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成田匠、EMプロトで世界選手権へ
2018年は、エレクトリックトライアルが本格的に始動する年になりそうだ。このたび、成田匠が2018年の世界選手権に参戦する発表があった。マシンは、成田がインポーターを務めるEM(エレクトリック・モーション)、そのプロトタイプマシンのe-Pureデビュー戦が、成田の世界選手権復帰戦ということになる。
EMは、電動のフルサイズ(大人用)トライアルバイクを初めて世に出したフランスのメーカー。社長のフィリップさんはTY-S125FやSY250Fを世に出した当時のスコルパの代表で、当時から意欲的な製品ラインナップは注目だった。
トライアルに電動バイクを使う流れは、EMがフランスの会社であることからもあって、フランス選手権に特別参加をし、そんな実績から、2017年にフランスGPで初めてのトライアルEクラスの開催が実現した。
世界選手権トライアルGPのエレクトリッククラスは、ご存知の通り、ガスガスに乗るマルク・コロメが勝って、初代チャンピオンということになっている。しかし2017年はたった1戦での勝負でもあり、2戦での戦いの結果タイトルが決まる2018年が、事実上の世界選手権トライアルEクラスの初年度になるという見方は多い。
コロメは、1996年の世界チャンピオン(最高峰、現在のトライアルGPクラスになる)。世界選手権に参戦を始めたのは、黒山健一が1995年、藤波が1996年だから、コロメは先輩格になるが、1990年に世界選手権参戦を始めた成田とは同世代を戦っていることになる(年齢的には、成田が3歳ほど年上になる)。
コロメは2018年の選手権には不参加を表明していて、代わってガスガスに乗るのは、2017年限りで世界選手権からの撤退を表明していたフランス人のロリス・グビアン(2008年ジュニアカップ=トライアル2チャンピオン)が予定されている。
トライアルEクラスはまだまだ各メーカーとも開発が続けられていて、これからどんどん高性能化していき、戦いも熾烈になることが考えられる。2年目の今年、エレクトリックトライアルの先駆者であるEMが用意するのは、新型のプロトマシンe-Pure。まだその姿は明らかになっていないが、現在世に出ているEMとはまったく別の新型で、独自開発の特殊クラッチを搭載する予定だという。
成田といっしょにEMのライダーとして世界選手権に挑戦するのは、フランス人のクリストフ・ブルオン。野崎史高の世界選手権挑戦時代にスコルパのライダーとしていっしょに戦っていた若手(もうベテランになっている)で、最近ではデモンストレーションの分野で精力的な活躍をしている。
ガスガスはエンジントライアルバイクのクランクケースを流用したような、トランスミッションとクラッチを装備し、先般発表になったヤマハのTY-Eはミッションは装備しないがクラッチを装備する。従来のEMは伸びのあるモーター特性を活かす形でクラッチは装備されていなかったが、今後はクラッチ装備がエレクトリックトライアルマシンの標準形となっていくのかもしれない。
7月15日フランス大会、7月22日ベルギー大会。エレクトリックトライアルは、2018年に熱い戦いを繰り広げる。