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トニー・ボウ、アンドラで99勝目
毎年恒例のアンドラ大会。ピレネー山脈山中の小さな国アンドラは、いまやトニー・ボウが住む国でもある。その第二のホームGPともいえるアンドラ大会で、ボウが勝利。わずか2点差の勝利だったが、これでドギー・ランプキンの記録に並ぶ、世界選手権99勝目をマークした。
ほんとなら(というか関係者を始め、多くの日本人の皆さんが期待していたのは)、日本GPでパーフェクト勝利を果たして、日本GPの2日目にトニー・ボウ100勝新記録達成のお祝いがあったはずなのだが、なぜか日本GPのボウは不調。両日ともに勝利を逃し、勝利記録は98勝のまま、アンドラの自宅に戻ることになった。
そして日本GPから2週間のアンドラGP。ここは標高が1600メートル以上と高く空気が薄い。燃料の大半を空気に頼っているガソリンエンジンには苦手なパターンで、特にぎりぎりまで性能を煮詰めているホンダのファクトリーエンジンには厳しいシチュエーションなのだが、そこはトニー・ボウ。アルベルト・カベスタニーに追いつめられて、ぎりぎりの勝利ではあったが、きっちり勝利を得た。
アンドラでボウを追いつめたのは、今シーズンからベータのライダーとなったカベスタニー。ベータにはジェイムス・ダビルもいて、カベスタニーは2017年ランキング的にダビルに次ぐポジションでもあるが、まだまだ上位に入る破壊力はカベスタニーに分があるようだ。
3位にジェロニ・ファハルド。ファハルドの初優勝もアンドラだったから、ここは得意な会場なのかもしれないが、今年のファハルドは今までとはちょっとちがう感じがする。破天荒な後輩、ハイメ・ブストとのチームで、先輩にしてランキングはブストに準じるという微妙なポジションだが、これがいい結果につながっているのだろうか。
さて、今回なんとも衝撃の順位となってしまったのが藤波貴久だった。藤波は日本GPの日曜日からマシンと自分との一体感のなさに悩んでいる。それが関係も解決に至らず。去年までなら、いくら不調でも6位あたりまで落ちるのがせいぜいだったが、今年は中堅ライバルの成長が著しく、ちょっと調子を崩すとここまで落ちてしまうというのが今のトライアルGPだ。
しかも藤波は、申告5点の方法が規則通りでないということで、ペナルティまでもらっている。今年はパンチカードを持たず、すべてタブレット端末への入力が結果を集計する。申告5点の際にはライダーがここに持っているIDカードを端末にかざして個人情報を明示する必要があるのだが、藤波はIDカードをマシンを持たずに下見がてら出口のオブザーバーのところまでいって、申告5点を決め、カードを提示せずに申告5点をお願いしたという。オブザーバーの了解は得ていたというが、規則違反は規則違反ということになった。不運ともいえるが、順位を争っていたフランツ・カドレック、アレックス・フェレールも同じように申告5点をして同じようにペナルティをとっているから、その点ではハンディにはならなかったことになる。
18-R3-TGPトライアル2では、やはりマテオ・グラタローラがアタマひとつリードしている。グラタローラはスポンサーとチームの意向でこのクラスに出場しているというが、GPクラスでは6位に入れば大金星というレベルのライダーだったのだが、そのグラタローラもT2を走ると勝って当然のライダーとなるわけだ。
なおこの大会、女子クラスチャンピオンのエマ・ブリストが参戦、最下位ではなく善戦したが、やはりT2クラスのレベルは高かった。過去、イリス・クラマーが125ccにゲスト参戦したこともあったが、やはりスコア的には参加するのに意義があるというレベルだった。男子に混ざって戦えていたライア・サンツは、やはり別格だったのだと、あらためて思う。
18-R3-T2125はビリー・グリーンが勝利。ランキング2位に15点差と、タイトル争いも一歩リードしている。
18-R3-T125アンドラの予選はこんなところでおこなわれた。ほぼ例年、アンドラのパドックはこのエリアにあるが、ホテルやレストラン、スーパーなどのすぐ隣の駐車場スペースが舞台。世界選手権は、こんなふうに町の真ん中で開催することが多いのだ。
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