© トライアル自然山通信 All rights reserved.

2018TDNはやっぱりスペインが勝利
トライアル・デ・ナシオンのXトライアル版、X-TDNは、4月6日、フランスのニースで開催された。
今年は5ヶ国が参加で日本は不参加。結果はほぼ当然のように、スペインが2位フランスに倍近い点差をつけて勝利した。3位はイギリス、4位イタリア、5位ドイツと続いた。
X-TDNには、数年前まで日本も藤波貴久・小川友幸コンビで参加していたが、レギュレーションに年齢制限が加わって、二人1組のうちひとりは25歳以下というしばりができた。これで日本の参加はとても厳しくなって現在に至っている。
スペインはトニー・ボウとミケール・ジェラベルトのコンビ。Xトライアルのランキング順からするとボウとハイメ・ブストの組み合わせとなってもよさそうだが、おそらくX-TDNのコンビを決める段階では、ブストが不調で、ジェラベルトのほうが成績がよかったということだろう。ボウはXトライアル最終戦を負傷の療養のために欠場しているが、ここに出場してきたということは、そちらのほうはもう万全ということだろうか。
フランスはブノア・ビンカスとアレックス・フェレールのコンビ。ビンカスが25歳以下枠だ。
イギリスはジェイムス・ダビルとジャック・プライス。ベテランのダビルと若手のプライスの組み合わせだ。
イタリアはマテオ・グラタローラと若手のルカ・ペトレーラ。そしてドイツがフランツ・カドレックとマックス・ファウデ。
5チーム10名の選手のうち、ドイツのファウデのみが、今シーズンのXトライアルに参戦していない。参戦経験があればいいというものではないが、エントリーの段階でハンディを負った国が生まれてしまうのが、X-TDNの宿命でもある。
試合のシステムはいつものXトライアルと同様の感じだが、セミファイナルが勝ち抜きではなく、スコアのいいもの順となっている。つまりクォリファイが2ラップ、ファイナルが2チームの一騎打ちで1ラップ、ということだ。
設営されている6セクションは、各チームの各ライダーが3セクションずつ走る。どのセクションをどっちのライダーが走るのかは、チームの作戦だ。
ラウンド1(1ラップ目)、ボウは第1、第4、第5を走って、第1で1点。フェレール、ダビルがクリーンしているから、ボウも木から落ちるということだろうか。対して第2、第3、第6を走ったジェラベルトはオールクリーンで、スペインのトータルは第1セクションでのボウの1点のみだった。
ボウと同じセクションを走ってオールクリーンをしたのはダビルだった。相棒の若いプライスは第2セクションで5点となったものの、減点はそれのみでイギリスは5点。
しかしこのイギリスより、1点減点が少なかったのがフランスだった。ビンカスは2018年のXトライアルで躍進したひとりだから、このTDNはその仕上げ的意味合いを持つことになる。
オール5点だったのはドイツのファウデのみで、カドレックがクリーン1、イタリアもそれぞれのライダーがクリーンをひとつずつ稼ぎ、やややさしめのセクション設定の中、トップ3チームはそれなりの接戦となった。
2ラップ目、ラウンド2。難度が増して、ドイツはお気の毒に二人が二人ともオール5点になった。イタリアもペトレーラはオール5点。グラタローラが7点で3セクションのノルマを果たすとイギリスのプライスも7点。そしてその以降、ダビル、ジェラベルト、ボウと、3人が5点一つのみで3セクションを走りきっている。
そんな中、フランス人が大活躍。フェレールはクリーンこそなかったが、2点一つと1点二つで4点とボウらを上回り、ビンカスは1点のみで3セクションを走りきった。この結果、ラウンド2では、スペインの10点に対してフランスは5点。ラウンド1とラウンド2を小計して、トップは9点のフランス、スペインが11点でこれに続くという予想外の展開となった。
そして、スペインとフランスの2ヶ国によるファイナル。これはさらに難度が上がった5セクションによって競われた。フランスは5セクションのうち4セクションで5点の21点、さすがにスペインの強さは群を抜いたが、それでもボウが1点と5点とクリーン。ジェラベルトが2セクションをクリーンして、ファイナルの減点は6点。
ラウンド1、ラウンド2、ファイナル、すべてのトータルでフランス30点に対してスペインは17点。予定通りというにはフランスのがんばりが光ったが、結果はやっぱりスペインの勝利、ということになった。スペインはこれでX-TDNでは12勝目を挙げたことになる。
トニー・ボウ
「Xトライアルのシーズンを勝利で終えられてとても満足です。フランスとの戦いはむずかしかった。我々は2ラップ目にミスをしてしまったが、ファイナルでは相手にプレッシャーを与えるよい戦いができ、再びその差を広げることができた。ミケールはこれが最初の勝利。彼に祝福を贈りたい」
ミケール・ジェラベルト
「このXトライアルシーズンは、私にとって成功でしたが、このTDNは最高の結果を得ることができました。子ども時代からあこがれの存在だったトニーと組むことかでき、勝利を勝ち取ることができました。今後、もっとレベルアップしていくよう、がんばります」
ブノア・ビンカス
「ファイナルでは、2ラップ目より高レベルの走りはできませんでしたが、2位という結果には満足です。スペインチームにはやられました。ただ、アレックスと私はよい走りができました。決勝はとても厳しいものでしたが、トニーとミケールに祝福しなければいけません」
アレックス・フェレール
「ここニースでは、我々フランスチームに対する観客席の応援は、とても重要で心強いものでした。ラウンド2でスペインをリードできたのも、この応援のおかげだったと思います。しかしファイナルはむずかしくて、我々はスペインチームに追いつくことができませんでした」
ジェイムス・ダビル
「目標であった2位には届きませんでしたが、我々自身のライディングと、表彰台獲得は満足のいく結果だったと思います。2ラップ目のフランスのパフォーマンスは称賛したいと思います」
ジャック・プライス
「ジェイムスはとてもいい走りをしていました。2位をなりたいと思っていましたが、2位を争ってよい戦いができたと思います。Xトライアルのシーズンを表彰台で終えられたのは、私の大きな満足です」