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日本GP金曜日(予選日)
2018年FIM世界選手権日本GP。決勝は土曜日・日曜日だが、いまや日本大会は金曜日からメインイベント顔負けの予選ショーが開催されている。
昨年からトライアルGPと銘打たれて開催されている世界選手権。決勝が土曜日・日曜日の2日間開催される日本大会は、木曜日に選手受付・車検、金曜日に予選が開催されるという日程。去年の予選はプラクティスが1回、本番の予選が1回だったが、今年からは練習走行1回、クォリファイ1(Q1)、そしてクォリファイ2(Q2)と行われている。
練習走行はタイム計測なし、1回ずつのプラクティス。クォリファイは減点の少ない者、同減点ならタイムがよい順というように順位がつけられる。Q1はくじ引きによるスタート順でトライし、その順位でQ2のスタート順が決められる。決勝のスタートは、土曜日・日曜日ともにQ2の結果順となる(結果のよい者が遅いスタートとなる)。
Q1の結果はそれだけではなく、万が一天候急変などでQ2のコンディションが途中で変わったして公平度が損なわれたりした場合は、Q1の結果でスタート順が決まる。またQ2トライ中に5点となった場合はタイム計測ができないので、5点となった者の順番はQ1の結果順となる。Q2で5点が複数出た場合は、Q1の結果が順位に反映される。
去年は雨模様でコンディションが悪く、足をつきながらのトライが多かったが、今回はドライコンディション。1年間予選システムを走ってきた海外ライダーは、予選の走り方をしっかり習得してきていて、日本人ライダーとはまた差を見せつけられる結果となった。
速く走ろうと思うと、足を出すリスクも高くなる。あるいは、失敗して5点となってしまう危険もある。いくら速くても5点となってしまえば最下位着に順位は落ちるし、速い1点は遅いクリーンより順位が悪い。減点は最小限にとどめつつ、タイムを出さなければいけない。これはなかなかむずかしい。予選経験のほとんどない日本人にはむずかしい試練だ。
セクション難度そのものは、簡単ではないにしろ、きちんと走ればクリーンが可能。きちんとクリーンしながら、どこまでタイムを削れるか、作戦と対応力が問われるのが、この予選システムだ。
今回は、日本初登場の女子クラスが組まれている。走行ラインは去年までの3色(トライアルGP=赤、トライアル2=青、トライアル125=緑)に加え、女子トライアルGPの紫と、セクション内を自由に走れる女子トライアル2を加えて5つとなった。オブザーバーの採点もライダーごとにちがう視点で行なう必要があったり、なによりセクション作りは昨年までの比ではないほどにたいへんになっている。
女子トライアル2は、見ていてもほのぼのするセクション設定だが、それでも難所のポイントはきちんと用意されている。なにより参戦しているまだ成長過程の女子たちの勝負に対する執念は、さすがに狩猟民族と思わせる(今回は、狩猟民族のほかは、中国から一人、台湾から一人、そして日本勢が参戦している)。日本勢は、小玉絵里加が1点、寺田智恵子が3点で12位と14位。寺田がこのセクションを3回とも3点で抜けたのはそれなりにすごかった。
そして女子トライアル2のほか、すべてのクラスのライダーが、スピードを競う予選ライディングが抜群にうまくなっている。ていねいにラインを選びながらマシンを運び、両輪を細かく振ってラインを修正するような、トライアル的な走りとは一変、一発でラインを決めて一気に障害を越える、越えながらフローティングターンを決めて次のポイントに向かうなど、スピーディなライディングが次々に披露される。予選システムになれていない日本勢がおいそれとマスターできるものでもなく、多くの日本勢は今まで通りのトライアル的ライディングでクリーンを狙う作戦をとった者が多かった。
125のトップはスペインのパブロ・スアレス、日本の磯谷郁は13位、宮澤陽斗は素晴らしい走りを見せたが、残り30cmのところで転倒、最下位の18位となった。
トライアル2、一発を狙ってクラッシュに終わった斎藤晶夫には、自分のトライを終えて見物に回っていた外国勢のライダー・マインダーからも拍手が上がっていたが、きっちり結果を出したのは吉良祐哉だった。吉良はトライアル2の7番手のタイムをたたき出して、日本勢のトップとなった。
柴田暁、藤原慎也もスピードに乗った走りを見せていたが、それでも外国勢には太刀打ちできず、明日のスタートは日本勢がそろって早めのスタートを切ることになった。
125、女子トライアルGPでは、スペインのサンドラ・ゴメスがトップタイムをマーク、チャンピオン、エマ・ブリストが2位となった。昨年最終戦で3位となり、今年からモンテッサに乗るテレッサ・バウムは1点をついて予選7位。
練習やQ1では本来の走りができずに苦しんでいた西村亜弥が、Q2ではしっかりクリーンをして6位になった。
そしてトライアルGP、開幕戦スペインGP予選でもトップだったハイメ・ブストがここでも素晴らしい走りでぶっちぎり。2位に3秒近い差をつけてのトップタイムだった。
トニー・ボウは丸太をクィックにターンする際にミスをして、減点1。トライアルGPでは減点をしたライダーが少なく、停止をとられたジェロニ・ファハルドが5点で最下位、一番スタートとなった。小川友幸が1点で2番手、ボウが3番手、4番手に野崎史高、5番手黒山健一、そして足はつかなかったが丸太越えの手前で失速した藤波貴久が6番手スタート(予選10位)。お客さんにとっては、予選システムの妙のおかげで、決勝はスタート順をよく研究して追いかけないといけなくなった。
決勝のスタートは、予選結果の逆順に、一番スタート(寺田智恵子)が9時スタートとなる。
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