエル・マルセリ(スペイン・モンテッサ)とルカ・ペトレーラ(TRRS)のふたりの新人がXトライアルに参戦することになった。
クォリファイ(Xトライアルではラウンド1と呼んでいるが、1ラップ目という認識なのか予選なのか、いまひとつ微妙。最初の戦いであるのはまちがいない)では、ペトレーラがちょっとがんばった。フェレールと同減点のスコアをマークしたのだ。ただしマルセリも第2セクションをクリーンするなど、ちょっと光るところも見せた。マルセリは第2以外はオール5点、ペトレーラは第1をクリーン。フェレールがクリーンなし、ジェイムス・ダビルとビンカスがクリーン一つという結果を見ると、彼らルーキーのがんばりがわかる。マルセリは6セクションで25点、フェレールとペトレーラが21点だった。
20点台のスコアが3人となったことで、20点を切ってクォリファイを走れば、セミファイナル進出か確実となる。ミケール・ジェラベルトは12点、そして藤波が10点。今シーズン5回目の参戦にして、4回目のセミファイナル進出を確実にした。
最後に、ブストが9点、ラガが5点とベストスコアを更新して、セミファイナル進出の6名が決まった。藤波は、ラガ、ブストに次ぐクォリファイ3位ということになる。
ただ、クォリファイでは1位だろうと6位だろうと、直接は試合結果に影響がない。クォリファイ敗退が決まる7位と6位では大違いだが、6位にはいれば優勝の可能性さえ生まれるし、逆にクォリファイで1位になってもセミファイナルで失敗すれば6位に転落することだってある。
6人が、3人と3人に別れて対戦するセミファイナルは、クォリファイの順位によってトライ順と対戦組が決まる。クォリファイの2位、3位、6位はセミファイナル1組に、1位、4位、5位はセミファイナル2組を走る。セミファイナル2組は、いつもならたいていトニー・ボウがいる組だから、トップに出るのは至難だが、1組目は誰も走っていないところでトライすることになる。だから考え方によってはクォリファイ4以か5位になるより6位になったほうが4位や5位を狙える可能性が出るということもあるし、どうせボウを破って優勝するつもりなら、難度の上がるファイナルでの対戦より、セミファイナルでやっつけておいたほうがいいなんて作戦もあり得る(成功したライダーは皆無なわけだが)。それに、点数を操れるとしたら、それはスタートが遅いトップグループの特権となるわけで、ほとんどの場合、点数を自由に読めるライダーはいない。
今回はボウがいない。それで1組目にはブストと藤波、2組目にはラガが走ることになった。藤波はダビルに次いで1組目二人目のトライになったが、第3セクションで5点になってから調子を崩してしまった。ダビル15点に対して藤波は17点。最後にブストが8点をマークして、セミファイナル1組からのファイナル進出はブストとなった。
セミファイナル2組は、ジェラベルトがちょっと調子悪しで17点、今シーズンの出世頭のビンカスが8点、ラガが3点。ファイナルはブストとラガの一騎打ちとなった。ブストはこの前のパリ大会で勝利しているが、ラガは今シーズンまだ未勝利。
ファイナルだけは全5セクションを1セクションずつ交互にトライする試合形式となるが、第4までは1点で同点。最終セクションでブストが5点、ラガが2点となって、最後の最後にラガの今シーズン初勝利が決まった。
ランキングでは、最後の2戦を1位と2位でまとめたブストがランキング3位を奪取。2度の表彰台を獲得したビンカスはランキング4位を得た。1戦ずつ不参加のあるジェラベルトとジェロニファハルドが5位と6位、全戦参加のダビルが7位、そして2戦不参加の藤波がランキング8位となった。
試合システムががらりと変わり、アルベルト・カベスタニーが一度も参戦せず、後半3戦を残してラガが手術、ボウが負傷、セビリア大会がキャンセルとなるなど、いろいろ事件のあった2018年Xトライアルだったが、終わってみればいつものあるべきランキングにあるべきライダーが並ぶという結末になった。なおXトライアルは1戦をのぞく有効得点制となっているので、1戦を欠場するところまでは事実上のハンディはない。
参加者数をマシンと国籍別に見て見ると次のような感じ。スペイン人が多いのはまぁしょうがないとしても、どちらもちょっと意外な感じはするが、これが今の世界の勢力図だ。
マシンメーカー | 台数 | 国籍 | 人数 |
---|---|---|---|
ガスガス | 16 | スペイン | 36 |
モンテッサ | 13 | フランス | 10 |
シェルコ | 9 | イギリス | 9 |
TRRS | 8 | 日本 | 5 |
ベータ | 7 | イタリア | 2 |
スコルパ | 7 | ドイツ | 1 |
ヴェルティゴ | 3 |
このあと、2名ずつで対戦するX-TDNを経て、いよいよアウトドアのトライアルGPのシーズンインとなる。
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